盗賊ギルドの商店誘致に協力する件
先程は前の話と重複部分があるものを投下してしまって申し訳ございません。
修正してあげなおしました。
立石さんとまた革鎧になったシズクと地下街に入った。
「うわーもう工事が始まっていたんですね」
立石さんの言うように大勢の人が再開発予定地の石床を穴をあけたりしていた。
きっと基礎工事だろう。
「とりあえず、盗賊ギルドの本部に行くか」
「うん」
「はい!」
三人で盗賊ギルド本部を目指した。
本部に着くとすぐにノエラさんが出迎えてくれた。
「フルブレム商会の資金で工事がはじまりました。これもトオル様のおかげです」
「いや僕なんか。それに再開発の構想が成功しないと結局は盗賊ギルドの問題は解決しないし」
「それが既に解決しつつあるんです」
「え? そうなんですか?」
ノエラさんの話によれば、フルブレム商会のビーンさんが政治力を発揮してダンジョンを公的に管理している冒険者ギルドと冒険者ギルドから利権を得ている政治家にお金をばら撒いた。
これによって盗賊ギルドの再開発地区とへラクレイオンの地上をぶち抜くデパートというかショッピングモールを作る構想はお上から公認を半ばもらった形になった。
「それで商人ギルドも傭兵ギルドも私達に手を出せなくなったんです。安心した独立系地下商店がウチの傘下になったり、直営になって、モールに支店を出したいと」
「それはよかったですね」
「はい! 本当にありがとうございます」
クール美人のノエラさんから褒められると照れてしまう。
もう一人のクール美人の立石さんの顔は冷たかった。いつもの顔なのかもしれないけど。
「ところでミリィやリアやディートはどうしてるんですか?」
「実は地下街のまだ判断を迷っている独立系の店にモールを作る構想を説明しにいっています。日本の店にも詳しいので」
詳しい……だろうか。
日本を誤解している向きもありそうな気がする。
そして三人はその手の説明も得意そうではない。
どちらかというと剣や魔法やダガーをちらつかせるほうが得意だろう。
「ちょっと心配のような」
「はい。実は私も……そう思っていました。でもこういう仕事があると知ったらミリィとお二人が張り切ってしまって」
善意のつもりで勇み立つ三人と、しまったという顔をするノエラさんが目に浮かぶ。
「僕も回りましょうか?」
「行ってくれますか?」
「ええ。皆の様子もみたいし」
「ありがとうございます! ではこれが独立系の話を聞いてくれそうな店のリストと地図です」
こうして僕は地下街の独立系の店にショッピングモールに入らないかと勧誘をすることになった。
「シマの拡大みたいでワクワクしますね」
立石さんは異世界に来たのでテレパシー言語を話す。
きっとラインならウキウキとした顔文字が付いているんだろう。
「その言い方やめよう」
「ん?」
「マフィアみたいじゃないか」
確かに盗賊ギルドと用心棒ギルドの勢力争い的な側面もあるんだけどさ。
あの三人組は本当にそればっかり考えている可能性がある。
本当は丁寧に利益を説けばきっと参加してくれる店も多いだろうし、そうしなければならないのだ。
急ごう。
地下街の店は大きく四つに別れている。
盗賊ギルドの直営店と守り代を払っている店、同じような商人ギルドの店、同じような傭兵ギルドの店。そしていずれかのギルドに守り代を払っていたり払っていなかったりするが、独立系の店だ。
ノエラさんから貰った店のリストは独立系の店だ。
盗賊ギルドには守り代を払っていても独立系の店だったり、どこにも払ってない店が多いようだ。
「どちらから行きます?」
「もちろん盗賊ギルドに守り代を払っている店からだよ」
「どうして?」
立石さんが聞いてきたから僕は考えを言った。
「どこの地下ギルドにも守り代を払ってない店はそれなりに気概がある店なんじゃないかな。商人ギルドや傭兵ギルドに言われるがまま払っている店よりもお金を取るのは大変かもしれない」
「そうかも……ううん、きっとそうだね。鈴木さん賢い!」
どこの地下ギルドにも守り代を払っていない店はそうなんじゃないかなあと思っていたけど、立石さんにも賛同されて自信が出てきた。
「とりあえず素材屋マシューに行ってみるか」
もらったリストによれば、素材屋マシューは盗賊ギルドに守り代を払っているようだし、ここからも近い。
加えて店の業務内容も女子高生に見せ難いものでもない。
「いや~ミリィちゃんが来て急に新しい建物になかに店を出せって」
店主のマシューさんは苦笑いをした。
ミリィは相当強引な商談をしたに違いない。
この世界の店はまだデパートやモールのように一つの建物の中に複数の店が入るという考えはないのだ。
せいぜい交易商人が商館で複数の違った商品を卸すとかその程度らしい。
「ウチは支店を出せるような規模でもないし、ダンジョンの素材を買い取って薄利で転売するだけだからね。店の場所を変えろと言っても……ミリィちゃんにはアンタから断るように言ってくれないか?」
「マシューさんはダンジョンの素材には詳しいんですか?」
「そりゃまあ……30年も店を出してるからね。高級素材ならともかく薬草とかその手のアイテムならだまされないよ」
地下一層に住んでる人は多いんだし、店を30年出しているという話は嘘ではないだろう。
マシューさんの目利きもそれなりに確かだろう。
ノエラさんも不採算になるような店はリストに載せてないのかもしれない。
よし、それなら。
「どうでしょう。盗賊ギルドのモールに入れば治安は盗賊ギルドと冒険者ギルド、もっといえばフランシス王国のお墨付きで安全に商売できますよ」
「そ、そうなのか? ミリィちゃんはそんなこと言ってなかったぞ」
「盗賊ギルドがフルブレム商会の出資を受けて大きな建物を作っているって噂ぐらいは聞いてませんか?」
「ああ、そんなこと聞いた」
「フルブレム商会は地上の大商会でしょ。ちゃんとお上に許可を取ってます」
「ここで商売するよりもずっと安心できるかもな。実は用心棒ギルドからも守り代払えって来てなあ」
あと一息だ。
「それに地上に繋がった建物の中に店を出すことになりますから地上の商人や客とも取引できますよ」
「あ、そうか」
ダンジョンで冒険者が採取した素材を買い取って、そのまま地下で売るだけでは利益は小さいはずだ。
地上に持っていくだけで大きな利益になる。
「けど引越し代があれば……」
「その辺は僕がノエラさんに話しますよ。テナント代も相談しましょう」
「ほ、本当か。頼むよ」
僕と立石さんは素材屋のマシューを出た。
「とりあえず素材屋マシューはなんとかなりそうかな」
「鈴木さん、凄い!」
いつも仏頂面している立石さんには凄いと言われても。
そもそも無法のダンジョン地下でなんの保証もない店を開いてるのだ。
「安全でお上のお墨付きがあって地上の商会や商人の出入りもできる場所で商売をしたほうがいいでしょ」
「なるほど。そうですね」
「さあ、どんどん店を回りながら三人を探そう」
次の店はヨーミポーションに行くか。
6月10日に第二巻が発売になりました!
是非、よろしくお願いします。
WEBコミックも連載中です。




