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68話 一狩り行こうぜ!

 朝食後、間を置かずに、玄関を出た俺たちだが、玄関前に高機動車(座席は2列配置でハ○ヴィー等に近い)が2台止まっており、JC14ちゃん4人が立っていた。

 胸の番号を見るとA220ちゃんとA1101、A1102、A1103ちゃんだった。


「えーと、一緒に行くの?」

「そだよー。よろしくぅー」

「「「……(コクン)」」」


 言葉で返してくれたのはA2ちゃんだけで、A1ちゃん達は無言でうなずく。

 そういえばA1ちゃんの声は聞いたことがないな。どんな声なんだろうか。あと、やはりアイマスクのせいで表情が読み取りづらい。


「そうなんだ。よろしく」


 そんなことを考えながら右手を差し出すとA220ちゃんが「うぇーい!」といいながらパチンッ! とタッチしてくる。握手のつもりだったんだけれど。……もしかして手を払われたわけじゃ無いよね?

 A1ちゃん達の方にも手を差し出すと、6本の手が一斉に腕にワチャワチャと絡みついてそのままブンブンと上下に振られる。

 こっちは……まあ分かったので落ち着いて欲しい。そして一斉に来るのはやめて欲しい。


 見たところJC14ちゃん達の服装はいつものブレザー制服っぽいミリタリージャケット装備で武器類は太モモのホルスターに拳銃がある程度だが……


「その銃で狩りをするの? それとも剣とか使うの?」

「……(フルフル)」


 首を横に振りながら高機動車を指さす。どうやら装備類はもう積み込み済みのようだ。


「ああ、今日はオレも銃を使ってみようと思うんだ。面白そうだし実戦で使えそうだから習熟訓練もかねてな。」


 レイヴンさんがそう言いながら後部ドアを開けると○4アサルトライフルの他に○82対物ライフルなどが弾薬と共に既に積んであった。

 なお名称は単純に拳銃はHG-1、アサルトライフルはAR-1または2等とアルファベットの頭文字+通し番号で生産管理をしているらしい。


「私は車の見張りね~」


 声が聞こえてきたので後ろを振り返ると、シアンさん達マリオネット全員がそろっていた。


「あれ? 今日は全員で行くの?」

「ええ、ちょうど手が空きましたので。それと、ヴァーミリオン達の冒険者登録もしておこうかと。」


 ふーん、まあ冒険者登録しておくと何かと便利かもね。JC14ちゃん達もするのだろうかと思ったが彼女達は個体識別が難しいのでしないそうだ。

 マリオネット組で冒険者登録が必要なのはヴァーミリオンさんとアークトゥルスさん。シアンさん達もCランクとはいえ一応顔ぐらい出しておくのが良いのだろう。あまり音沙汰無しだと何か言われそうだし。


 A2ちゃん、A1ちゃんがそれぞれ運転席と助手席に座ったので俺は後席なのだろうなと思い、後席ドアを開けて乗り込む。アメ車並の大きさがあり座席は広々としていた……のだが……


「レイヴン、そこ譲りなさい」

「何だよ。シアンかアークトゥルスが譲ればいいじゃん」


 俺が真ん中で隣にシアンさんとアークさん、レイヴンさんが座ろうとしている。ヴァーミリオンさんはさっさと2号車(仮)に行ってしまった。


「あ、狭いんだったら俺がヴァーミリオンさんの方にいこうか?」

「いえ大丈夫です」

「大丈夫よー」

「おーコワ。ちぇっ、オレが最初に誘ったのに……」


 そう言いながらレイヴンさんが2号車に移っていった。

 そうしてJC14ちゃんの運転の元、出発して冒険者ギルドへと向かった。……JC14ちゃん達、その体格でアメ車並の大型車の運転が出来るのか。


 そうして車に揺られることしばし、車内は快適であった。窓の外をシアンさん越しに見るとやはりこちらを物珍しそうに見る人達が。装甲車の時もそうだったが、この高機動車も一般的な魔導馬車の外見からかなり離れているからな。


「そういえばアークさん」

「何でしょうか~」

「素朴な疑問なのですがJC14A1さんはなぜアイマスクをしているのでしょうか?」

「もっと砕けた話し方してくださいよ~、距離を感じちゃって悲しいです。」


 ……質問と関係ない。というかアークさんはまだ出会って間もないし、年上っぽいので距離感がイマイチつかめない。

 シアンさん達ですら、うっかりすると敬語になってしまうからな。今までシアンさん達ヘの俺の話し方がめちゃくちゃなのはひとえに対女性コミュ力の低さから来るものだ。レイヴンさんやヴァーミリオンさんなんかは割と気さくなのでタメ口で話しやすい方なんだけどね。いや別にシアンさんが話しにくいと行っているわけではないよ?


「あ、えーと……ゴホン……アークさん、A1ちゃんはなんでアイマスクをしているの? 目が悪いの?」

「ああ、それはですね。あのアイマスクは視覚の7割を遮断していますが普通に見えているんですよ」

「どゆこと?」

「彼女たちA1型は各感覚器官を強化したんですけど脳の処理能力の強化を忘れちゃってたんですね。それで感覚情報を脳が処理できなくなっちゃったんです。なので物理的に視覚を塞ぐことで常人と同じ程度まで情報を落としているのです。」


 ほうほう、感覚を強化したは良いが結局扱いきれず元に戻しちゃったパターンか。それ本末転倒じゃね? と思ったが現実の製品でも実物が出来てから不具合が出てリコールする事があるしそんなものなのかと思う。もしくは高価なグラボを積んだが処理が遅いパソコンとかかな?

 一応、アイマスクを外しても数十分程度なら問題ないらしい。


 あと、シアンさんとアークさんはなぜこちらに寄ってくるのでしょう? 窓側スペースが空いてますよ。あ、だめっ、胸を押しつけないで、たっちゃうぅぅ(ナニがとは言わないが)!



 そんなこんなで冒険者ギルドの出張所――街の外縁にあり討伐依頼などがあると思われる所――に到着した。



 ◇◇◇



 ネルソンの朝は早い。

 自分に割り当てられた部屋で眠っているネルソンであるが、日光が窓から差し込んでくると目が覚める。そうして部屋を抜け出し屋敷内をウロチョロする。そうしているとたまにシアン達に遭遇する。

 レイヴンやヴァーミリオンは気さくに声をかけながらネルソンの頭をなでてくるのでネルソンは気に入っている。アークトゥルスは抱きつきながら胸で口を圧迫してくるので苦手だ。

 そうして朝食の時間になると食堂に行く。主人達が集まっており自分の分の食事も用意されている。主人達が食べ始めるのを見て、それを綺麗に平らげる。


 食事が終われば、屋敷を出て日光の元、屋敷の周りなどを散歩する。たまにJC14が見回っているのに出くわす。大体2人1組で行動している。JC14はいっぱいいるようで、会う度に匂いが違う(非常に似ているが)。


 ワシャワシャワシャワシャ……


 A1は無言で近づいてきては、撫でてくれる。仕方なくネルソンは仰向けに転がると今度はお腹を撫でてくる。

A2は色々と喋りかけながら撫でてくれる。同じように仰向けになるとお腹を撫でてくれる。

 そうして一通り撫で終わった後は、JC14について行き、一緒に見回りをする。ネルソンの鼻は優秀だ。侵入者がいればすぐに察知し吠える……しかし今のところその機会は無い。

 

 屋敷や近くにある大きな建物(偽装倉庫)など、一通り見回ると昼が近づいてくる。昼は主人は大体外出している。シアン達がいれば昼食をねだれるのだが、いない場合は、歩哨をしているJC14や地下室にいるJC14の近くに行って「くぅん……(お腹空いた)」と言えば大体、手持ちのお菓子っぽいものをくれる。

 

 昼食が終わった後は昼寝だ。屋敷の外、芝生の上や木の根元で丸まって寝る。たまに見回り中のJC14が見つけて撫でてくれる。


 夕方が近づいてくると主人が帰ってくるので屋敷の入り口近くに座って出迎える。

 その後夕食は同じように食堂で皆一緒に食べる。


 そしてその後食後の軽い運動をするため屋敷を見回っていると大体JC14に出くわすので一緒に見回る。


 夜も更けてくると、ネルソンは自室に戻って自身に与えられた寝床に潜り込み、寝る準備をする。

 そうして周囲が暗い中ネルソンは眠りに落ちる。


 ……今日も主人において行かれた。


 ネルソンの朝は早い。

銃火器の名称については後で変更するかもしれません。


ネルソンについては世話を放棄されているわけでは無く、よくいなくなるのでそういったものだと思われているだけです。なので食事の用意や専用の部屋の掃除等もちゃんとされています。

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[一言] ネルソン、完全に野生を忘れている( ˘ω˘ )
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