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25話 見ちゃいました

「あー、これは遺跡ですわ」


 目の前にあった扉……書物などで誰にも開けられないと書かれていたものがある。

 装甲隔壁とも呼べそうな分厚そうな金属製の扉だ。手動で開けるようなものではなく、機械的な仕掛けを使って開閉を行う大きさだ。


 おそらく通路の左右どちらかに開閉のためのスイッチ的なものがあるのではと思い探してみると、すぐに見つかった。蔦などに覆われて多少見つけにくかったが、最初からあると分かっていれば見つけるのにそう苦労するものでもなかった。

 だがもちろんすんなりとはいかない。問題があった。スイッチと共に数字を打ち込むテンキーとカードをスライドさせるらしき部分があったのだ。

 ……まあ、そうですよね。お店のシャッターじゃないんだからこういうセキュリティーはあるよね。見た目的には専用のカードをスライドさせた後、暗証番号を打ち込みスイッチを押せば開閉するのだろう。


「……シアンさん、これ開けられるかな?」


 変に弄って何かあっても困るのでここは素直にこういったことに精通しているであろう者に頼ることにする。


「これですか……すいませんカードも暗証コードも知りませんので……」

「まあ、そうだよね」


 まあ、そんなに都合よくはいかないか。この中にはもしかしたらまたお金になりそうなものがあるかもしれないのだが。あと若干の冒険心。


「まあ、開けること自体は問題ないと思いますが」

「え?」


 そう言うと何を思ったか開閉システムのある壁をべキンッ! と壊してしまった。

 ……何やってんのこの子コワイ

 そんなことを思っているうちに、シアンさんは壁の中にあったコード類を引っ張り出し、プチプチと作業をし始めた。

 最初は何をやっているんだろうと思ったが、よく見ると配線をつなぎかえているようだ。

 これはあれか、アメリカ映画なんかでよく見る車ドロが配線直結してエンジンをかけるみたいな奴か。


 そうしてしばらく見ていると、


「ここをこうして、あれ? この線は……これが…………この線は何? ……あ痛っ指切った……」


 ……大丈夫だろうか。というかシアンさんならこの扉もワンパンで行けるんじゃないの?

 それから再度しばらくして、


「ここをこうで……これで良し」


 そう言うと「ビー!!」という音がしたかと思うと「ゴゴゴッ!」と扉が開き始めた。

 すごいな、やっぱりこういうのは迫力があるな……とか思っていたのだが動き始めて間もなく「ギギッガッ!」という音と共に動いていた扉が止まってしまった。

 なんだ? 何かに引っかかったような音だったが、故障だろうか?


「どうやら何かに引っかかったようですが……」

「まあ開いたし中に入ってみようか……中に何かいたりしないよな?」


 扉は中途半端に開いている。人が2人並んで歩ける程度には開いているので出入りは問題ないと思う。あと、今まで開かなかったわけだから魔物が中に入り込んでいるということも恐らくないと思う。一応警戒はしておくが。


「特に魔力反応はありませんが」


 シアンさんのお墨付きもいただいた。

 隙間から中に入り込んで、ランプで照らしてみる。

 どうやらまだ通路が続いているようだった。しかもかなり広い通路だ。扉の大きさを考えれば当然なんだろうが。

 そうして、俺たちは扉の内側に侵入した。

 扉の中は、今まで通ってきた所と違い瓦礫が散乱していたりせず綺麗なままで、土埃なども舞っていなかった。


「少しお待ちください。」


 シアンさんがそう言うと壁際に向かい――

 パパパッと明かりがついていく。


「うおっ! 何だ!?」

「どうやら施設はまだ生きていたようですので、照明を付けました。」

「そ、そう」


 一言言ってほしかった。

 この施設もシアンさんの所と同じように経年劣化に対する魔術付与がなされているのだろう。

 その後通路(と思われる)を進んで行くとすぐに左右に分かれる道とその奥にさらに扉があった。この扉は自動ドアみたいな感じだが隔壁というほどではなく手動でも開閉できそうだ。


「シアンさんは右の部屋を見てきてくれないかな? 俺はこっちを見てくるから」

「大丈夫ですか? ここで個別に行動するのは……」

「大丈夫だと思うよ……何かあれば大声で叫ぶよ」


 シアンさんに頼りっきりというのは少々情けないが、ステータスが低いのでしょうがない。


「分かりました。何かあればすぐに呼んでください。駆けつけますので」


 そうして、それぞれ左右の道に分かれて行った。



 さて一人になって扉に近づいていくが、この中には何があるのか。できればお金になるものがいいのだが。あとは古代魔法文明と言うのだから俺たちを元の世界に戻せる魔法の手掛かり等も欲しい。と言うか後者がメインなのだが。

 いつでもショートソードを抜けるように警戒しながら、扉の前に立つと――

 目の前にあった扉がガーと勝手に開いた。


「うぉったぁー!」


 ビビッて飛びのいたと同時に腰のショートソードに手をかけて――

 …………

 ……

 何もない。……自動ドアが勝手に開いただけだったようだ。脅かすなよ。めっちゃビビったわ。


 部屋の中も明かりがついているようで全容が見渡せるのだが、部屋の広さとしては体育館みたいに広く、しかも何もない。壁際に棚があるのだがそちらも空っぽだ。

 あのような隔壁に仕切られていたことを考えれば、多目的室のように必要に応じて機材を運びこんで使用するみたいなものだろうか。

 壁をよく分からない配管が這っていたりもするが、そちらは下手に触りたくない。


「本当に何もないな」


 そう言って中を歩いていくのだが、本当に広い空間が広がっているだけだ。

そのまま部屋の奥へ進んで行くと、箱型の物体が奥の方に2つほど鎮座しているのが目についた。

 なんだろうかと思い近付いていく。

 近づくとかなり大きなものであることがわかる。目算だが3×3×5メートルぐらいの立方体だった。

 うーん何かこれに近いものを見たことがあるのだが……いや、シンプルな形だから逆にわかりにくい。すぐに思いつくのはスパコンスーパーコンピューターとか、あとは大型の発電機とかだろうか。

 その立方体から出た太いコードが壁につながっていることを考えればそこまで外れてはいないと思う。電源確保用のコードか、送電用のコードかは分からない。

 ……あ、銘板あったわ。

 それによると『魔力リアクター』と書いてあった。リアクター――動力炉などのエネルギーを生み出すものだ。仕様も書いてあったが……数字は分かるが単位が分からない。

 発電機という推測はそこまで間違っていなかったらしい。


 ふぅん、どう使うのか知らないがこれは持っていけないな。大きすぎるし、もしかしたらこの施設のエネルギー源かもしれない。それ以前に操作盤が見当たらない。これは諦めるしかないな。


「他にはぁ~」


 一個残っている物を見つけたら他にも残っているかもしれないと、俄然やる気になる。

 そうして見つけたのはぽつんと置いてあった同じく立方体の物体。こっちはそこまで大きくなく人間が1人入る程度だ。あと白い。

 これはなんだろうか? と隅々まで見ていく。今度は銘板ではなく電子パネルみたいな部分があった。

 …………? 『修理完了』と表示されているんだけど、なにこれ? これも触らない方がいいんだろうか……

 ボタンがある……押したい。めっちゃ押したい。さっきのは持って行けなかったけどこれは大きさ的に持って行けるかもしれない。俺じゃなくてシアンさんがだが。俺? ハハハ、こんなもの担いだら潰れちゃうよ。


 どこか持てる部分は無いかと思って触っていたら「ピッ」という音がした。ヤバイ、何か触った!?


《一部命令系にエラーが発生しています。再起動を実行――完了――マスター認証が未登録です。パネルに手を置いて魔力を流してください。》


 白い箱の表面に文字が流れてきた。なんだこれ? 何かデジャヴが……なーんか、こんなものを見た気がする。

 まあいいか。

表示された通りに手を置いて魔力を流す。俺は流される男なのだ。


《魔力登録を確認しました。全システム正常。メンテナンス容器のロックを解除します》


 ガシュッ! という音と共に立方体の一部が開いていく。


「あれ? これって……」


 ようやくこれに似たものが何かを思い出したと思ったら、中から全裸の女の人が出てきた。

 ――ああ、これもそうだったのか。とんだトラップだよ!


「おう、お前がオレのマスターか?」

最初のほうで高頻度更新とか言ってましたが全然できてませんorz

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― 新着の感想 ―
[一言] > おう、お前がオレのマスターか? きっと髪は赤系で名前はマゼンタとかその辺だな! ソシャゲのガチャ直後の自己紹介っぽい雰囲気
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