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18話 旅立ち 再

 ガンッ!! ゴシャ!!


 発進していきなり隣にあったトラックにぶつけた。

 さすがは装輪装甲車。トラックの方はボンネットがひしゃげているのに、こっちは傷一つついていない……じゃない。


「(運転は)大丈夫か!?」

「(体は)大丈夫です(キリッ」


 そう言って再スタート。

 大丈夫だろうな。本当に。


 そうして、未だ生きていた車両用隔壁を開けてから、外へ出て螺旋状の坂道を登っていく。立体駐車場とかにあるやつだ。


 ぐーるぐる、ぐーるぐる


 ここはずいぶんとアナログだな。こういうのって車両搬出用の大型エレベータとかがあるんじゃないんだ……

 そして1階まで上がってきて、


「塞がっているね」

「そうですね」


 出入り口が岩で塞がっていた。まあ、普通に開いていたら、もう遺跡として発見されているんだろうけど、どうやって出るんだろう。


「――大丈夫です。この向こうは外のようなので突破します。」


 装輪装甲車を降りて塞いでいる岩を調べていた、シアンさんがそう言ってくる。また力技になるのか。


 まあ、思ったとおりシアンさんが大きな音と共に岩を吹き飛ばした。戦闘用って格闘戦用なのか。


 吹き飛ばした後土煙が晴れてくると、外から光が差し込んできた。

 目が慣れていないから結構まぶしい。ああ、久しぶりの外だ。


「よしっ! では行きましょうか。」

「ああ、……そう言えばここ(この施設)はそのままでいいの?」

「え? ……ああ、大丈夫ですよ。おそらく後1か月程で非常用の魔力が尽きますから」


 1か月も稼働するのか。いや、シェルターなら1か月しかというべきか。……いや一応は3000年間動いていたわけだから、そう考えればすごいのか。

 魔力が尽きたらもう自動扉とかは開かないだろうし、それにそもそも主だったものは俺たちが持ってきてしまっている。


「では行きましょう!」


 そうして発進して、瓦礫を乗り越え外に出て――


 ――森の中だった。道など無い。木々が茂っているため見通しが悪いし、道みたいに真っ直ぐ進めそうもない。


 そう言えば、ワイバーンに連れてこられた際に見たけれど、この建物の埋まっているところの周囲って広い森だったな。



◇◇◇



 ガタガタと森の中を進んで行く。さすがに軍用車両だけあって道無き道もどんどんと進んで行く。今まで馬車で移動していた身としては、非常に乗り心地が良い。サスペンションとかもちゃんと効いているし。


 今向かっている方向は太陽の位置から見て、西ではないかと思われる。俺はこのあたりの詳しい地理など知らないし、シアンさんに至っては地図情報が3000年前のものだ。なのでとりあえず、森を出ようということになったのだが、どちらに行けば森を出られるのかもわかっていない。


 俺としては適当に行くしかないと思っていたのだが、シアンさんが、今向かっている方向の魔力濃度が高いと言う。魔力濃度が高いということは、2種類の可能性がある。魔法を使う又は魔道具を使っている文明が近くにある場合と、大量の魔物がいる場合だ。


「近づけば詳細がわかるのですが、」


 もともと当てはないのでそちらの方角に行ってみることにした。


 ちなみになぜシアンさんは魔力濃度などという物がわかるのかというと、そこはさすが戦闘機を自称するだけあって魔力を感知するレーダーのようなものがあるらしい。どこにあるのかは知らないが。



 さて道なき道を進んでいるわけだが決して快適なドライブというわけではない。というのもここは森の中、木々をなぎ倒してというわけにはいかず、スピードはかなり遅めだ。それでも馬車に比べればよっぽど快適で速いわけだが。

 まあとにかく、森を抜ける前に、夜になってしまった。


「どうしますか? このまま進みますか?」


 日も落ちて暗くなってきた頃に、シアンさんが聞いてくる。当たり前だが装甲車にはヘッドライトもついている。シアンさんの目も暗視スコープ並に周囲を見ることができる能力があるらしいので夜の移動も問題ないのだが、


「一度休憩を入れようか」


 俺は座席に座っていただけだが、それでも長時間の移動は疲れる。シアンさんも疲れているんじゃないかと思って提案してみる。もっともシアンさんは人間じゃ無いので疲れているのかどうかわからないが、見た目人間なのでどうも物としては扱えない。

 それに食事もしたい。……といっても保存食しか持っていないが。


「はい、分かりました。」

「とりあえず夕食かな。保存食しかないが、シアンさんも食べる?」

「夕食ですか? いえ、私は食事を取ることもできますが、人間に比べれば少量でも問題ないですので。それにしても食事とは……保存食ですか? 何か小動物を狩ってきましょうか? 近くに小動物の反応が多数ありますし。」

「え?」

「付近に魔物の反応もないですし、火を焚いても大丈夫でしょう。少し待っていてください。」


 そう言うと、装甲車を降り、括りつけてある荷物から小振りのナイフを取り出してどこかへ行ってしまった。


 ぽつんと取り残される俺……こんな暗い森の中で一人とか結構怖いなぁ。一応車内は明かりがついているけれど。



 といってもすぐにシアンさんが戻ってきたわけだが、

 そしてその手には首を斬られたウサギか何かの小動物が……足を持たれて首からボタボタと血をいまだに流している。うわぁ


「主様、少々お待ちください」


 そう言うと、焚き木の準備をし、見事な手際でウサギ(たぶん)の解体を行っていく。皮を剥いで内臓を抜いて……動物の解体ってそうやるんだね。屠殺場とか見たことないからよく知らない。別に猟師の知り合いがいたわけでもないし。


 さすがに生で見るのはちょっとあれかなぁ。肉食べられるかなぁ。


 …………

 ……


「ウサギ肉うっま!」

「よかったです。」


 普通に食べられました。うまかったです。

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