第三十九話【宿題】
「う~ん」
俺は今、困っている。
どうしたのかって?
宿題が終わらねぇんだよ!!
算数は余裕でちゃちゃっと済ませた。
だが、現代社会の問題や、国の地形、魔法についてなど‥‥‥知る訳ねぇだろ、馬鹿野郎!
俺は森生まれ、森育ちだっつってんだろ!
てか十歳なのに、色々とやらせすぎだろ、この野郎!
一応一年生なんだから、もう少し難易度を下げやがれ!
「う~ん」
心の中で文句を言っていると、隣の机から俺と同じような声が聞こえて来た。
誰なんだろうと思い確認してみると、黒髪をぐしゃぐしゃと触りながら紙と向き合っている体格の良い男子がいた。
あれはシャーロットくんか。
そういえばクロード先生が、シャーロットは頭が悪いと言っていたな。
彼も俺と同じように悪戦苦闘しているのだろう。
とその時。
シャーロットくんと目が合った。
俺は思わず目を逸らし、宿題の紙を見る。
この世界では貴族と平民の差はとても大きいらしいし、あまりこちらからは関わっていかない方がいいだろう。
そう考え、国の地形の問題を見ていく。
だが、知らないものを答えられるはずがない。
‥‥‥よし、地図が載っていそうな本を探しに行くか。
ということで立ち上がろうとした、その瞬間。
真横に気配を感じた。
見上げてみるとシャーロットくんがいる。
向こうから来た!?
「なぁ、アルトリアと言ったか?」
「あ、うん。そうだよ」
突然名前を確認して来た為、俺は若干動揺しつつもそう答えた。
「よかったら馬鹿同士で協力しながら宿題をやらないか? 見たところアルトリアは算数が終わっているみたいだし」
馬鹿同士って‥‥‥。
ほう。
いいじゃねぇか。
「なるほどいい提案だね。じゃあやろう!」
その後、俺たち二人は協力して必死に頑張った。
算数は俺。
国の地形はシャーロットくん。
現代社会と魔法についての問題は、二人で本を読みながら終わらせたのだ。
シャーロットくん曰く、国の地形についてはこの図書館の壁に色んな地図の紙が貼られていた為、それを見たらしい。
となると‥‥‥シャーロットくんって何も自分で解いてなくね?
この子、まさか俺よりも馬鹿なのか?
そうなのか?
宿題が終わった後、俺はシャーロットくんと特に会話をすることもなく、一言お別れを言って図書室をあとにした。
そして学園内にあるトレーニングルームという場所に移動して、制服を着たまま適当に筋トレをし、食堂で大量の料理を食べたあとで男子寮へと戻った。
すると、黒髪で黒い目でメガネを掛けている俺と同じくらい背の低い男の子が、机に座って本を読んでいる。
この子、本当に静かだな。
まあ俺も自分から話しかけるようなタイプじゃないし、一応似た者同士か?
‥‥‥これはあくまで予想なんだけど、多分一年間ずっと会話をしそうにないわ。
向こうから話かけてくれれば俺も乗るけどさ。
自分から話しかけて、変な空気にしようとは思わん。
てか、初めてトレーニングルームとやらに行ったのはいいけど、あそこ‥‥‥人が多すぎだわ。
目立つのが怖すぎて軽めのダンベル程度しか使えなかった。
やたら筋肉自慢をしている上級生とかいたしな。
正直ムキムキでも実戦で使えないと意味がないと思う。
見た目だけで中身がないとか、論外。
うん、多分もう行かないわ。
裏闘技場や街の外で命の危険と隣り合わせの戦いをする方が、確実に強くなれる。
‥‥‥さてと。
それじゃあ、トイレにでも行ったあとで安らかな眠りにつくか。
そう考え、制服を脱いで黒色の服に着替えた後、一度部屋を出てトイレへと向かった。
見た感じトイレの中には誰もいない。
よし、落ち着いて出来そうだ。
俺は便器に座って、用を足していく。
しばらくお待ち下さい‥‥‥。
ふぅ、すっきりした。
さてと、じゃあ始めるか。
そう考え、拳を握り自分のみぞおちを殴った。
毎度のことあまり痛くないので、何度も何度も殴る。
更に顔、腕、下半身、肩、胸などまんべんなくダメージを与えて行った。
やがて体全身にものすごい疲労感を覚えたので、終了する。
あー、やっぱりこれはやめられないな。
何と言うか‥‥‥毎日やらないと不安になる。
さてと、これであとはたっぷり睡眠をとって筋繊維を回復させるだけだ。
ということで、疲労している体を無理矢理動かして部屋の中に戻り、ベッドに入って早めの眠りについた。
水浴びを忘れとったけど‥‥‥まあ、いいか。
読んでくださりありがとうございます。




