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最終話 そして赤い糸、いかがですか?

 「歩夢、おかえり~。おやつは何がいい?」


 僕が寿也さんと結婚して13年が経った。

 僕ももうすぐ35になる。

 長男の歩夢(あゆむ)を産む時に実家(こっち)に戻ってきて、別居生活も10年になる。

 寿也さんは相変わらず単身赴任で、週末だけこっちに来る。

 いわゆる「金帰月来(きんきげつらい)」ってやつだ。いや、日曜の夜に帰るから、「金帰日来」かな?

 ふと気付くと、一緒に暮らしてた時間の3倍も別居している。

 別に、不仲で別居してるわけじゃないから、ちょっと寂しい。

 一方で、最近ではコンビニの経営も任せてもらえてるから、充実した日々を送っているのも確かだ。


 この前の授業参観で、歩夢が作文を読んだ。

 うちに帰っても誰もいないことを寂しがってるのは知ってたけど、改めて突きつけられると胸に迫るものがある。

 でも、歩夢には悪いと思うけど、仕事だし、仕方ないこともわかってほしいと思うのは、僕の我が儘だろうか。

 働かなくても食べてはいけるんだろうけど、やりがいとか考えると、やっぱりコンビニはやめられない。

 家にいられる時間は、なるべく一緒にいてあげてるし、時々は家族4人で遊園地にも行ったりしてるんだけどなあ。

 寿也さんに言ったら、それは専業主婦と共働き家庭の差だって言われた。

 言われてみれば、歩夢の友達のお母さんは専業主婦が多かったような気がする。

 そっか、僕は自分がそうだったから気にならないけど、歩夢は友達と比べてるから、自分が変だと思っちゃうのか。

 そういえば、兄貴のところも専業主婦だもんな。

 歩夢ってば、兄貴んとこの星華ちゃんと会った後は、なんかうらやましそうにしてるし。


 まあ、来年辺り、寿也さんがこっちの支社に転勤させてもらえそうだし、2~3年は家族揃っていられるんじゃないかな。

 歩夢も海凪(みなぎ)も喜ぶよね。

 まあ、多分、一番喜ぶのは僕だけどさ。

 離れてた分、い~っぱいイチャイチャするんだ。

 なんてったって、赤い糸で結ばれた2人だからね。

 これにて完結です。

 元々この作品は、転生もTSもない現実的な「ぼくっ娘」を書きたくて始めたものでした。

 明星は、大好きなお兄ちゃんを庇って自分のことを「僕」と言うようになり、そのために色々とボタンを掛け違えてしまいました。

 自分より女っぽい星也に対して微妙なコンプレックスを持っていて、そのせいで友達を家に連れてこなかったりして、これが陽介とのすれ違いの原因にもなっています。

 正直、一番書きたかったドラマは陽介との再会の辺りまでで、その後はゆったりとした日常を書きたかったのですが、平凡な日常を面白く描けるだけの力がありませんでした。

 そういう意味で、息切れしての幕引きとなり、力不足を痛感しています。

 もう1つ、閑話以外では、明星のセリフから始まるという縛りも入れたのも失敗でした。



 作品としては、上手くいったとは言えないものになりましたが、それでも2人はそれなりに幸せを掴めました。

 長い単身赴任生活ではありますが、お互いにやりたいことがあると理解してのものなので、(子供達は可哀想ですが)2人なりに幸せだと思います。

 読んでくださった皆様、ありがとうございました。

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