閑話 赤い糸ってどれ?
ぼくのお母さん 3ねん2くみ 黒沢歩夢
ぼくのお母さんは、コンビニの店長さんです。
毎日お店ではたらいているので、ぼくが学校から帰っても、おうちにはほとんどいません。
でも、たまにおうちにいると、「おかえりなさい」と言って、げんかんまでむかえに来てくれます。
そんな日は、お母さんがホットケーキをやいてくれたりするので、とってもうれしいです。
お母さんは店長さんだから、とってもいそがしいけど、夕ごはんは、ぼくといっしょに食べています。
おじいちゃんとおばあちゃんとみなぎもいっしょです。
お父さんは、おしごとで遠いところに行ってるので、いつもいません。
土よう日と日よう日だけ帰ってきてくれます。
お父さんがいる日は、ぼくとみなぎと3人でおふろに入ります。
たまに、お母さんもいっしょに入って、4人になります。
いつもはぼくとみなぎでお父さんのせ中をあらってあげるけど、お母さんがいっしょに入る時は、お母さんがあらってあげます。
お母さんとお父さんは、とってもなかよしです。
ずっと前に、大学っていう学校で知り合ってなかよくなったそうです。
お母さんは、「お母さんとお父さんは、赤い糸でむすばれてるんだよ」って言うけど、ぼくには見えません。
「はだかの王さまみたいに、バカには見えないの?」って聞いたら、「大人にならないと見えないんだよ」って言われました。
それで、おばあちゃんに「本当なの?」って聞いたら、「赤い糸は目には見えないんだよ」って言われました。
「見えないのに、どうして赤いってわかるの?」って聞いたら、「おばあちゃんは見えないけど、見える人に聞いた」って言われました。
さっきは目に見えないって言ったのに、見える人もいるってどういうことだろう。
それで、お母さんのお兄さんのせいやおじちゃんがうちに来た時に聞いたら、「まん月の夜、大人にだけ見えるんだ」って教えてくれました。
ぼくとおじちゃんとこのせいかちゃんも赤い糸でむすばれてるんだって。
せいやおじちゃんは、いつも色んなことを教えてくれるから、きっとせいやおじちゃんの言ってるのが正しいんだと思います。
お父さんとお母さんも、本当はいっしょにいたいんだけど、お父さんのおしごとのつごうでいっしょにいられないんだそうです。
ぼくが「お父さんもおうちのコンビニでおしごとすればいいのに」って言ったら、お父さんは今のおしごとが大すきだから、それはできないって言われました。
お母さんは、ぼくが大人になって、コンビニじゃないおしごとをしたかったら、それでもいいんだよって言ってます。
ぼくの「歩夢」って名前は、「自分の夢にむかって歩いてほしい」っていう意味なんだって。
ぼくは、お母さんがさびしくないように、お母さんといっしょにコンビニのふく店長さんになりたいです。
そして、お母さんがいっぱいおうちにいられるようにがんばりたいと思います。
今回は、寿也と明星の長男歩夢の作文です。
海凪は妹、星華は星也の娘で、歩夢にとっては従妹です。
次回、最終回です。




