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22 成人式、いかがですか?

 「久しぶり、元気だった?」


 成人式で高校時代の友人に声を掛けると、みんな一瞬キョトンとしてから、「あ~っ!」と驚く。

 2、3年生で一緒のクラスで、かなり仲のいい友人の1人:緑川真魚(まな)も同じ反応だったので、なんでそんなに驚くのかと聞いてみたら、高校時代の僕のイメージと違いすぎて、僕だとわからなかったんだそうだ。

 ちなみに、真魚に会う前に4人、驚いていた。

 真魚が言うには、隣に灯里がいるから、かろうじて僕だと認識できたとか。


 「それって、僕は灯里のオマケってこと?」


 「違う違う、2人で1人っていうかぁ、ワンセットっていうかぁ…」


 「でも、灯里のことはすぐわかったんだよね?」


 「まぁ、灯里だしぃ?」


 「それじゃあ、やっぱり僕だけわからないってことじゃないか!」


 「違うんだってぇ、なんて言うか、ほら、明星って王子様ってイメージだからぁ、そういうお嬢様なカッコしてると違和感ありすぎて認識できないってカンジでぇ…」


 「つまり、真魚は、僕を服装でしか認識できないと。

  なんて友達甲斐のない奴だ」


 「違うってぇ、ごめんね明星ぁ。

  ねぇ、灯里もなんとか言ってよぉ~」


 「明星、許してあげなよ。

  はっきり言って、今日のあんたは普段と印象変わり過ぎてて、2年ぶりの再会じゃすぐ気付けってのは難しいわよ」


 「そうそう、今日の明星ってば、いいとこのお嬢さんにしか見えないからさぁ~」


 「まあ、明星の雰囲気が変わったのは、多分振袖のせいだけじゃないよ。

  オトコできて、ちょっと印象柔らかくなったってのもあるでしょうよ」


 「ええっ! 明星、オトコできたのぉ!?」


 「ちょっと、なんだよ、その天変地異扱いは?

  僕だって、彼氏くらいいてもおかしくないだろ?」


 「おかしいよ! 灯里はどうなるのぉ!?」


 「ちょっと真魚、明星に彼氏ができたことと、あたしとなんの関係があるわけ?」


 「え? あはは、だって2人って、まるで恋人同士だねってみんな思ってたんだよぉ?

  あたしの夢はどうなるのぉ?」


 「真魚の夢って何さ?」


 「明星と灯里の結婚式の二次会でぇ、同級会をやる!」


 「アホか! 第一、灯里なんか大学入ってすぐ彼氏作ってたんだけど」


 「そうよ。

  明星と並んで歩いても浮気と疑われないように、ちゃあんと最初に紹介したんだから。

  元ベストカップルとしては、色々と気を遣うのよ」


 「ちょっと灯里、カップルって何?

  彼氏に僕を紹介したのって、僕が男に見えると悪いからって言ってただろ?」


 「だから、他の男と仲良く歩いてるって疑われないように、でしょ?

  あんたは気付いてなかったけど、あたし達、高校時代は周りからカップル扱いされてたのよ」


 「え、だって、僕たち女同士…」


 「だってぇ、明星と灯里が並んでると、美男美女って感じでお似合いなんだものぉ」


 「いや、だから、僕は女の子…」


 「本気で言ってるわけじゃないの。

  女子高なんて、そんなもんよ」


 「灯里は知ってたんだ」


 「そりゃね。

  要するに明星は、男慣れしてない女子高のみんなにとっての王子様だったのよ。

  実害があるわけじゃなし、放っていてもいいでしょ」


 「実害はない…のかな?」


 「ないでしょうよ。

  遠くから見てキャーキャー言ってるだけなんだから。

  擬似的な王子様ってだけ。

  女子高じゃ、よくあることよ。

  むしろ本気でお姉様にされる方が大変よ?」


 「本気でお姉様って、レズってこと?」


 「そ。

  そんなアブナい娘が周りにいなくて良かったじゃない。

  みんな明星が女の子だって承知の上で、理想の王子様像を投影してただけよ。

  更衣室で一緒に着替えたって、悲鳴あげられたことなんてなかったでしょ。

  真魚や木綿子(ゆうこ)はおふざけの延長であたし達をカップルに見立てて楽しんでたのよ。

  目くじら立てることじゃないわ」


 「なんかよくわかんないけど、確かに実害はないね。

  まあ、見違えたってのは、母さんも言ってたからなあ」


 「そういうことよ。

  それで、木綿子は? 真魚と一緒じゃなかったの?」


 「それこそ、あたしは木綿子とペアじゃないのでぇ。

  木綿子(あいつ)のことだから、遅刻ギリギリで来るわよぉ」


 「じゃあ、僕たち3人で、席確保しとこうか」


 4人で並べる席を見付けた僕達は、並んで座って、この2年間の出来事を伝え合った。


 「? ん~?」


 「どうしたの、明星?」


 「ん~、なんか、こう、視線を感じると言うか…」


 「視線? そりゃあんたはただでさえ目立つのに、今日は振袖の美女だからね。

  男どもの視線が釘付けなんじゃないの?」


 「そうそう、成人式(これ)終わったら、ナンパされまくるから、覚悟しといた方がいいよぉ~」


 「だからそういう冗談は…木綿子!

  木綿子~! こっちこっち」


 予測どおり、開始時間間際に、スーツ姿の紺野木綿子がやってきた。


 「木綿子、(おっそ)~い!」


 「ゴメン、真魚。

  やっぱり明星だ! すっごいイメチェン! どこのお嬢様かと思ったよ!

  いや~、きっと明星達が場所取っといてくれるだろうって探してたんだけど、なかなか見付からなくてさ。

  やっと灯里と真魚を見付けたと思ったら、なんか美人さんが一緒にいるじゃん!

  誰だろうと思って、ずっと見てたんだよね!」


 「さっきからの妙な視線は、木綿子だったのかあ」


 「ちょっと明星! 妙な視線って何よ!

  久しぶりに会ったあたしに、それはないんじゃない!?」


 「どっかの男どもにロックオンされたんじゃないかって話してたとこだったのよ。

  木綿子(あんた)は変わんないわねえ、そのハイテンション」


 「あ~、みんな振袖~! あたしも振袖借りればよかった!」


 「木綿子がスーツで来るんなら、教えてくれればあたしもスーツにしたのにぃ。

  スーツの方が楽ぅ」


 「せっかくだから、4人とも振袖の方がよかったかもね。

  木綿子が撮ってくれるでしょ?」


 「言うと思った! ひどいよ灯里!」



 成人式が終わって会場の外で4人で写真を撮っていたら、高校の同級生達がほとんど集まってきて大所帯になってしまった。

 もう、このまま同級会になだれ込みたい。

ストックがないので、しばらくは毎週日曜日更新にします。

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