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13 イブの報告、いかがですか?

 「そんなわけで、ちゃんと付き合うことになったよ。

  灯里のアドバイスのお陰だ、ありがとう」


 クリスマスの後、僕は、灯里にお礼を言いがてら結果報告をしていた。


 「で、結局お泊まりしちゃったのね」


 「うん。

  あ、でも、安売りとかじゃないから。

  僕なりに、この人がいいって思った結果だから」


 「別にいいわよ、あんたが後悔さえしなきゃ。

  そもそも、この前の話の時点で、その人が大丈夫そうなのはわかってたし」


 「なんで?」


 「そもそも言ってもわかんないんだろうけど、色々よ。

  で、次は? 大晦日にお泊まり?」


 「いや、さすがにクリスマスに休んで年末年始休むってわけにはいかないから。

  それに、問題児の面倒も見なきゃいけないし…

  あ! 寿也さんにお礼言うの忘れてた!」


 「お礼?」


 「問題児への対処で、アドバイス貰ったんだ。

  それで、片方は劇的に改善した」


 「ふうん? それでお礼?」


 「そう。

  イブに会った時、言おうと思ってたんだけど、すっかり忘れてた」


 「まあ、あんた、自分のことでいっぱいいっぱいだったでしょうし、仕方ないわね。

  で、片方改善して、もう片方は?」


 「1人で手一杯。

  せめて1人でもクビにならない程度にできればって頑張ってるとこ。

  まだ五分五分かなあ」


 「あんたが恋愛ボケにならなくてよかったわ」


 「自分では、こんなに恋愛脳になるなんて意外だったけどね」


 「たまに、箍が外れちゃう人っているのよ。

  恋愛経験が少ないと、特に。

  あんたが男のためにバイトとか放り出すタイプとは思ってないけど、あのはしゃぎっぷりだったから、少し心配してたの」


 「そっか。

  確かに浮かれてたもんね。

  でも、やらなきゃならないことは、ないがしろにはできないよ」


 「あんたらしいわね。

  ところで、彼の方からのプレゼントは、なんだったの?」


 「ああ、うん。

  …これ」


 僕は、胸元からペンダントヘッドを引っ張り出した。

 家に帰った後、プレゼントを開けてみたら、ルビーのネックレスが入っていた。

 石は小さいし、チェーンもシルバーだけど、学生がプレゼントに買うに高い買い物だ。

 そもそも、イブのデートで、寿也さんいくら使ったんだろう?

 僕は、普段アクセサリーとか着けないんだけど、せっかく貰ったネックレスだからいつも見えないように服の下に着けている。


 「ねえ、その彼、なんであんたの誕生石知ってたわけ?」


 「えっと、7月生まれなのは言った気がする」


 「なんで誕生日の話なんか?」


 「えっと、兄貴との年の差の話で、年子かって聞かれて、兄貴4月で僕が7月だから、年子じゃないよって感じで」


 「あんたの彼、相当策略家ね」


 「策略家かって言われるとわかんないけど、無茶苦茶勘がいいよ。

  あと、多分、頭もかなり切れる。

  僕が言ったこと自体忘れてるような言葉で僕のこと好きになったとか言ってたし」


 「どんなの?」


 「なんかね、僕が兄貴のこと名前で呼ばなくなったのは、僕が優しいからとかなんとか」


 「名前で呼んでいたの? お兄さんのこと」


 「小っちゃい頃はね。

  みんな兄貴のこと星也ちゃんって呼んでたから、僕もそう呼んでたんだ。

  で、小学校入った辺りで、ちゃん付けで呼ぶのは女の子だよなあって思って。

  で、僕が兄貴のこと星也ちゃんって呼ぶせいで、僕の妹扱いされるのかなって。

  それから、意識してお兄ちゃんって呼ぶようになったんだ。

  ああ、そういや、寿也さんとそんな話した気がする」


 「お兄さんが妹扱いされないように、呼び方を考えたってことよね?

  たしかに、それは優しさよね。

  で、それに気付いた彼は、あんたの優しさを見抜いた、と」


 「別に優しいってことはないと思うけど」


 「あんた、それも言ったんじゃない?」


 「覚えてない」


 「優しさアピールのつもりでそういうこと言うならマイナスだけど、本人が優しくしたって自覚なしで昔話の1つとして語ったんなら、大きなプラスよ。

  それだけなら弱いけど、気になってる娘がそう言ったなら、十分好きになる理由になるわ」


 「そんなもんかな?」


 「人を好きになるきっかけなんて、些細なものよ。

  第一、あんたはどうして彼を好きになったのよ?」


 「うまく説明できないって言うか、自分でもよくわかんないんだけど。

  兄貴は僕のこと弟って説明してたのに、寿也さんは僕のこと最初から女の子として見てたんだ。

  僕を女の子として見てくれたっていうのが、多分、一番最初の理由だと思う」


 「じゃあ、あんたは女の子扱いしてくれる人なら誰でも良かったの?」


 「そうじゃない、とは思う。

  けど、よくわかんない。

  そもそも、なんで寿也さんを好きなのか、僕にもよくわからないし。

  寿也さんの傍にいると、すごく気持ちいいんだ。

  寿也さんは、自分のこと『全力で関われって電波が来る』って言ってるけど、僕も感覚的なもので好きになっちゃったのかなって気がするよ」


 「ふうん。

  まあ、いいんじゃない?

  少なくとも、2か月かけて好きになったってんなら、理由なんか説明できなくてもいいと思うわよ。

  ま、せいぜいお幸せに」


 「あ、うん、色々とありがとう。

  また何かあったら、頼りにさせてもらうから」



 さて、とりあえず、年末に向けて胡桃沢さんの指導を頑張らないと。

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