ゴブリンテイマー、ボム魔法に驚く
「逃げろっ」
僕は慌てて側に立つ二匹のゴブリンの手を掴んで走る。
目の端ではゴブナのファイヤーボールと、ワイバーンの火球が激突し、ファイヤーボールがその炎の中に飲み込まれていくのが映った。
「ワイバーンがドラゴンみたいに炎を吐くなんて聞いてないよっ」
これが進化したワイバーンの得た特殊な力である事は間違いない。
僕は思いっきり二匹と共に迫り来る火球の射線から逃げるように飛ぶ。
一瞬遅れて、先ほどまで僕たちがいた場所に盛大な火柱が立ち上り、門の中でその戦いを見ていた人々から悲鳴が上がった。
幸いな事に僕たちを直接狙った物ではなかったために避ける事が出来たが、次は避けられるだろうか。
僕はなんとか方法は無いかと頭をフル回転させる。
相手がただのワイバーンであったなら既にゴブトだけでも勝負は付いていたはずなのに。
「あっ」
僕は弾き飛ばされたゴブトの事を思い出し、彼が吹き飛ばされたであろう場所に目を向ける。
が、そこには既にゴブリンオーガの姿は無く――
「ゴブミン、ゴブナ。僕が名前を呼んだら、それぞれ魔法でワイバーンに攻撃を頼むよ」
『ゴブ』
『ゴブブ』
倒れ込んでいた地面から体を起こしながら二匹のゴブリンが杖を構える。
僕が見つめる先では群がるゴブリンを迷惑そうに払いながらもワイバーンの足が空中へ浮き上がるのが見えた。
そしてそのワイバーンの背後に立つ影も。
「ゴブナ!」
『ゴブブ!』
僕の号令で、まずはゴブナがファイヤーボールを放つ。
気配を感じたのかワイバーンがまた大きく口を開くのが見えた。
このままここにいたら次こそ直撃を受けるだろう。
だが、今は動くわけには行かない。
「ゴブミン!」
『ゴブ!』
続けてワイバーンの意識をこちらに固定するためにゴブミンへ指示を出す。
が……。
「えっ?」
てっきりゴブナと同じようにファイヤーボールがその杖から飛び出すのかと思っていたのだが、杖からは何も飛び出さない。
どういうことかとゴブミンに問いただそうとした時、ワイバーンの目の前で大きな爆発が起こった。
「まさか、ゴブミンの魔法って火炎魔法じゃ無くボム魔法なのか」
ゴブナのファイヤーボールが直線的に焼き尽くす物だとするなら、ゴブミンのボム魔法は一カ所に魔力を集中させ、その周りにダメージを与えるタイプの攻撃魔法だ。
てっきりステータス上はほとんど変化が無かったためにゴブミンはゴブナと同じ力を持っていると思い込んでいたが違ったらしい。
「まったく【ゴブリンテイマー】ってスキルは本当に謎だらけだ」
だが、ゴブミンのボム魔法が炸裂したおかげでワイバーンの火球の威力がかなり落ちたようで、ゴブミンのファイヤーボールも今度はかき消さずワイバーンの鼻先に届く。
もちろんかなり削られた魔法の威力ではワイバーンにやけど一つ負わせる事は出来なかった。
だが――
「今だ! ゴブト!」
僕はワイバーンの口が大きく開かれ、こちらに意識が向いたのを確認しつつ大きな声で叫んだ!




