死天の試練後 その18
──『侵雪界獣[スノウエスト]』、という存在と戦ったことがある。
それはかつて冒険世界に現れ、今もなお降り積もる雪の領域を生み出した災凶種。
神族の力を以ってそれは討たれ、俺が受ける試練の標的として放たれた。
だが、その存在は純正ではない。
本来は精霊だった存在に、神が祝福を与え半霊半獣の存在に創り替えたのだ。
ここまで長々しく語れば、この話の結論は言わずもがな。
──禁忌に禁忌を重ね、己とは異なる星敵の力を借り、それは実現した。
◆ □ ◆ □ ◆
アルス・ナギマに辿り着き、俺は彼(?)との交渉を行う。
体のいい話だ、呼び出したのに満足させずに帰らせようというのだから。
ルリにそう指摘され、アイデアを聞かされた結果がこれ……うん、ロクでもないな。
アルス・ナギマの下へ向かう勢力は、現在ソレに阻まれ戦闘の真っ最中である。
「『忌獣』、魔獣と固有種の合成体だ。遺伝子から体内に刻んだ術式から、徹底して力に特化させた……まあ、当然ながら複数人来ている『逸脱者』連中が本気を出せば、サクッと処理されるだろうけど」
『想定内か……説明を要求』
「ただまあ、強化の空きはある。そのために外部からの術式支援は控えてもらった。だからアルス・ナギマ、貴方と取引をしよう──これを使って『逸脱者』、そしてこの場の者たちと戦う。それが終わったら帰ってくれ」
『……譲歩のつもりか』
一連の騒動、この落としどころが問題だ。
俺は試練を受けただけ、アルス・ナギマは俺の術式で出来た抜け穴を通っただけ……とそれだけなんですぅと許されるはずは無い。
様々な案が浮かんだが、ルリのアイデアは至ってシンプル──より危険そうな存在を出して力を合わせて討つ、終わった感が出ている間にさっさと帰ってもらう。
何というか、創作物で共闘もたまにしてくれる悪役みたいな振る舞いをアルス・ナギマに求めていたらしい……が、さすがにそれはどうかと思い、少し修正させてもらった。
『それを行うメリットが──』
「まず素体そのもの。そして、これには魂の完璧な後付けがされている」
『…………思案』
「やったのは星敵、【傾界魔王】。ネームバリューはそっちにも通じるだろう?」
『数多の禁術を生み出している。大変興味深いものが多い』
やはり魔導世界にも顔を出し、いろいろとやらかしていた模様。
まあそんな彼女の過去はともかく、どうやら興味はそそれたようで。
「すでにやっている解析、その妨害を外す。加えて支援すれば長く持つし、動かすのだってそっちが自由にやっていい」
『…………』
「時間が無いだろう? 魔導世界だって、いづれは対処に動く必要があるわけだしな。だが、力を合わせ強大な存在に挑んだとなればどうだ。大義名分は充分、やり方次第じゃそのための解析と言えるぞ」
『…………悪くない。肯定、一芝居付き合おうか』
魔導世界が行う処罰など、精々一時的な活動停止ぐらいだろう。
だがそれこそアルス・ナギマにとっては死活問題、俺の話に乗らざるを得ない。
世の中にはいつだって、理屈と結果が求められる。
友情・努力・勝利……ではない、権謀・実力・利益の三つがあればいいのだ(適当)。
※忌獣
禁忌の獣、で忌獣
だいたい本編の冒頭部分通り
一般休人がやったら即監極行き
──なお、倒したところで遺製具が出ない仕様なので、忌避される獣でもある
p.s. 無字×1215
湯たんぽは使えるようになった……だが寝てしまう作者です
くっ、温かすぎる……!
ぜいたくな悩みに頭を抱える作者でした




