特訓ヘルモード 中篇
地獄の特訓と化した、闘技領域における生存競争。
大技を駆使して大量退場に追い込んだものの、まだ参加者は残っている。
「──[ムテキ]、[ギミディアン]、[ハレイニー]か……」
それぞれ──防御極振り、器用貧乏擬態、水及び雨操作の固有能力を持つ固有種たち。
方法は違えど、先の必中投擲を捌き切るような厄介な力を持っている。
「[ムテキ]だけなら、ぶっちゃけ時間待ちで良かったんだが……まあ、こうなるよな」
空模様が怪しくなっていく。
曇天となった空は、時を待たずして激しい雨を降り注ぎだす。
雨の妖精[ハレイニー]によって支配された水が、集中豪雨となって俺を襲った。
水を一滴一滴防ぐことなどできない、しかし触れれば当たり判定が出て死亡する。
「──“完星璧盾”」
展開するのは『騎士王』謹製の術式。
職業能力の枠へ移行し、発動がスムーズになった防御用の魔術……絶対に本来の術式名は唱えない。
万物を隔て、俺を護るエネルギーの盾。
雨は盾を通ることなく、また形状も自由自在故に包み込むように展開したそれを掻い潜れずに時が経っていく。
「……まあお前はそう来るよな、[ギミディアン]」
『──“千変宝珠”』
濃密な雨により視界は不良。
しかし奥の方に映る影の周囲が発光し、魔力の弾丸が飛んでくる。
盾はそれを通さない──はずなのだが、擦り抜けてきたモノを自力で回避。
それから数秒、水が溜まった地面を鳴らしながらやってくる──俺の姿。
『相変わらズ、スペックが低イ!』
「勝手に使っておいてその感想は無いと思うぞ。しかし困った、せっかく鍛えた『抜刀』術も使われちゃうな……」
『……分かってて言うナ! どうせ使えない技術なんだろウ!?』
目の前に居る俺──『央等質擬[ギミディアン]』はどんな者にも擬態できる。
ただし、対象が持つ能力やスキルなどは基本的に半分以下の代物。
固有種ですら対象になるからこそ、設けられている制限。
……それが気にならないぐらいに、厄介極まりない性能を当魔物が持っているのだが。
「どうやって来たんだ?」
『んン、知りたいカ? ふふン、いいだろう教えて──』
「いや、まだいいや。終わったらネタ晴らししてくれた方が嬉しい。今は推察する特訓もしておきたいし」
『~~~~! 死ネッ!』
盾の中では自由に動きづらいし、かといって操作は困難。
何らかの方法で掻い潜ってくる以上、そのままというわけにもいかない。
「──“武装切替”」
それは【闘士】の職業スキルの派生能力。
字の如く、装備を瞬時に切り替えることができるというもの。
もともと『抜刀』では、アイテムの取り出しはできても装備までは手動だ。
特に防具の切り替えを手動でやる場合、当然着脱の手間が生まれる。
まあ、展開場所の指定次第でその辺も何とかなるのだが。
……更なる技術が求められてしまうので、付け焼刃の俺ではまだできないのだ。
相手にメタを張り、最適な装備で挑むための能力──そのため切り替えは一瞬。
規格外プロットテクト:[機源]を纏い、高速で準備を整えていった。
※“武装切替”
非装備状態のアイテムを、使用中の装備と即座に交換できる
これは武具限定だが、他にも武器限定(再使用時間短め)やアイテム全般対応(逆に長め)などいろいろと存在する
p.s. 無字×1170
予定通りにならないことばかり……そんな作者です
まあ、それを打開するかが重要なんですよね
…………時間って、良くも悪くも平等だなぁとその結果思う作者でした




