孤児院 後篇
あの後軽く情報を交わした後、席を立って子供たちの場所へ戻る。
「あっ、おっちゃん! それに神父様も!」
少年が俺や神父さんを見つけたのを切っ掛けに、いっせいに子供たちが神父さんの元へ向かう。
同時に神父さんへ話そうとする子供たちの姿は、合唱を行っているようにも見えた。
「そうですね、アーム。下の兄弟たちの分もしっかり取っておいたのですね。レッグ、いくら食べれるからと言って、食べすぎはいけませんよ。お腹が大きく膨らんで割れててしまいますよ。ボトム、私の分はすでに貰っていますから、それは貴方が食べなさい。ネック、それでしたら他の眠そうな子たちもいっしょに連れて行ってくれませんか?」
そのすべてに、神父は丁寧に応答する。
万人(過大)の声を聞くその姿、まさに、伝承通りの聖徳太子みたいであった。
「──『SEBAS』、いちおう聞くがあの人って……」
《いえ、『超越者』ではございません》
「そうかそうか、よかっ──」
《ただし、それに近い戦闘力を有していることは、間違いないかと》
「た……あぁ……ハァ……」
嗚呼、ルリよ。
この哀れな夫に幸運を分けておくれ!
別にバトル物の世界に行きたいわけじゃない、俺はスローライフ物がいいんだ。
父親としてどうかと思うが、そういうのはショウの方が向いていると思うんだ。
このゲームなら『超越者』一人一人と闘い続け、友情を深め合う……凄く似合う。
決して、『騎士王』と呼ばれる偉い人を、ボタン一つで強制退場させるような奴には向いていないんだ。
「ツクルさん、少しいいでしょうか?」
「はい。どうかされたので?」
そろそろ帰ろっかな、なんて思っていると神父さんが現れる。
場所を変えると言われてついていくと、そこにはデカい神像があった。
「こ、これは……」
「この場所で崇められていた、とある神を模した像です。ご覧の通り──派手に壊れていますけどね」
そう、石でできたその神像は、所々壊れた部分が存在し、頭に至っては完全に首から上が損失という状態である。
「……これは、私がこの場所に流れ着いてからずっとこの状態でした。初めの内はどうにかしようとしていたのですが、子供たちを支えるために金銭を費やす内にそうしたお金も無くなってしまい……」
「なるほど。それで、私はどうしてこの場所に呼ばれたので?」
「直してほしい、などと厚かましいことは言いません。ただ、子供たちに優しくしてくれたツクルさんにも、ぜひ祈ってもらいたいと考えまして」
「そうですか……分かりました」
神像に近づき、手を組んで祈る。
どこに居るか分からない神様よ、どうか俺に安寧のスローライフ(ピコン)を……。
──どうやら神様は、すべてを観ているようですね。




