表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚弱生産士は今日も死ぬ -遊戯の世界で満喫中-  作者: 山田 武
二つの穴と壊れた神像

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

156/3171

釣り



 ちなみにだが、釣竿の素材は竹だ。

 エルフの秘匿技術によって何重にも強化を行い、ドワーフの刻印術によって柔軟さと頑丈さを兼ね備えている。


 ルアーは……たしか、ケットシーが持っていた疑似餌を参考にしたんだっけ?

 アイツら、川でちょくちょく釣りをしているので、そのときに見せてもらった。


 釣りにもスキルが存在する。

 しかし、釣りスキルが無くとも釣り自体はできる。

 たまに竿を躍らせるように揺らし、獲物が喰いつく瞬間を待つ。


 気長に待つことがもっとも大切だ。

 スキルが有れば入れ食い状態、というわけでもないらしい。

 ただ釣る時に補正が入るのが釣りスキル、その段階に持ち込むのは釣り人たち自身。


 諦めない不屈の心(ネバー・ギブアップ)こそが、釣りには大事なのだ。


「……暇だなー」


 少し広めに結界を展開してあるので、近くに現れた魔物も、俺の5m前辺りで何かにぶつかって逃げていく。

 俺の行動を邪魔するものは存在せず、上空で下々の者たちを照らしつける太陽がゆっくりと動いていった。



 どれだけの時間が経過しただろうか。

 釣竿は一度も受動的に揺れず、(しな)ったことなど一度もなかった。


「おかしいな? 現実ならちゃんと釣ったことあるんだけどなー」


 現実での才能がこちらで開花したわけではない……そんな才能を、このゲームが反映しているかは知らないが。

 海でも川でも湖でも、しっかりと釣った経験がある。


 しかし、仮想空間における現実はそれとは異なり、空間拡張という高度な技術を施したバケツの中には、多めに汲んだ水しか入っていなかった。


 魚が居ることは分かっている。

 今も俺をからかうように、水面で飛沫を上げて魚が飛んだからだ。

 ……電気流した方が早いんじゃないか?


「『SEBAS』、これには何か理由があると思うか?」


 困ったときは相談しよう。

 頼れる『SEBAS』に訊くと──。


《おそらく、魔道具としての質が高過ぎることが問題なのでしょう。漏れ出した魔力の多さに生き物が怯え、水中は餌の辺りが空白の地帯になっていると思われます》


「あー、凄過ぎるのも駄目なのかー」


 折角なので水中にカメラを飛ばして探索してみると……うん、本当に餌の周りに一匹も獲物が居なかった。


《旦那様の場合、筋力などの観点から強靭な竿が必要となりますので……竿が有する魔力量に耐えうる生物が居る場所でなければ、釣りが成立することは無いでしょう》


「……ここの主は?」


 主、それは湖に住む最強の存在。

 有象無象とは一線を駕した実力を誇り、釣り人の邪魔をするはずなのだが……。


《使用した術式の数からして……シュパリュやケルベロス級の魔物でなければ、釣れないかと》


 この日、俺は釣り竿を奥深くに封印した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=196149026&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ