13話――休憩・ハニー③
「このヤクザについては、ボクもまだまだ調べていきますけれど……たぶん、報復はしてくると思います。だからそれがどういう方向で出るかの予測がつかないんですよね」
前の世界だったら、家族が狙われるところだけど……幸か不幸か、私に家族はいない。仲間のこの子たちが狙われるのは怖いけれど、それなら私が守れる。
一番ダメージが大きいのは仕事の邪魔をされることね。
「先に潰すのはどうッスか? 姐さんに敵はいないッスよ」
「それはダメよ。カムカム商会の時はたまたまトップからナンバーツーまで全部一網打尽に出来たけど、普通は無理。地下に潜られる」
表社会がどこまでも高く積み上がり、下層の人間では上層の人間に触れることも出来ないように……裏社会っていうのは、どこまでも深く潜っていく。
高いところにいる人間も、深いところにいる人間も、地上で出会うことは出来るけれど……片側が本気になってしまえば、絶対に交われないし目視も出来ない。
「だけど向こうも、下手にこっちに手出しは出来ない。シマを争うとして迎撃されたって段階だからね。まだメンツは潰されてはいない……はず」
ああいう連中のメンツ問題は、真の意味で理解出来ているわけじゃないけれど……今のところはセーフ、と思いたい。
ここから先の動き方に注視しないとね。
「まぁ暫くは一人で出歩かないことと、行動に注意することだね。少しずつでもいいから、口コミのネットワークを広げていくことも忘れずに」
ユウちゃんの言葉に、私はふむと頷く。
口コミ……言われてみれば、私この街に友達いないのよね。いやまぁ、村にだって友達いなかったけど……。
友達とは言えないけど、隣の家のリーレンおばさんはおおらかで、衣服の裁縫を習ったわね。その旦那さんのフィルゥンおじさんにも優しくしてもらった。
あの二人にはいつかお礼を言いに行きたいわねぇ。
「ちなみにマリンは聞いた事無いの?」
「オルカが嫌ってたのは知ってるッス。なんか蛇みたいに、一度でも喰いついた奴は離さない……骨の髄までしゃぶ尽くすって。数年前まではうちのケツモチやってたんッスけど、『組織』と付き合いだしてからは向こうを切って……そっから敵対するようになったッス」
なるほど、最初は向こうの暴力を借りていたのに……乗り換えた、と。でも数年前?
「『組織』があんたのこと作ったんじゃないの?」
「だからオレが使い物になるようになった頃というか、その辺りから繋がりを強めていって……『改造人間』を何体も購入してから切ったって感じッス」
となれば、もしかするとカムカム商会にその辺の資料があるかもしれないわね。
それも確認したうえで、対策を立てましょう。
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