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7話――今日から女騎士!③

「では概要なのですが、かくかくしかじかでございまして」


 町長の話は、レイラちゃんから聞いた物と殆ど合致した。違う部分で言えば、被害者くらいだ。


「今朝から2級の冒険者が一人、戻って来てない!? ちょっとどういうことよ……」


 3級が一流冒険者なら、2級は超一流だ。貴族や豪商ならまだしも、一般人が依頼できるランクとしては最高峰と言っても過言ではない。

 それが……。


「ちょっと信じられませんね。上位個体、いるかもしれませんよイザベルさん」


 私と同じ感想を抱いたらしいレイラちゃんが、笑顔で言う。随分と余裕そうだ。


「あんた、上位個体と戦ったことあるの?」


「ありませんよ、わたしは錬金術師ですから」


「自信ない?」


「まさか」


 それならヨシ。

 私はレイラちゃんに頷いてから、腕を組んで町長に目を向ける。


「現状はわかったわ。それじゃあ報酬についてなんだけど」


「えっ!?」


 報酬と聞いて目を見開く町長。そういえば領地騎士団って名乗ったんだから、金を取るのも不自然ね。

 ……ま、いいか。


「大丈夫。お金が欲しいんじゃなくて、資金運用して欲しいだけだから」


「い、いやその……すみません、無学なものでシキンウンヨウとやらを存じないのですが……」


 困惑した表情の町長。私は少し考えてから、懐からコインを取り出す。


「例えばここに100ミラがあるわ。これを私に預けるだけで、1年後に1ミラ増えるの。預ける金額が倍になれば、増える額も倍になるわ」


 さらに困惑する町長。うーん、凄く詐欺っぽい言い回しになってしまったわね。


「えっとね、貴方から借りたお金を別の人に貸すの。その時に出た儲けと、貴方に預けられた金額を貴方に返す。これを何度も繰り返して、貴方のお金は減らさずに、お金を増やすのが資金運用よ」


 ここまで説明して、意味が無かったなと悟る。銀行の無い世界で預金の概念について説明しても理解してもらえるわけがない。

 これじゃあたぶん、「お金を借りたいのかな?」としか思われない。


「えっとつまり……わ、私に金貸しになれということでしょうか……?」


 やっぱり。

 詳しく説明したいところだけど、冷静に考えたらここでちんたらしてる方が良くないわね。

 私は咳払いしてから、レイラちゃんの方を見る。


「まぁ私の方はそれでいいわ。んでレイラちゃんは」


「私はこの家に飾ってある、あの魔石が欲しいんですよね」


 そう言って彼女が指さしたのは、庭の方角。


「池の中にある、あの魔石をください」


「池の中に……? よ、よく分かりませんが、それてよろしいなら」


「やった」


 ぽふと手を叩いて喜ぶレイラちゃん。その仕草は年相応と言った感じで、可愛らしい。

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