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44話――ライウェイベイビー⑤

 こっちの世界は回復魔法があるから、騎士団や冒険者などは折檻が厳しくなる……という話は聞いた事があるけど、まさか目の前で見るとはね。

 命令違反が人の生き死にに直結する仕事だから、その辺はとやかく言いたくは無いけど……これが正解なのかしらとちょっとだけ疑問は残る。

 うちで騎士団を作ったら、その辺はどこまで厳しくするかはちゃんと教義しないとね。


「ですがやはり、念のため救護室へお越しください」


「……分かったわ」


 私は立ち上がって、鎧を脱ぐ。ガシャン! と音を立ててその辺に鎧が転がった。でも汗をかいちゃったわねぇ、救護室よりもこれを流したいわ。

 髪の毛をバサッとほどき、首をぐるっと回す。そうしていると騎士団の修練場の扉が開いて、外からメイドさんたちが入ってきた。


「イザベル様。旦那様がお見えに――ってイザベル様!? な、なななな何故甲冑をお召しに!?」


 目ん玉が飛び出るほど驚く、一番年嵩のメイドさん。メイド長かしら、なかなかチャーミングなおばちゃまね。私はニッコリと令嬢スマイルを浮かべ、軽く一礼した。


「えーっと、彼らの訓練を体験させていただきましたの。今後、我が領地で騎士団を運営するにあたって……何事も勉強ですから」


「だ、だとしても……その……淑女が汗だくのままというわけにはいきませぬ! 只今お風呂を用意いたしますので、少々お待ちください!」


 あら、とっても嬉しい。お言葉に甘えちゃいましょう。そう思っていると、いつの間にかカーリーとマリンが戻ってきていた。

 これで万事オッケーね、彼女らはニコッと笑ってサムズアップしてくれるので、私もグッとサムズアップを返す。


「ではこちらへ」


「し、しかし救護室へ……」


「大丈夫ですわ。これらの件はわたくしの責任ですし、何よりわたくしには腕の良い魔術師と錬金術師がついておりますもの。ジージー様、本日は見学させていただきありがとうございます」


 深々とお辞儀をする。ジージーは責任の所在をハッキリさせたからか少しホッとした表情で、私よりもさらに深くお辞儀をしてきた。

 その姿を見てから私は顔を上げると……他のメイドさんの案内で、この汗くさい修練場から出ていく。

 それにしても、あの鎧は良かったわねぇ。


(後で持って帰れないか相談してみよう)


 家で皆と、本気で修業が出来るのは凄い嬉しいからね。

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