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43話――もうすぐ夏ですね⑤

「騎士団の人員は、こちらにいらっしゃる方々で全てなんですの?」


「フハハハ!! 流石にこれで全てではございませぬ。各地に詰所がありますからな、大半はそこに努めております。こちらにいるのは、ワナガーカ騎士団の精鋭部隊でございます。総勢百名ほどで、現在半数は事務をしております」


 豪快に笑いながら説明してくれるジージー。そっか……ここには精鋭部隊しかいなくて、それでも半数なのねこれ。ってことは総数は万行くかしらね……?

 まだマイターサには借金が残ってるし、イザベル本人の借金も残ってる。それなのに公務員を一気に増やして大丈夫かしら。


(もう少し、運用について聞いておきましょうかね)


 領地騎士団には……私設兵としての仕事をする人らと、剣も振れる市役所職員としての仕事をするパターンがある。

 多くの領地は前者のみ持っていて、後者は普通にお役人を雇うパターン(つまり国から機能ごと借りる)が多い。

 マイターサも今はそのパターンでやってるんだけど……一部の村や町は、国家公務員じゃない村長や町長にそれらを任せて、武力は都度冒険者を雇うようにしている。

 一方、ワナガーカはそのどちらもキッチリ領主が管理してるみたいね。


「任務は主にどのようなことをしているんですか?」


「詰所にいる者は、治安維持と都市運営の雑務、市民からの陳情の処理ですな。我ら精鋭騎士団は、それに加えてカナリバー家及びワナガーカ領議会議員の護衛ですな」


 なるほど、やっぱり私の予想通り双方の機能を議会で管理してるのね。

 この辺は大きい領地あるあるだけど、それだけ人数がいればかなりキッチリとした政治が行えそうねぇ。

 もっとも……その分、スパイも入りやすいのだろうけど。


「そういえば、マイターサで新しく騎士団を作られるんでしたな。参考になるでしょうか」


「ええ、もちろん。最初は……こちらにいらっしゃる方々の、半分くらいの規模になるでしょうけれど」


 そう言いながら……私は階下で訓練する人たちを見て、ふと疑問を浮かべる。

 そういえば、女の子がいないわね。壊滅したとは聞いているけど、まさか全滅したとも思えないし……。


「あの、そういえば女性騎士団もあると聞いたんですが、精鋭部隊にはいらっしゃらないのですか?」


 私が問うてみると――ピタッ、とジージーが一瞬だけ止まる。

 そしてやや作ったような引き攣った笑みを浮かべると、なぜか飾られていた鎧の方を指さした。


「そ、そうそう! こちらにあるのが、実は中に入るととんでもない重力がかかる魔道具でしてな」


 ろ、露骨に話を変えてきたわねぇ……。触れられない案件なのかしら?

 私がちょっとポカンとしていると、ジージーは立ち上がってバンバンと鎧を叩いた。


「その重力も、1倍から1000倍まで思うまま! 本来、これは団員の罰則用に用意されたものなのですが、実はこれを着て動くという訓練もあるのです! どうですか、そちらの執事さん……試してみますかな?」


 ユウちゃんにニコニコ笑顔を向けるジージー。たしかにこの中なら、体格的に一番動かせそうだものねぇ。

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