42話――令嬢ストレイドッグス②
キッパリと言い張るセイムス男爵。そりゃあそうでしょうね、人間って自分の間違いは認めたくない生き物だから。
きっかけはそうでも、それは間違いじゃない……そう言いたい気持ちは分かる。
だから、私は否定しない。
「ええ、おじさまの仰ることーー考えが全て間違いだとは思いませんわ。わたくしが申し上げているのは、その考えが全てでは無いということですわ」
ロマンチストだけでは行政は成り立たず、リアリストだけでは行政は発展しない。
重要なのは、バランス。
「相手の考えを劣っていると断じて、聞き入れない。そんな態度では歩み寄ることも意見をすり合わせることもできませんわ」
「む……」
「今回だって、相手に歩み寄ったからシャオソー特任大使をこうして救うことが出来たんですもの」
ニコニコとした笑みでシャオソーを示す。
「……そう、か。そうなのかもな……」
モヤモヤしたものは抜けないのか、釈然としない様子で頷いた。
でも昨日ほど反射で言い返してこない辺り、取り敢えず一安心ね。
「これから……何度もお話しましょう? セイムスおじさま。縁がこれっきりでは寂しいですわ」
というかウキョートの拠点が無くなるのは困る。
「そう……だな」
とりあえず頷いてくれたセイムス男爵。私は少しホッとしつつ、クルッとシャオソー特任大使を見た。
「ところで、シャオソー特任大使はどうされます?」
「どうすればいいんでしょうね……」
さて、今度はシャオソー特任大使をどうするか問題が残るわね。
このままだとまず間違いなく『組織』の人間が追ってくるでしょうし……かといって、私たちも面倒は見れない。
一番良いのは、国に言って保護して貰うことかしらね。
……するかはわからないけど。
「『組織』の話なんて陰謀論オブ陰謀論だから信じてもらえないし、そもそも政府にもどこまで『組織』の連中が混ざってるかもわからないし」
下手したら引き渡してすぐに、もう一度入れ替わられてしまうかもしれないし。
シャオソー特任大使は、まだ状況が飲み込めていないのか頭にハテナを浮かべているし。
「いや、私の屋敷で面倒を見るよ」
眉にシワを寄せたセイムス男爵がため息を付いてそう言った。
「あら、良いんですの?」
「友人の私が面倒を見るのが筋だろう」
「……『組織』の人間が来るかもしれませんわよ」
騎士団がいてもまぁ無理なのに、非戦闘員しかいないこの屋敷じゃ皆殺しにされて乗っ取られるのがオチだ。
しかしセイムス男爵は、フンと鼻で嗤う。
「いざとなったらイザベル、キミを呼ぶよ。すぐに助けてくれたまえ」
「……承知しましたわ」
金は出すから守れ……の別バージョンみたいなモンね。
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