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38話――からかい上手のイザベル様⑧

 カーリーにお願いして、諸々の記憶を読むと……この辺を根城にして、略奪を繰り返していることが分かった。

 そして、さっきの洞窟っぽいところに奪った物などをため込んでいることも。


「ただ……殺しはしてないっぽいわね。やりすぎないようにしてたってところかしら」


 それとも、殺しにかかれば必死の抵抗にあってこちらにも被害が出ると知っていたからか。どのみち、命まで奪われていないのならばあの中にある物品を持ち主に帰せば終わりだ。

 ただそれは面倒だから、この自治地の管理をしているセイムス男爵に任せるのだけど。


「女神の言う通り、ここは自治地だ。となるとやっぱり妙だよ。こうやって人々を襲っていることが貴族にバレたら騎士を差し向けられるのは知っているはずだ」


 ユウちゃんが眉に皺をよせ、顎に手を当てて何かを考えるような仕草をする。彼女の言う通りだけど、貴族にバレないようにやっていただけじゃないかしら。

 ……いやでも、死んでないのよね。


「この道はセイムス男爵の屋敷に行く人々以外も通る道だ……よね、女神」


「地図によれば……そうね。もう少し行くと十字路があって、そこで屋敷に行く道へ入るみたいだわ」


「じゃあ、さっきの奴らは屋敷に向かう人以外も――否、以外を狙っているとみるべきだろうか」


 ユウちゃんは推論を述べた後、シアンの方を見る。


「セイムス男爵は、自治地の管理をおろそかにするタイプかい?」


「実態は分かりませんけれども、人となりだけを考えたら……そういうことを蔑ろにするタイプでは無いと思いますわ」


「ふむ……益々変だ。十分も走れば自治地から出るっていうのに、なんで態々自治地で荷馬車を襲うんだ……?」


 シアンの答えに、更にユウちゃんが考え込む。

 ……確かに、もう少し行けば自治地から出るわけで。わざわざ近くに貴族の騎士が配置されている自治地でシノギをやるのは非効率的。

 今回は貴族の馬車を狙った形になったけれど、記憶をあさる限り殆ど商人や荷馬車を狙っていた。変な噂が立ってここを通る人が減ったりしないのかしら。


「……その辺も含めて、セイムス男爵に聞いた方が良いかもよ女神」


「そうねぇ。別に他人が自分の家の管理をどうしてようと関係無いけど……」


 しかし気になる物は気になる。

 何故かシアンに……というか先代イザベル(?)に協力していた件も含めて、解き明かさないと何となく気持ちが悪い。


「最悪、オレが書類とか調べるッスよ」


「いやプライバシーとか機密とか知らないんですの貴方は」


「頼んだわよ、マリン」


「貴方がゴーサインを出してどうするんですの!?」


 シアンのツッコミを受けつつ、私達は馬車へと戻るのであった。

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