38話――からかい上手のイザベル様②
別にイジメて無いけど……シアンが泣いて私に組み付いてきたので、一旦ウノはやめて片付ける。
まだ道中は長いし、トランプでもやりましょうかね。
「いえ暫くゲームは良いですわ。どうせわたくしが負かされますもの」
「シアンさん、拗ねないでくださいよ」
ふん、とそっぽを向くシアンにカーリーがやれやれと首を振る。どっちが年上なんだか……と言いかけたけど、カーリーの方が年上なんだった。あんまり人生二度目感は無いけど。
「あー、でも海楽しみねぇ。ジーナと会うより楽しみ」
ワナガーカの海といえば、ナンショーやノエ島。観光スポットとして有名で、ウキョートからも貴族や商人が訪れるというほど。
ミーハーかもしれないけど、一度くらい行ってみたかったのよね。
「こらこら、女神。海の方が会いたいだなんて……それ本人の前で言っちゃダメだよ?」
「言わないわよ、女の子悲しませる趣味はないし」
「さっきのウノでわたくし、めっちゃ悲しみましたけどぉ!?」
「シアンが弱かっただけでしょ?」
「むきーっ! 再戦、再戦を望みますわ!! 今度は運の要素が薄いゲームにしますわよ!!」
本当にこの子はからかい甲斐があるわねぇ。このままだと私、からかい上手のイザベル様になっちゃう。
運の要素が薄いってことなので、ポージャンでもやるかしらね。トランプを取り出し、皆に配る。
「それに交渉で不利になるようなことはしないわよ。あ、ポージャンでいい?」
「ポージャンもシアンさん弱くありませんでしたっけ〜?」
「だまらっしゃいですわレイラさん。さっさと配ってくださいまし!」
ポージャンとは、トランプでやる麻雀……のようなもの。私の地元でだけやってた、謎のゲームだ。
基本はポーカーなんだけど、捨てたカードを拾える、チェンジは何回でも良い、いつでも上がれる……など様々な違いがある。
「いきますわよ! わたくしのターンからっ!!」
一人のプレイヤーが上がった時に、各プレイヤーはコールとドロップを選べる。
そして上がったプレイヤーから順番に、レイズ権が与えられて、再度ドロップとコールを得ラフ。
最終的に全プレイヤーがコールして役を発表。一番強い役の人が総取り。
「揃いましたわぁぁぁあぁあぁあぁあ!! フルハウスッ!!」
「フォーカード」「フォーカード」「フォーカード」「フォーカード」
「なんでですのっ、なんでですのっ!?!? も、もうイカサマ以外ありえませんわっ! ベラさん、ちょっと太ももを借りますわよっ!!!」
私の足にすがりつき、およよと泣き出すシアン。
可愛いんだけど、本当にゲーム弱いわねぇ……わざと負けようとしてるんじゃないかしら。
今は私、イカサマしなかったわよ。




