37話――ふしぎ友誼②
心から許せるものじゃないだろう。私はカーリーとの付き合いの方が長いし、原作イザベルを知ってるから……基本はカーリーに同情的だ。
でもカーリーの方が酷いことをしたと言う人もいるだろう。それくらい、お互い割となことをやっている。
「むしろ女神が許してるのはすごいよ」
「初っ端の事件が凶悪すぎて、正直いがみ合ってる場合じゃないって実感したのよね」
そして怒りを持続させるには、あまりにもカーリーは可愛いし健気だったから。
アレでオッサンなら絶対に許してないから、やっぱりかわいいって正義だわ。
「って、女神。その三行目、数字違ってないかい?」
私の手元の書類を見たユウちゃんが首を傾げた。
確認してみると……確かに数字が一桁違う。どうもゼロを一つ付け足し忘れたらしい。
「ありがとう、ユウちゃん。この書類まとめたのは……シアンね。あの子別に頭悪いわけじゃないけど、そそっかしいわねぇ」
「まぁまぁ。忙しいだろうし」
私だって怒ってるわけじゃない。とはいえ、流石にミスがある書類は直してもらわないと。
ウィンを呼出し、書類をもたせる。
「これ、シアンに直すよう言ってきて」
「びゅうびゅう」
「喋れないのに大丈夫かい?」
「あ、そうね。メモ挟んどきましょ」
メモもつけて、ウィンを飛ばす。こういう時にケータイが無いと不便ね。通話は良いから、メールさせて欲しい。
レイラちゃんなら作れそうだけど、どうかしら。
「冒険者ギルドには、書類を転送する魔道具があるよ」
「ああ、書類そのものを転移させるのはアリね。レイラちゃんに作らせましょうか」
なんて会話をしていたら、ドアの向こうから走ってくる音が聞こえてきた。
「あれ、もうシアンちゃん出来たのかな」
「だいぶ早いわね。シアン、もう直せたの?」
ノックされる前にドアの向こうに声をかけると、恐る恐るという風にゆっくりシアンが入ってきた。
「な、なんで分かったんですの?」
「足音からの推理。ただの技術よ」
歩幅が狭いからレイラちゃんじゃない。
そしてカーリーなら転移してくるし、マリンならスカートの下にある銃火器がカチャカチャ鳴る。
ということは、消去法で残るはシアン。
「いや、なんでそれが聞き分けられるのかが分からなくて怖いんですわ……」
……なんでドン引きされるかしら。
こっちは割と国の命運をかけて殺し合いしてるんだから、これくらい出来ないと。
「貴女の言う技術は、どれも貴族の淑女に不要なんですわ……」




