33話――見た目は令嬢、頭脳は悪役④
「あ、あり得ないあり得ないあり得ない!! こんなのあり得ない! だってこんなの、えっ!? げ、幻覚? 見た目だけ?」
ビックリ仰天して、自分の身体をペタペタ触るマティルダさん。そして隣にモナークさんがいるにも関わらず上半身の服をはだけさせ、胸を自分で揉みだした。
「か、感触はある……でもハリが凄い……! お肌のハリが凄い! えっ!? へあっ!? なんで、なんでこんなことが出来るのねぇ! 私なんも言わなかったじゃん!!!」
語彙が砕け散り、レイラちゃんの方へ身を乗り出すマティルダさん。胸元がはだけているため、谷間が奥までよく見える。白い下着なのねぇ。
マティルダさんに問い詰められたレイラちゃんは、やれやれという風に首を振った。
「まず『賢者の石』は本物なので、何も言わずとも望んだ魔法石に変化します。そして若返りなんて簡単ですよ? 人体が老いるロジックは確立されていますから、逆に言えばそれを逆転させれば肉体だけなら若返ります。もっともそれも限度があるので、不老にはなれませんけれど」
「限度って? こ、この状態から老いていくの!?」
「いえ内蔵や脳が。要するに見た目だけ若返っている状態なので、寿命は変わらないってことです」
「そう……でも見た目だけなら若返ったままでいられるのよね!? やった、やったぁ!」
テンションマックスで叫んでいるマティルダさん。まぁ……その若返った姿の方が可愛らしいとは思うけどね。
「はあ……ああ、そういえばこんな肌だった……。どれだけスキンケアしても、この頃には戻れない……! 何もしなくてもツヤツヤなんて! 全人類の望み! 見た目を取り繕っても滲み出る老いが……! 消えている……! まさに若返り! ……ハッ!」
何とも言えない表情で見守られていることに気づいたマティルダさんが、カーっと顔を赤くする。気の強そうな美人が赤くなる姿でしか摂取出来ない栄養……あるわよねぇ。
「また美人に鼻伸ばしてませんかイザベル様」
「見た目が良ければ年齢すら超越するんですね。まぁカーリーさんを見ていたらそれは分かりますけれど」
何故か二人から白い目で見られる。まるで私が顔だけで判断しているかのような言い草だ。
「……えっ、貴女って本当にそっちの趣味があるんですの? 昨日のアレって冗談でもなんでもなかったんですの?」
本気でドン引きした様子のシアン。私はいつだって本気よ。




