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33話――見た目は令嬢、頭脳は悪役②

「簡単な話です。この世界における錬金術師の悲願は、本来は三つ。『賢者の石の作成』、『不老不死の成就』、そして『魂の可視化』です。これらが相まって、一般には『錬金術は不老不死を齎す賢者の石を作成することが目的』と言われることが多いです」


 つらつらと、錬金術師についての講釈を垂れるレイラちゃん。

 彼女はシアンの持つ変化した魔法石を受け取り、ジッと見つめた。


「私の作る『賢者の石』は、理想のそれと違って『一回切り、願った魔法石に変化する』という性質を持ちます。しかし、その魔法石で出来る範囲内は『錬金術で定義されている物』に限るんです」


「う、うだうだうるさいですわっ! つまり!? つまりどういうことなんですの!?」


「これだから文系は、理屈をすっ飛ばす……!」


 イラっとした表情のレイラちゃん。ごめん、今度から私もちゃんと話を最後まで聞くわね……。


「レイラちゃん、いつも通り専門用語を廃して私達にも分かりやすくお願いしても良い?」


「……はい。イザベルさん、ストレス発散に付き合ってくださいね」


「勿論」


 こりゃ、三日くらい研究に付き合わされるわねぇ。

 なんとなく彼女のツボも分かって来た中、咳払いした彼女は話を続ける。


「単純な話です。『精神』や『魂』は、現段階で錬金術で定義出来ていません。よって、定義不能な現象に対してアプローチする魔法石は出来ないんです」


 なるほど、やっぱりその辺は科学の発展型って感じするわねぇ。


「め、命じた魔石になるんじゃないんですの……!?」


「今言った通り、錬金術も賢者の石も万能ってわけではありません。科学である以上、この世に存在する現象を再現するだけです。そもそも、私の賢者の石は魔力から思念を読み取り、それに反応する形で自己を改変して、全く別の魔石に変化する物です。貴方が正確に賢者の石に思念を伝えられなかったから、分けのわからない魔石になった可能性も大いにあります。だいたい七十年前に発見されたカルノキア現象を応用してこの賢者の石は作られていて……」


「レイラちゃん、1回ストップよ」


 専門用語が増えだしたので、彼女を一度止める。

 唇を尖らせている彼女は、私の膝をペシペシと叩いてきた。ごめんなさいってば。


「つまり、魂や精神といった不確定な物を操れるのは現状、カーリーさんだけということになります」


 自称(と言うには大仰すぎる二つ名持ちだけど)、一流の錬金術師である彼女が言うのだからそれは間違いないんでしょうね。

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