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32話――空想錬金読本①

 さて、日程調整をして数日後。ワナガーカの件もギリギリに迫ってきている中、私たちはラピスラズリ商会にやってきていた。

 本来ならばうちに呼ぶべきなんでしょうけど……まぁ、ビジネスの話は提携を申し込む側が挨拶に行くのが筋だろうし、こうしてやってきている。

 あと、子爵を呼んだってことで向こうを萎縮させる狙いも少しあるけどね。


「今日は人事担当のモナークさん、あと財務担当のマティルダ女史が来られますわ」


「経営の担当者は来ないの?」


「わたくしにお任せするが、断るようにと指示が出ております」


「あら、嫌われてるわね」


 その嫌われている原因は、目の前のこいつな気がするけれど。

 私の方は、今日は珍しくレイラちゃんを連れてきている。彼女の技術を供与するって話だから、説明できる人がいないと意味ないから当然だけど。

 マリンとユウちゃんは気配を消して隠れているので、万が一バイオレンスな展開になっても不意打ちは避けられる。カムカム商会といい、レギオンホース家といい……私たちが協力を求めた所は、悉くこっちを手籠めにしようとしてきたからね。


「にしても、少し大通りから外れた所に構えてるのね」


「まぁそこは色々とありまして……」


 主要な道路から外れて、奥の方へ歩いていくと……比較的新しい、三階建てくらいの建物が現れた。ここが彼女らの言う本部なんだろうけど――なんか、ちょっとだけ騒がしいわね。

 なんか二、三人の男が箱でも持ってイタズラしようとしているというか……。


「ちょっ、何をやってるんですの!?」


 シアンが叫ぶと、男たちは「ヤバい」とでも言わんばかりに逃げ出した。

 どう見ても、変なシチュエーション。ただのイタズラなら良いけれど、もし爆弾とか仕掛けられてたら……。


「逃がす手は無いわね。カーリー、パス!」


「わっ、ちょっ! イザベル様!?」


 カバンをカーリーに放り、地面を蹴る。跳躍して建物の壁に張り付き、逃げる三人組の男を捕捉した。


「あそこね」


 壁から更に飛び、三人組の前に着地。スカートがふわっと広がってしまったので、慌てて手で抑える。


「ちょっ、何見てんのよあんた達。変態、スケベ」


「いやいきなり目の前に出てきて何言ってんだテメェ!?」


「つか、誰だよ! どけ!」


 男の一人がナイフを取り出したので、私は蹴りでそれをへし折る。

 そして飛び回し後方蹴りローリングソバットで、ヒールの尖ったところを顎に決めて気絶させた。


「やれやれね」

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