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17話――ヴァルキリー・ドライブ・ヴィランズドウタ―⑤

「フッ……」


 ……ま、まぁなんかカッコつけてるし。夢を壊すのも悪いわね。私はちょっと困った顔を作り、ガーワンに見せる。

 彼はそれで少し満足そうに、私の唇に唇を近づけて来ようとしたので……足の親指に力を籠め、超スピードでバックステップした。頭の高さを変えずに下がると、瞬間移動したみたいに見えるのでおススメだ。

 キスを空ぶったガーワンは少し不思議そうな顔になる。


「…………?」


 私と自分の位置を確認して、首を傾げるガーワン。そしてもう一度近づいて来たので、今度は顎を掴まれる前に同じようにして背後に瞬間移動する。


「………………??」


「…………(にこっ)」


 今度は顎に手を当てて何かを考えるような仕草になるガーワン。そしてくんくんと何かを嗅ぎだした。


「なんだこの臭いは」


「へ? ……あら」


 確かに焦げ臭かったので、臭いの元……即ち足元を二人で見ると、今の私の動きでカーペットが焦げ付いていた。

 摩擦で燃えちゃったのね。


「いや……そうは、ならんだろう」


 なっとるやろがい。

 ……とは、淑女なので言わず。私は取り合えず笑っておくことにした。


「いや、笑っても誤魔化せんぞ。なんだこれは」


 誤魔化せなかった。


「な、なんだこれはと仰られましても……私もよく分かりませんわ」


 スッと手を伸ばすガーワン。バックステップで瞬間移動する私。


「今のだ! 今のがおかしいと言っているんだ! 何だ今のは、魔法か!? 私はこれでも貴族の中では武芸に秀でると言われるのだぞ!? なのに何故目で追えない!? 魔法か!? それとも改造か!?」


「いやですわ、淑女の嗜みで御座います」


「お前のような淑女がいるか!」


 失礼な。こちらの世界に産まれ落ちて十六年、立派に農家の娘をやってきましたとも。

 ……あら、淑女じゃなかったわね。


「ガーワン様、こんな目前で大きな声を出されては……私、恐いですわ」


「……………………なんという嘘くさい目だ……」


「あんたがさっき穢れなき目って言ったんでしょ!」


「は?」


「いえ、何も」


 ついに我慢出来ず、ツッコんでしまった。私は咳払いしてから、目に涙をためて恐怖に震える女の子を演じる。


「そんな……わたくし、てっきり領主としての心構えを説いていただけるのだとばかり思って、勇気を出してここまで来ましたのに……」


「演技は良い、演技は」


 演技って断じられたんだけど。おかしいわね、前世では『たぶんペンギンくらいならギリギリ騙せる』って言われたほどの演技力なのに。

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