カウンセラー
「はい、次のかたどうぞ、」
猫背の男が一人入る。
気分が憂鬱だ、
彼はどんよりと
今日の空は晴れだが、
心の中が雨模様に見えた。
白衣の女医は冷静に
眼鏡の奥底で
診断をする。
それから、話を聞く、
タスク通りの方程式だが、
他の道にそれたら、
大事故になるであろうというのだろうか。
「悩みはなんですか?」
猫背の男は女医の脚を見る。
細く、色白の脚で綺麗だ、
だけど、人形のようにみえる。
もし、彼女に血が通ってるのなら、
肌色のはずだが、
なぜ、肌色ではなく、
白なのか、
異常にまでも、白、
男の目の隈が一つ、いや、ポツリと
にじみ出るようにして現れた。
だが、彼は気にする素振りは見せない。
自分には答えがないからだ。
難解な文で話すことを怖がる。
「どうされたのですか?、なにか?あったのですか?」
「いっ……いえ、なっ何も……」
本当は話したいことがある、
例えば、今思い付いたこととか、
今日は晴れが綺麗でしたねとか、
彼は話したいことがあったのだ……
だけども、
「何も!?何も!?ないんですか?
ここに、カウンセリングを来たのに!?」
女医の顔は歪む、
猫背の男を責めるよりも、
ヒステリックに、
彼女自身に対して
向けて言ってるように、
猫背の男は帰る
そそくさとそそくさと
「つまらなくていいんです、落ち着ければ、それじゃ」
意味不明な言葉を返して立ち去る猫背の男、
理解されなくていいということが分からず、
理解してもいいことが分からず、
彼と彼女、
彼は建物の外へ出る
人間も、
猫背の彼と同じように隈が一つポツリと風船のように膨らんだ。
そして、また一人、どこかで風船とともに空に消えた。




