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気ままに気のままに〜無力な俺を苦労が襲ってくる〜  作者: ennger
第7章 龍魔戦争 一難去ってまた一難
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第89話 決着 

「カー・・リー・・。」


「そんなっ・・・!」


「そ、んな。カーリー様ッ!」


 敵さんかなり驚いていた。

 意外と主戦力級だったのか。


「シア。何か分からんが良くやったぞ。」


「!ありがとうございます。」


「?どした?」


「いえ、何というか。

 いつもより雰囲気が変わられたと思い・・。

 失礼致しました。出過ぎた真似を。」


「気にしてないよ。

 そうか。変わったか。

 正確には元に戻ったかな。」


 シアは『?』マークを浮かべながら、俺に首を傾けている。


「ま。気にすんな。俺は俺よ。」


「はい。その通りです。」


 改めて敵さんらに振り向くと、カイザルとかいう魔王級が睨んでいた。


「貴様の名を聞かせろ。」


 同じ子供のクセにしては、王としての貫禄があるな。


「キャストだ。」


「そうか。覚えたぞ。借りは必ず返す。」


「撤退だ。このままでは僕らが先に潰される。

 国内の兵にも急ぎ通達せよ!」


「かしこまりました。」


 後ろから黒いゲートみたいのが現れて消えた。


 あれが魔法の転移ってやつか。

 ルルのは一瞬だからな。


「ふう。何とかなったのかな・・?」


「その通りかと。流石は主様です。お見事でした。」


 なんか、女サイクロプスを殺したの俺みたいなんだけど。

 罪を擦りつけないで下さい。


『まぁ、間接的に殺した様なもんですけどね。』


 痛いところ突かないで下さい。


「とりあえず、みんなと合流かな。」


 しかし、俺はこの後、驚きの行動に出るのであった。



 撤退前の戦い 龍国内


「ぐ、グレースさん!」


 メイが魔力枯渇で倒れている姿を気にはしていたが、結界魔法の維持のため動けずにいた。


「わ、わ・・た・しは・い・・いか・・」


 途中で気絶してしまった。


「私が代わりに魔力を!」


「ダメ!どのみち結界の維持自体無理。

 あなたの魔法で更地に変えて・・・。

 じゃあ、よろしく。」


 スッとメイが意識を失った。

 そして、彼女が倒れたのと同時に結界が解けてしまった。


「そ、そんな!メイさん!」


 そこに一つの影が登場した。


「ようやく辿り着けましたよ。

 愚かな勇者と、おや?裏切り者の魔女もいるではありませんか。」


「あ、あなたは!指名手配の『ダグリル・マッカートニー』!」


「よろしく。エルフのお嬢さん。

 これでも、目立ちたくは無い暗殺者をしているんだ。

 指名手配とか困ったものだよね。本当に。」


 優しそうな顔に対し、狂気な笑みを浮かべる男であった。

 腰には短剣を2本持っており、暗殺者らしく、薬等もローブ越しに装備しているのが見える。


「おっと。やめた方がいいと思うよ。お嬢さんは強い。僕は弱い。

 だからね、僕が君を簡単に殺してしまうんだ。」


 何を言っているのか。

 以前のハイネなら分からなかっただろう。

 だが、今のハイネは違った。


 ご主人様が言ってた。暗殺者は基本弱いと。

 しかし、弱いからこそ強いって。

 確かに、ブラスさんは力は無いです。

 それでも暗殺者の中でも、名がかなり通っているお方です。

 地力は私の方が上だけど、毎回訓練で1本も取れない。

 弱いからこそ、強い人たちに対抗すべく思考を凝らしている。


「へぇ。魔道士の割には落ち着いているね。

 相当訓練されているね。

 ま、もう仕掛けは終わったけどね。」


 周囲には糸が張り巡らされていた。


「なっ!」


「油断はしていない。だから、油断をしていない隙を使った。

 難しいよね。死ぬからどうでもいっか。」


 だが突如、空から高魔力を感じた。

 張り巡らせた糸の上から攻撃が入った。

 その跡から、大量の煙が舞っている。


 やがて、煙が少しずつ収まってきた。


「!あ、あなたは!」


 煙から現れたのは、白銀の鎧を全身に包み込んでいる。髪がピンクのセミロング女性だ。

 腰には剣を2本常備しており、うち一本が抜かれている。


「く、クラウディアさん!!どうして・・。」


「どうしても何も、ギルドのゴタゴタが収まったからな。

 それに、戦争の話は全世界に響き渡っている。

 そこにキャスト様やアリシア様たちがいるのだ。指を咥えて見てなどいられるか。」


「ウウッウッ・・・。ウェーーン!!」


 急に泣き始めたハイネだった。


「泣くな泣くな。

 それよりもだ。お前たちと上空の黒い龍だけなのか?」


「ひぐぅ!ぐすん!ばい!ぞうでず。」


 ハイネは鼻声になってしまっていた。


「そうか。作戦行動中と見た。

 ならば、全員で直接向かったのは失敗か?

 エラルド。聞こえますか?」


『聞こえるぞ。』


「そのまま龍形態でキャスト様たちを探してください。

 こちらは我が隊とハイネで切り抜けられるでしょう。」


『了解した。』


 黒龍より遥か上空から、巨大な緑龍が現れた。


「ゔぇえ!あ、あ、ああれエラルドさん!?」


「そうだ。あれが本来の姿だ。」


「えっ!な、なんか目ん玉四つありますよ!

 オデコには、緑の宝石もあるし!」


「それよりもだ。

 そこの倒れている2人を抱えて避難しろ。」


 ハイネはハッと我に返った。


「そ、そうでした。」


 風魔法を使い、グレースとメイを浮かせ、後方に避難するため城を飛び降りて行った。


「おやおや。代役ですかな?

 邪魔は感心しませんが。」


「すまないな。つい飛び出したくなってな。

 ここ一年半は自身を鍛え抜いていてからか。

 実力をお披露目したくて、ウズウズしていた。

 ちょうどいいカモがいたから、つい飛んできたんだ。」


 ダグリルはキッと睨みつけた。


「舐められていますか・・。

 その方が好都合ですがっ!」


 どこからか、数十本のナイフが投げつけられていた。

 ワイヤーの様なもので繋がれているため、変則的な動きをして、クラウディアに向かっていく。


 だが、クラウディアは守りどころか一切動かなかった。


「!諦めですか!死ねぇぇぇぇい!!」


 ナイフが全弾命中した。

 しかし、キンキンッと絶対に鳴らないはずの音が聞こえた。


「な、に?おかしい!

 鎧の隙間や顔などの、要所要所にナイフが当たった筈だ!

 なのに・・・・なぜ!1本も刺さらぬ!」


 クラウディアの肌は依然として綺麗である。


「うむ。魔力との併用は難しいが、単体だけなら使いこなせそうだ。

 神のお力を私もようやくものにできた。

 これで・・・・よしっ!」


 急に最後の方で声を荒げたため、ダグリルが少しビビってしまった。


「くっ!撤退だ。」


 すぐに、城から飛び降りた。

 しかし、おかしい光景が見えた。

 身体が城に置き去りになっていた。

 薄れ行く意識の中で気づいた。


 首だけが落下している事に。



 森の戦闘


「くそが!ムカつく!」


 ヘルガーは発生する死霊魔物たちに、足止めをされていた。

 本持ち眼鏡悪魔による死霊術だ。


「うじゃうじゃうじゃうじゃと!

 ネクロマンサーはこれだから面倒だ!」


「言ってくれますね。

 死の魔法に関しては奥が大変深く、素晴らしい光景が観えるというのに・・。」


「イカれ野郎が!」


 バルディッシュを振り回して、敵を斬り裂いていた。


「チッ。あっちの方がヤバいのに。

 ここで足止めか!

 毎度毎度、損な役回りだ!」


 ヘルガーは血を流すブラスと怪我や損傷が激しいアリデーテを横目で見ていた。


「ぶっ!ぐ、はっ!」


 二刀流悪魔剣士はハンデで拳のみで戦い、ブラス・アリデーテを圧倒していた。


「アリデーテ!」


 腹部に攻撃をモロに受け、地面に横たわり、苦しんでいた。


「安心しろ。殺しはせん。

 女を殺すなど、剣士の恥だ。」


「随分と優しいんだな。」


「いや、それだけでは無い。

 お前たち程度を殺せば、俺の品格に関わる。」


 舐められているというよりは、明確に実力差を視認している。


「歯痒いな。正解なのが。」


 ブラスは自身の節々の痛みもある。

 しかし、アリデーテの方がダメージ的にも限界を向かえている事から、厳しい表情を露わにした。


「む?撤退・・・。おいサバト。引くぞ。」


「おや。確かに伝令が。

 我々の指揮官は無事のようだが、酷く煮湯を飲まされたみたいだな。」


「ほう。逃げるのか?」


「申し訳ない。荒々しくも美しいお嬢さん。

 またの機会にお会いしよう。」


「ヤッホー。お待たせ。」


 上から呑気な声が聞こえてきた。

 そして、ミレルミアを抱えて着陸してきた。


「!!あのバカ!」


 ヘルガーは有無も言わずに動いた。

 かなりの速度で動いたが、敵全員がラグエルの転移によって消えてしまった。


「チッ!!魔眼か何か持っていやがった!」


 何かが視えていたような動きであった事を察知したヘルガーだ。


「グッ・・。すまない。

 動けない私が不甲斐ない。」


「フン。無茶をするな。

 実力差がありながらも何とかなったんだ。

 マシな成果だろ。」


 アリデーテは気が抜けたのか気絶した。


「確かに、私もまだまだだな。

 忍術を納め、実力はそこそこ自信があったが。

 世界はつくづく広いな。

 もう一度修行のし直しだ。ハハハハ。」


「そうだな。私も力不足を感じた。

 どうやれば、キャスト様のお力が使えるのだ・・。

 今はそれよりもバカが攫われてしまった。

 好都合と考えたいが、キャスト様は恐らく。」


 ヘルガーは考え得る限り、最悪なケースを思い付いていた。



 キャスト視点


「シア。ヘルガーたちのところへ戻ろう。

 ハイネたちも心配だ。」


「はっ!かしこまりました。

 ん?少しお待ちを。」


 シアが誰かと連絡を取っていた。


 俺もそれ使えるようになりたい。


『魔力が無いので無理です。』


 痛い現実を知った。


「!!何!アイツ!あのバカが!」


 シアがお怒りだ。

 また何をしたんだが・・。気が思いやられる。


「主様。その、申し上げ難いのですが・・。

 ミレルミアが攫われました。」


 この一言だけで、俺は疑問も何も感じる事なく動いていた。


「!!主様!」


 キャストはアリシアの前から、一瞬でいなくなった。

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