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気ままに気のままに〜無力な俺を苦労が襲ってくる〜  作者: ennger
第7章 龍魔戦争 一難去ってまた一難

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第84話 進化する個体 変革をもたらす者

 俺はヨイショと起き上がった。

 敵は右腕がぶらりと。


 もう使いもんにならんな。

 肩ごともって逝ってやったぜ。


「ぐぅぅ!ギィ!やるな・・。

 まさかそんな特殊技で攻められるとはな。

 勉強になった。

 攻め過ぎれば、首が餌食になっていたのかもしれない。」


『フロントチョーク』、『サブミッション』、『三角締め』、『蟻地獄』などなど、首を絞める技は豊富だからな。


「へっ。その通りよ。」


「だが、その状態だからこの技が通用すると見た。

 普通の力比べでは俺が上だ。

 例え技術が必要な抜け方があったとしても、力でお前ごと叩きつけたり、吹き飛ばせばいいからな。」


 ご明察通りです。

 普段の俺はムリムリ。

 この伝説のカチコチマンモードだからできるのだ。


『ついさっき、思いついたような技が伝説ですか?安っぽい伝説ですね。』


 な、何を言うだーー!


 例のセリフを変えてみた。


『バカな事してなてないで、相手に動きがありますよ。

 相手は魔王級です。もう一波乱ありそうです。』


「くっ。まだだ。まだ俺は戦える。

 俺は戦える。俺は!俺はっぁぁぁぁ!!」


 急に叫び散らかした。

 その時、雷のようなものが上から落ちてきた。


『こ、これは。神の加護!?』


 は?なんでや!なんで魔王が加護!??


『元々、魔王側にも信仰している神々はいます。

 邪神や悪魔神、亜神と言った類です。

 しかし、加護を・・しかも、スキル自体を直接本人の答えに応じて贈るなど!


 魔族の神々が彼を待っていた?何のために?

 まずいです。もう勝てません。』


 ふぇ!『知識の輪』さんやい!何だって!


『勝てません。

 今まではこれならと思い、見守っていました。

 ですが、ここで確実でかつ明確な差が発生しました。』


 神に魅入られたか、神に仇なした者か。か。


『その通りです。

 さまざまなオーガの特殊魔法や技を持ってしても、勝てる見込みはまだありましたが、これで無くなりました。

 ・・・・・。申し訳ありません。

 やはり、私はポンコツでした。』


 急に弱気になんなよ。

 ピンチは今も昔もだ。


『し、しかし!今度ばかりは私のミスで!』


 完璧なんてないんだっての。

 魂が宿りし、生きし生きる者たちは過ちを犯すものなり。

 お前も例外じゃないの。

 だから、死んだとしても気に病むな。

 むしろ、次に活かせ。


『そん・・な。次なんて・・・。

 私には理解不能で・・す。』


 知識や知恵じゃ、理解はできんわな。

 そうこうやり取りをしているうちに、無事に進化を遂げたらしい。おめでとう。


「何だ?この感じは。

 こう、新たな自分が生まれたみたいだ。」


 煙から現れたのは。細マッチョの身長2m越えの冠のような形をした4本ツノの持ち主が現れた。


 肌は赤黒い。メタリックはない。

 しかし、透き通るような綺麗な肌に変わってる。

 傷つくことが無いような雰囲気が伝わるぐらい、頑丈そうな肌だ。

 そして、驚くべき事に黒き翼が生えてる。


 種族変わったのか。


「随分と変わったじゃあないか。」


「そうだ。

 だが、俺自身が生まれ変わったのはあるが、別に種族が変わった訳ではない。

 圧倒的な力だ。

 今なら、あの大魔王と一騎討ちができる?」


 俺の事よりは大魔王様らしいな。

 このままあっち行ってくれ。


「だが、決着をつけねばな。その前に。」


 余計な一言共に、スッと右腕を触っている。


「治ったのかよ。完治早いわ。」


「ああ。お陰様でな。

 神様ってのを少しは信じてみようかなと思ったぜ。」


「お生憎、俺は信仰心が無くてね。

 冒涜者だからか。」


 ギベルはニヤリと笑って答えた。


「ユーモアもあるのか。

 やはり、生かして捕らえよう。

 そして、フェルディラに頼む事にした。」


 急に簡単に言うな。


「フェルディラって奴が従うのかも分からんがね。」


「従うさ。

 アイツも死にたくは無いだろうからな。」


 うわ。なるほどな。

 魔王級の中でも飛び切りずば抜けた訳だ。


「さぁ、俺の女にするぞ。」


 男だよ!まだな!ってこれからもだよ!


「では、行くぞ。」


 カチコチマンモードの硬さでいける・・か?


 いつのまにか、レーザーのようなもので、両肩と両腿を撃ち抜かれていた。


「なっ!」


 そのまま力無く倒れた。


「こんな少しでも貫けたのか。強過ぎたか?」


 言葉が出なかった。

 何もしてないとかじゃない。何もさせなかった。

 今までの反応できないからとか、できないならとかじゃない。


 分からないんだ。これと戦う方法が。


「動けそうか。ならば、暫くは寝ろ。」


 やば!


「ぐぉぉぉぉ!」


 咄嗟にカチコチマンモードを解除して無理矢理飛び起きて、後方に下がった。

 しかし、蹴られていた。

 更に、後ろに下がっていったどころか、止まらない。

 山に当たったのか、ようやく止まった。


「ゴフっ。」


 血がまたしても流れた。

 限界か・・・。足跡付いてるし。

 内功が硬いせいか、強めに蹴りやがって。

 跡残ったらどうすんだ・・よ。


『ま、マスター!!』


 そのまま地面に倒れてしまった。


 や、やべー。気を失う。

 これはもうキツい。


 サッと目の前にギベルが現れた。


「ふむ。予想以上に弱ってしまった。

 すぐに、フェルディラに連絡して来させなくてはな。」


 あー。更に俺の人生最大の末期が来る。

 男に掘られる。

 クソまずい。このまま死にたい。


『『ダメ。』』


 なんだか聞いた事のある懐かしい声がした。


『『ダメ。』』


 でも、今度こそ死なないと俺、辱めを受けてしまう。


『『そうじゃない。死んじゃダメッ!

 私待ってる。パパ!私変わらないで待ってる。

 だから、変わってもパパはパパなんだよ。』』


 俺・・の。罪か。いや違うな、希望だな。

 例え会えなくなっても、いつも思っていた。

 理解されないし、理解しないだろうが。


 けど、幻影か?は知らんが、確かに待ってくれているなら、俺は走り続けるだけだな。


 会えるか分からないって?知らんがな。

 パパなんだ。

 娘の我儘ぐらいは聞ける存在なんだよ。

 だから死なないし、負けない。

 今はそんだけしかできない。


 だから、それだけでも完璧にやってみせる。


 俺は強い!娘に言われたらなお負けん!


 娘の幻影から白い光が発生し、俺を包んできた。


 温かい。

 かつて感じた、赤ん坊の頃に抱っこしたり、笑ったり、泣いたり、ぼーとしたりしたあの温かさだ。


 ありがとう


『『もう。ダメだよ。自分を責めちゃ。

 怖がってたら折角の力も使えないよ。

 怖がって、目を逸らさないで。

 待ってるから。嫌いにならないから。大好きだから。』』



 キャストの身体から、尋常ではないエネルギーが放出された。


「なんだ!これは!お前!」


 キャストは元々、生命力豊かな子であった。

 しかし、赤ん坊から成長期にかけて、徐々に解放されなければ、自身の身体がエネルギーにより爆発してしまう。


 いち早く気づいたルシファルは下界に降り、契約術で自身と結びつけた。

 その結果、勝手に人に干渉したとして、堕天となってしまった。


 だが、正確には契約術ではなく、大元の根源が存在していた。

 彼の大好きな娘の存在である。

 この世界に来る前から、心にしまっていた記憶だ。

 前世の無力な自分への負の感情が、久田 楽苦の経験値という、生命エネルギーを無意識に封印していた。


 そこに、ルシファルが穴を開けたような感じになっていた。

 そのため、少しずつ成長にするに至って、力が解放されつつあった。


 今回は契約術そのものを自ら壊した。

 正確には娘に呼び起こされた。

 そして、前の自分の姿を取り戻す事ができた。生きた証と本来の目的を同時に。


 これで本当の意味で転生が完了した。

 これが本当の彼の姿。『完全なる人』。


「ヨイショと。」


 身体の至る所の埃を叩いていた。

 傷は秒で治しておいた。


 アドレナリン、常時脳覚醒完了だ。

 あー俺らしくなかったな。

 正直に生きていたつもりが、いつの間にか、心にしまいながら、ボソボソと言っている感じ。


 確かに、俺は俺を封印してたわ。

 思った事を仕舞うのではなく、思った事を言うのが私だよ。良かれ悪かれね。


「痛えな脳筋が。TS趣味は俺にはねえよ。

 女抱きてえからさ。」


「いきなり、ズバリ言うようになったな。」


「ハハハハ。そりゃそうだ。

 さっきまで俺は俺を殺していたらしいからな。

 また大好きなやつに教えられたよ。

 つくづく未熟者だよ。俺は。」


「なるほどな。

 しかし、この状況を覆せるのか?」


「もちろん。てか。簡単だよ。

 五◯先生みたいな感じだよ。」


「は?」


 『気活極』を改良した。


「『気天極きてんきょく』。」


「なっ!!なんだ。そのオーラは!?」


『ま、マスター・・。

 私でも見えます・・。これは一体・・。』


「考えついてんだろう。

 こいつが俺の気だよ。」


 白色だが、確かに実在している。

 俺の身体から山のように高く聳え立っている。


「全員視えるから多分わかんじゃね。」


「何をだ。」


「俺の勝ちってこと。」


 サッと2人とも消えた。


 ギベルンの右ストレートを軽く紙一重で避けて、代わりに、胴体にムエタイ流『肘打ち』を入れ込んでいる。


「がぁぁぁぁぁぁ」


 吹き飛ばないように中で威力を浸透させた。

 そのためか、血反吐を吐き散らしながら四つん這いで苦しんでいる。


「ぐぉぉお。おぇぇぇぇえあ。」


「かあ、きめぇ。」


 1発でこれな。

 本当今まで何してたの俺?これを使いこなす修行の方が大変だな。

 これを機に、さまざまな技を融合したのを修めたりする必要もあるな。


「な、何者・・何者だ!きさまは!」


「俺は通りすがりのイケメンコロスキーだよっ!覚えとけ!」


 顔面にサッカーボールキックを入れ、後ろまで吹き飛ばし返してやった。


 た〜ま〜や〜!


 それはそれは、よく飛んでいきましたとさ。

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