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気ままに気のままに〜無力な俺を苦労が襲ってくる〜  作者: ennger
第7章 龍魔戦争 一難去ってまた一難
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第73話 封印解除! 毎度やってくる不安の一抹

「デカくねえか?」


『大きすぎかと、直径だけでも街な建物と同じ大きさかと。』


「何を厳重にしてたんだがな。」


「それは開ければ分かることですね。」


「ロキ。そっちは大丈夫?」


「はい。まだ目を覚さないどころか、衰弱状態になっております。」


「ロキリアの言う通りです。

 これで力になるとは、一体どういうことなんだ、あの女王は。」


 全くその通りである。

 しかし、ほっとくのもできない。

 アイツとの約束だからな。


『変に義理堅いですね。マスター。』


 ソウダネ。

 押し付けられた感はあるがね。

 まぁ、ええよ。できることなんてこんなもんじゃろし。


『しかし、気量が足りません。

 魔力変換をしますが、異物な上、上質な魔力です。

 身体に支障をきたす可能性があるため推奨はされません。』


 だがやるぞ。

 大丈夫だ。筋トレはしている。


『いえ、今ボケとか要りませんので。』


 あ、はい。すいません。


「キャスト様?大丈夫ですか?

 あんなに多くの黒龍たちの石化解除に、多少なれど回復行為をなされたのです。

 無理はされなくてもよいかと。」


 ロキが心配をしている。かわいい。


「やるしかないやろ。」


 皆んなが待ってるしな。

 躊躇ってる暇はない。

 なまくらっ!やるぞ!


『かしこまりました。致死量レベルで行います。』


 マジすんません!調子乗りました!

 ほんと!勘弁して下さい!


『・・・・。では、少しずつ体内に魔力を流し込みますので、魔力を気に変換して下さい。

 原理は魔のエネルギーを生命力に換えてください。』


 例えば?


『ハイオクとガソリンと上手く混ぜて、車を動かせるようにする。』


 ばーか野郎!それ失敗したらあかんやつやん!

 車は制御システムがあるからだけど、俺ないやん。


『肩代わりできたらいいですが、気に変換することは私にはできません。』


 そうだわ。魔力を使っていると相性が悪い。

 しかも、操作は一朝一夕ではできない。


 だがやってやる。

 まずは集中力を高めてと。

 脳覚醒に無理矢理にでも至らせる。


「ふぅ〜。」


 久しく目を閉じて落ち着かせた。


 明鏡止水とはこの事か・・・。


『多分違います。』


 体内に何かが入ってくるのが分かる。

 結構キツイな。呼吸が乱れる。


 体内に侵入した魔力をろ過させるようにチビチビと変換して行く。

 これを一気にやろうとすると、処理できず身体に負荷が掛かるのと同時に魔力そのものに自身の生命力が喰われて死ぬ。


 本来魔力を譲渡する場合は、その人が使えるように、またはその人の魔力波長に合わせなければいけない。

 魔力は全てが同じ色や質を持っている訳でない。

 人それぞれの色や質を形取っている。


 その波長合わせの工程を抜きにして、今体内に入れているところだ。

 少しずつとは言え、下手したら只では済まないな。


 汗も止まらない。

 久々にかいたわ。普段代謝悪いけどな。

 いかんいかん。集中集中。油断したら、喰われて死ぬ。


「キャスト様・・・。」


 戻ってきた、ヘルガーが横から見守っている。ロキも心配そうに見ている。


「大丈夫だ。初めてだからな。

 少々手間取っている。もう少し待ってくれ。」


 これ1日で終わるのか?

 そして、そのまま深夜帯に入った。


「・・・・。」


「・・・・。」


 ぐぬ。気量が大分多くなったが、なんか気持ち悪い。吐きそう。


『不純物がてんこ盛りに入った気ですからね。

 とっとと使って消化した方が良いかと。』


 言ってくれるな。

 けど、準備は満タンだ。

 時間がかかってしまったが、これで終わらせようかね。


 大きな岩に手をかざした。


 魔法?で構築された物なのかは知らないが、物事に気が宿る以上は俺に不可能は無い!

 多分!


『自信無さ過ぎでは。』


 少しずつ結界みたいな奴を解いていく。

 次に、岩の封印を施した術式か?それを解いていく。


 少しずつ削れているな。

 一気にやると、中の人まで粉々にしてしまうからな。焦らない、焦らない。

 じっくりコトコト。

 しんどいな。体内に異物があるような感覚を抱きながら、繊細な解除法を実施ときた。

 身体の内臓をミシミシと締め付けられてます。

 ハイネの魔力が、俺の身体と相性が悪い証拠だ。


『なるべく早めに消化しないと、内臓が機能停止しますよ。』


 生涯まで困る話だな。

 ただ、一か八かは好きではないし、博打は残念ながら大の苦手だ。運が無いからな。


 すると、岩がゆっくりとヒビが入ってきている。

 ミシミシと周りから内に徐々に割れ始めている。俺の身体のミシミシも強まってる。


 ぐぉぉぉぉぉ・・・。シンドイです。

 泣けるくらい痛いです。

 吐血しないのが凄いぐらいです。


『並の常人よりは内臓器官がお強いのでしょう。』


 鍛えてます!シュッ!

 てか、この岩さ。何か他の石化の呪いよりか厳重だし、何重にも何かの術式が施されているし。

 この中にもしかして、災害級がいたりとか。

 アレ?俺。やばい事してるかな。


『今更かと。』


 やばい事を思い出すと、それに反応してか岩が急速な勢いで割れ始めた。

 全てが一気に粉々に砕けて煙が舞っている。


「ゴホッゴホッゴホッ!」


「キャスト様!大丈夫でしょうか?」


「お身体の具合は大丈夫ですか?」


 ロキとヘルガーが一気に俺に詰め寄ってきた。余程心配だったのだろうな。


「大丈夫なのか?

 身体がまだ痛いが、とりあえずは気絶とかしないので無問題です。」


「??モウマンタイ?」


「??だ、大丈夫なら良かったです。」


 あ、言語の壁が。

 ついね。言っちゃうのよ。


「それよりも、あの煙の中は一体・・・。!」


「お下がり下さい。」


 ヘルガーとロキがいち早く殺気に察知し、ヘルガーがバルディッシュを構え前に。

 後方に俺を連れてロキが下がっていった。


「おいおい。何百年封印されていたか知らんが、とんでもないくらい元気な奴だな。」


『相当怨みが込められていますね。

 一応私なりに鑑定をしてみましたが、化け物級です。

 おめでとうございます。また、災難がやってきました。流石はマスターです。』


 はいでました。一難去ってまた一難ね。

 またかよ!

 しかも、今度は大丈夫かなって油断してたわ。だって、助けるだけだもん。


『しかし、運命はあなた様を許しはしなかったそうですね。

 これだけ不幸だと、何かしらのお祓いとかされては如何ですか?』


 そうだね。今度は法国の前に、倭国とか行ってお祓いしてもらおうかしら。

 貧乏神的なの付いてそうなんだが。


「それよりもだ。煙の中から一体何が・・・って、そりゃ黒龍さんか。

 しかも、龍人では無いのね。」


 今更だが、昔は龍人ではなく、本物の龍が人の姿を形取って存在していた。

 つまりは、石化を解除した人たちは全員本物龍って事だ。


 んーとね。ヤバくね?人選ミスった?

 あいつら全員で暴れ出したら、今度こそ龍国は滅びる運命だ。


「はぁ〜。久々の世界です。」


 なんだか、とても音色がいい声だ。

 あの呪龍さんみたいな感じなのかな。

 いかにもTHEドラゴン的な見た目かな。


 煙から歩いて出てきたのは、裸の女性であった。


 鼻血ぶー!


「きゃ!キャスト様!」


 ゴフッ!倒れてしまった。大量出血で(鼻血)。


『しょーもな。』


 黒髪ロングストレートヘアーに大きなスイカが2つあった。

 傷一つ無いのは気になったが、腹部や胸当たりに何かしらのタトゥーが入っていた。


「キサマ。何者だ。」


「それはこちらの台詞です。

 何百年時が経ったのか知りませんが、ようやく、チャンスが巡ってきたのですね。

 あなたですか?私を解き放ったのは。」


「違う。

 私にあのお方ほどの芸当はできない。」


「へぇ〜。では、後ろの子供なのね。

 あら、服が・・。フフフ。意外とウブなのね。」


 久々に見た、指パッチンからの高速服着替えだ。

 正確には着物だ。

 黒が目立つ綺麗な着物だ。そして、黒い扇子を口元に構え。


「これでどうかしら?」


「知らん。」


「冷たいのね。」


 殺気を出しながらするやり取りでは無いけどな。

 黒着物の黒龍さんがジッと観察している。

 これはお決まりの値踏みやな。


『ほぼ、価値観0な人ですが。』


 失礼な!魔力・スキルはないが、人間性や考え方の査定は高いぞよ!


『それは他の人でも測れる物差しなので。

 特徴はある意味無いですよ。』


「なるほど。そちらはキャストくん?かな。

 貴方は能力が一切ないという稀人なのね。」


 何か珍獣扱いされてますが。


「そう悪く考えないで。

 魔力が無いから筒抜けよ。」


 いやん。またしてもプライバシーの侵害が。


「読まれていてこの余裕ね。分かってたはいたということ・・・。

 けど、解呪したのならスキルや魔力にはよらない種族的な力?いえ。それとも何かが違う。

 何百年間か見てなかった内に進化していた?

 いえ・・・。」


 何かブツブツと1人で考え込んでいる。

 頭は良さそうだ。


「ただまぁ。そうね。私はともかく、我らの同胞たちはそうはいかないかもよ。」


「んー。何かどちらも危険な気がする」


「先ほどの殺気は只者では無いはずです。

 警戒は必須ですが・・・。」


「そう警戒しなくていいわよ。

 先ほどは、得体の知れない者たちだったからよ。

 今は助けていただいた殿方がおりますからね。」


 どうも。殿方です。


「そうか。では用件を伝えよう。

 お前たちはこれから龍国にて魔族と戦ってもらう。」


 ヘルガーさんやい。

 ド直球過ぎやしませんかいな。


「嫌よ。星のクズ共の匂いがするから。」


 だろうね。

 あの呪龍さんに出会ってからか、なんとなく察しがついていた。そう簡単にはいかんぞと。


「おや。キャストくんは彼に会ったのかな?」


「彼が誰かは名前を知らんが、ここにくるキッカケにはなった。(押しつけ)」


「なるほどね。ああ。ちなみに、彼の名はディートリッヒ。

 愛称込めてディーちゃんだ。」


 愛称感なかったよ。あの姿から。


「それは簡単だ。

 彼が恨みに寄る、負のエネルギーと契約・誓約によって姿形が変貌したからだよ。

 言い方を変えれば、それだけあのクソ共を憎んでいたという事だ。

 彼の思いは、私たちが引き継ぐとしようかな。」


 嫌な流れだ。

 そろそろ他の奴らも目を覚ます頃合いだろう。余計ややこしい事になりそうだ。

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