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気ままに気のままに〜無力な俺を苦労が襲ってくる〜  作者: ennger
第6章 龍国戦争 苦労人の末路
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第69話 人VS龍 アリシアの力

「『!!』」


 痛みはないとワシは感じた。言い方を変えよう。

 そもそも、足なんてあったのか?という感覚に陥っていた。

 今まで、付いていた左足が綺麗に無くなっている。

 斬った後とかではない。消滅している。


「『ぐぅ!なぜだ!いつのまに・・。

 再生もできない?いや。これは再生も断ち斬った?』」


 龍脈の一部ごと斬っただと?ありえない。

 人なのか?この女。


「『何者だ!女!』」



 はぁ。やはり、早めに本体を消した方がよかったか。

 主様を早く介抱し、共にベッドで語り合いたいというのに。


 けど、やられた分はやり返さなくては、他の奴らにドヤされる。

 面倒だが、主様の右腕として、NO.1の騎士として・・・。

 いや、Only Oneが良いかな。なんてね。


「久々に使った技なのでどうですか?主様。

 参考になれば良いのですが・・。」


 最近は気力を中心に使っていましたからね。

 しばらく魔力は使っていません。

 なので、出力を間違えてしまいました。


 主様の神兵たるもの、主様以外の力を使ってはいけないルールを制定すべきだな。

 魔力なぞ無意味だ。


「『名を聞かせろ。女。』」


「アリシアだ。ただのアリシアだ・・。

 あ、アリシア・エンバイスだ。」



 アイツ3回言い直したのに、最後の嘘なんですけど。

 なんであんな清々しく嘘つけんの。


 あ、やめて!見ないで!

 美人お姉さんがジト目をしてくる。

 ち、違う!俺はしらない!俺はやってない!


「皆さん。今のうちに後ろへ。」


 姫様が助け船を・・・。

 こういう人が世界を平和へと導くのだろう。


「さぁ、バーナード様も私と共に。」


 顔を赤らめながら、バーナードの手を引っ張っていく。

 姫様の方が力があるので引っ張られるというか、磁石のようにくっついてる。


 前言撤回だ。

 きっと、彼の世界だけを守ってくれるのだろう。


「行くわよ。その前に、お名前教えて。」


「俺はキャスト。よろしく。」


「そう。良い名前ね。私はグレース。

 よろしく。私の肩に捕まって。」


 しっかりと後ろまで運んでくれた。


「ありがとう。グレース。」


「これで貸しは無しとか言わないから大丈夫よ。」


「いや、気にしなくて良い。

 俺が助けたくて助けたんだからさ。」


「あなたたちイチャついてる所、申し訳ないけど。あれ大丈夫なの?」


 マイが俺たちの良い雰囲気をぶち壊してくれた。


「ああ。シアさんに任せておけば大丈夫だから。ウチで1番強いからさ。」


 メイが目を見開いて驚いていた。


「お姉ちゃん。あの人本当に人間なの?

 魔力がまだ上がってる。

 それどころか、ステータスもまだ上がってる。」


 鑑定が使えるのか?知らんが。

 ただ、なんでシアはそんなに上向き上昇中なんだ。

 英雄だからか?あの姿が本当のアリシアか。


「次は目?とかにします?」


 うーん。どう聞いてもサイコパス。

 とてもNo. 1騎士には見えない。しかも、本当にやり兼ねない。


 人外決戦が目の前で繰り広げられていた。

 世紀末かな?俺あんな戦い方できるか?


 何羽か翼ぶった斬ってるし。

 呪龍も休まずに攻撃を続けているが、後手後手になってる。

 おいっ!本当に目を抉りやがった!


「『ぐぉぉぉぉあああ!目がぁ目がぁ』」


 ム◯カ大佐かな?バ◯スしないとね。

 あ、でもシアが光ってるから大丈夫か。


「目ぐらいでうるさい。」


 もうどっちが敵で、どっちが味方か分からんくなってきた。


「キャストのお仲間は過激なのね。」


「うん。まぁ、はい。

 なんというか、手のつけられない子供というのか。なんというか。」


 気づいたが、シアのあの状態はかなり落ち着いている方だな。

 何か、余計な考えがありそうだが。


「さてと。そろそろ終わらせるか。

 呆気ないが、十分機動テストにはなった。

 後は慣らしていこう。」


「『何っ!ふざけるな!

 小娘なんぞに我が復讐の道を途絶えさせてたまるかーーー!!』」


 呪龍が最大の攻撃を放ってきた。

 デ◯ボールみたいなやつだ。当たったら孫の代まで呪われそう。

 エネルギー力が凄すぎて、天井どころか、この部屋の地面以外無い。

 ほぼオープンハウス状態である。


「流石に、まずいか?」


「大丈夫ですよ。お気になさらずとも。

 私が必ずお守り致します。」


 あら、カッコいいのね。

 それぐらい普段から普通にしてくれれば良いのに。


「シールドよりはこっちがいいだろう。

 久々の出力だからな。手加減はできんぞ。」


 刀を仕舞った?どうしてよ?


「『我が名はアリシア。

 英雄として、祖が勇者の末裔である。聖剣よ応じよ!』」


 剣が目の前に現れた。

 あれはどこの出典元の聖剣だ?


「『カーテナ』よ。全てを消しましょう。」


『カーテナ』か英国で有名な聖剣だな。

 剣の詳細は知らんが、代々歴史では有名な剣だ。

『エクスカリバー』とか来るかと思ったが、別の英雄がいるということか。


「『英雄かっ!だが、龍脈には抗えんぞ!

 種族も違う!人間には限界があるからな!

 喰らえ『カースバニッシュ』!』」


 なんか遠い距離からでも大きなこれって感じだったけど、近づいてくるにつれて、どんどん巨大になってる気がする・・・。

 やっぱデカすぎん?


「うわあわああわわあ。

 き、きたぞ!に、逃げられない!」


 隣の陰キャ勇者様がうるさい。

 しかし、グレースも驚きを隠せていなかった。

 無理もない。あれは国一つ滅ぼせるぞ。


「シアっ!すまない!頼んだぞ!」


「かしこまりました!お任せください!」


 なんと情けないことか、最後の最後に部下に頼ってしまうとは・・。


「とりあえず、あれが邪魔だな。

 全てを斬り裂くか。」


 剣を構え直し、迫ってくる攻撃に向かっていった。


 迷いが一切ない。凄いな。これが強者か。


「はぁぁぁぁぁぁぁ!『ディメンション・シュナイデン』!」


 大きなボールが真っ二つに!

 これまた次元ごと斬ってやがる。

 その次元が塞ぐのと同時に、そのボールを吸収するようにして消えた。


 呆気なかった。一瞬で全てが終わった。


「『なっ・・・・・。』」


 流石の呪龍さんも言葉が出ない。俺も。


「キャスト君。彼女は一体・・・。」


 マイが聞いてきたが、そんなことは俺が知りたい。奴隷に堕ちた経緯以外は分からない。


「す、凄い。言葉が出ない。」


「ば、化け物かよっ・・。」


 姫さんたちも、驚きの一途です。


「さてと。次はもう無いのか?

 なら、殺すがいいか?」


 冷酷な一言だった。


 圧倒的な強者がそこにいるからこそでもあるが、相対した敵さんはさぞかし恐怖だろうな。


「『お、女・・。英雄なのか?

 怪物では無いのか・・・。』」


「失礼な。主様の妻ですよ。嫌な奴ですね。あなたは。」


 しれっと、嘘つくお前も大概だけどな。


「おい!あの人お前の妻なのかよっ!

 よくあんな恐ろしい人を横に置けるな!」


 失礼を通り越して、もはや凄いよ。

 ここでそのセリフが出るのはなかなかの根性だよ君。


「言いたいことはあるが、実際はここまでの力があるとは分からなかった。

 正確には、そんな事態になった事がなかったということか。」


「ただ彼女も人よ。だからこそ制御していたのかもしれないわ。」


 制御?してる所あったか?はて?

 ああー。力はね。

 性格とかはしてない気がする。


「殺す気も失せたな。

 どれ、力だけ奪い返し、削ぐとしようか。」


「『な、何を!』」


『カーテナ』を下に刺し込むと、大地から凄まじい光が発生した。


「『ぬぉ!や、やめろーーー!!

 ち、力が。ワシのわしが復讐のための力ガァーーー!』」


 なんだなんだ?

 大きかった龍が人サイズにまで、ってか、なんか一気に弱くなった?『龍活性』は?


「ご安心ください。主様。

 アイツの身体能力向上系ごと『カーテナ』で斬っておきました。」


「よく分からないけど、ありがとう。」


 だって分からんだろ!

 メビウスもオネンネしてるしさ。

 次元だけではなく、何かしらの力自体を断ち切れるってことか?強すぎんお主。


「もう、シアが主人公で物語進めたらいいんじゃないかな。」


「?はい?どうしましたか?」


「何でもない。

 それよりも近づいて大丈夫かな?」


「問題ありませんが。まずはこのエリクサーをお飲みください。私には無用の長物です。」


 エリクサーを無用扱いとは・・。


「い、良いのか?回復手段はあるからさ。」


「はっ!わ、私が口移しで飲ませましょう!

 その方が治りがっ!」


 躊躇いがなくなり、一瞬で飲めた。


「あ・・・・。」


 悲しそうな顔するな。

 こっちが悪者みたいだろうが。


「ん?おお〜!?」


 足が一瞬で再生したどころか、血まで回復した。

 しかし、残念な事に魔力が無いので、特に気力へは影響なく、ほぼすっからかん状態だ。


「ま。これで歩けるな。さて、行くかな。」


「私も行くわ。」


 グレースが付いてきてくれるそうだ。


「おい。私より前には出るなよ。

 お前が誰かは知っている。

 だが、この場にいる以上はわかってるな?」


「全く。信頼されてないのはもう懲り懲りなんだけどね。いいわ。

 暫くだけど我慢してあげる。

 ごめんね。ダーリン。」


 なんと心地の良い名前なのだろうか。

 しかし、シアを逆撫でしているので、新たな殺意が生まれている。


「あ、あの〜。い、行きませんか?

 す、すいません!出しゃばるようなマネを・・」


 姫さんがシアの殺気に当てられてるじゃねえか。やめて差し上げろ。


「そうだ。姫様の言う通りだ。

 アタシたちも早いうちに近づかないと。」


 マナミの発言後、みんなで向かっていった。


 龍人を見下ろすと、本当に今まで会った奴なのか?

 こんなにも痩せ細っており、こんなにも弱々しい龍だったか?


「クスリとか、かしら。」


 マイが考察している。


「多分。お姉ちゃんの言う通り。

 あの時のダンジョンで多分死ぬ予定だった。

 龍脈を支配するのは、並大抵の事ではできない。」


 メイはその場にいたからこそ分かる事だ。


「確かにな。

 なんやかんや、俺とハイネの攻撃が見事に当たって消滅しかけてたからな。

 それにダンジョンとかで、消耗も激しいはずだし。本来はこの姿ってのも頷ける。」


 目が覚めた呪龍が、こちらを眼だけ動かし見ている。

 彼の口から何があり、どうして、この騒ぎを引き起こしたのか聞かなくてはな。

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