第66話 クスリの力ってどの世界もヤバいね
なんか女性陣から、かなり危険臭感じ取れるのですが。
『でしょうね。
厄災とされる魔女を相手にしていますから、直接な戦闘能力はこの方々たちが上でしょうが、魔力量による圧倒的な戦いをされるのはあちらの方でしょう。』
あんなに美しく、好みのタイプの女性が。
うーん。ますますほしいです。
『下心は年を取っても関係ないらしいですね。』
はい。その通りです。
褐色肌に黒髪のウィッグに綺麗なスタイルだ。
あれを美しい言わずして何と言うのだ。
すると、右側からパンチを貰ってしまった。
「グヘェバー!」
『バカですね。
そんな下心満載で戦うからです。』
来てるなら教えてよ。
魔女様をガン見してたし。痛いし。
『むしろ、痛い程度で済むなら次も大丈夫ですね。何か接種してますし。』
ん?どういうこと??
何か強化剤的な物を接種したってことか。
『それよりも悪質そうな感じですね。』
「この力の実験台になるとはな。
グレイシスよ!手出しは無用だ。
折角の強者だ。それに、己の限界を超えての戦いを久しく行えた。
よって、ここからは私がやらしてもらう。」
頭を抑えながら、起き上がった騎士は。
「ええ。良いですよ。
元々チーム力や統率の取れた組織ではありませんからね。
自身の目的を行えそうなら、それで構いません。
私も確かにダメージを負いましたが、彼は叛逆の対象ではありません。
よって、『フラガラック』も反応しないので。」
そう言いながら、聖剣を消し、後ろに下がった。
「いいのか?
2人の方が勝てる確率が上がったのに。」
「はっ。言うなお前。
だがな、勝率なぞ意味の無いものよ。
何が起きるか常にわからぬのが戦いよ。
それに折角、クスリを投与したのだ。
どれぐらい性能が上がってるか見てみたいからな。」
クスリって言ったよ。薬だよ薬。
やってんなーコイツ。
魔法じゃなく、クスリが来たか。これは未知数だな。
『流石にマスターでも薬学の知識はないですか。
私がいるので大丈夫と言いたいですが、あれはどうやら新薬のようです。
戦っていただけると、素材等解るかも知れません。』
結局、俺の体当たりかよ。
身体を張る芸人の気分だよ。
「では。行くぞ。」
うぉ!さっきより早くなってる。
俺の『感理気』で動きを感じ取ってからだと間に合わない。
来ると思ったら動くしかねぇな。
相手のパンチや蹴りを流し、避けるを繰り返し、適度にカウンターを刻んでいく。
カウンターを入れているが、個体としての性能も上がっているせいか、ドラゴニフの身体が更に強固なものになっている。
普通に攻撃してもダメージが効かんか。
『『守空圏』を使い攻撃が繰り出せるようになったところですがね。
やはり、上には上がいます。』
感心してる場合じゃなくない?
それに、毎回上の奴が相手ってどんな人生なの俺!
浸透頸をかますには、それなりに集中力とここぞって感じの時にしか使えん。
これぐらい早い攻防の中相手に流すとか、成人ぐらいまで成長しないと難しいわ。
『あ、それと『感理気』ダサいので、『気来視』に変更しました。
この名で発言しないと、技が作動しないように私が取計いますので悪しからず。』
なぜ、急に変更の報告と決定通知が同時に起きた?
っと!危ねぇ!
『余所見をしている場合ではありませんよ。』
おい!って。もう!後で問い詰めるからな!
技名にケチつけられたが、それどころではない。
迫り来るラッシュに対応するが、相手の手数の多さに、攻撃が出せない状態となってしまった。
「『龍拳』!」
拳に龍型の魔力を纏い、こちらに放った。
龍型魔法が向かってきたが、俺は無力化を図った。
気力を纏った手で、龍の頭から円を描くように、かき混ぜるように力を周囲に拡散した。
魔力に気力をぶつけるのではなく、気力を少しずつ魔力に分け与える。
そもそも、魔力と気力は自分の場合だと、波長が合うが、人の場合は相性が非常に悪い。
簡単に言うと、人との連携技が取れない。
人間皆同じように魔力や生命力を纏っているが、個々の性格や個々の出自、種族に、人としての性別、遺伝子、個体の違いから同じエネルギーを有しているとは限らない。
その原理は前から気づいていた。
俺が連携技や合体技をしないのではなく。
できないのだ。
今回はそれが攻と成したのか、ドラゴニフの攻撃を見事分解に成功した。
『よくそんなこと実践でやろうと思いましたね。』
だって、この攻撃避けたら、後ろに当たるからさ。
後ろでは今も、美人魔女さんの攻撃を必死に防いでいるマナミたちの姿が見える。
『気による感知精度がここまで高まるとは・・。
無駄に歳を取った訳では無いですね。』
うるさ。そんなことよりも、それでも笑って来る、目の前の戦闘狂に対してどう出るかな。
「ほう。この力を使った技を無力化するとはな。
見事だ。しかし、未だに何かの差が見える。
少年が攻撃を仕掛けないよう立ち回ってはいたが、こちらの攻撃を完璧に防いでいる。
まるで、先を読まれているかのようだ。」
「別にあなたたちと同じ種族とかじゃ無いですよ。」
「知ってるわ。たわけが。
王の中の王である我が星龍の一族だ。
そう易々と他の国から現れてたまるか。」
「そんなに拘りがあるなら、クスリなんぞ使わなくていいでしょうに。」
「我は負ける訳にはいかないのだ。
それに、解ることもあった。
上には上がいるということもな。お主は相当修練し、今の高みにいると判断したまでだ。」
めちゃくちゃ高く評価してくれてる。
『そうですかね。
スキルや魔力が無い中で、そのお力ですから、あながち間違えてはいないかと。』
「だからこそだ。
ここでこの最大のチャンスを活かすために、我はあやつを、スィーナを捕らえ、俺が王位を手にしなくてはならない。
俺は今ここで倒れる訳にはいかぬ。」
そう言い切ったドラゴニフはポッケから何かを取り出した。
錠剤か?なんかカプセルみたいなやつだな。
それを飲み込んだ瞬間に威圧感が高まった気がした。
恐らく、アレが魔力や身体能力を向上させるやつだ。
2回目か?身体が保たないのでは。
『龍人の中でも星属性ですから、耐え切れると思いますよ。』
だからやなんだよ。いつもいつも相手強いからさ。
これじゃ、『気活極part2』を使えるようになったのに、また苦戦か接戦を強いられるのか。
「うぐぅ。凄まじいな。
我の身体が耐え切れるかどうかだ。
しかし、これなら負ける気がしなくなってきたな。」
だろうな。
こんだけ危なげなクスリを2回も飲んで、強くなれないって悲しすぎるだろ。
『来ますよ。感心してる場合では無いかと。』
「そうだ・!」
最後まで言い切る前に、ラリアットを喰らってしまい、そのまま後ろの壁に叩きつけられてしまった。
「げふっ!」
チクショウ。早かったな。
油断してのもあったが、見えてから動くとかムリ。
そんだけ早く、力も強いな。
『『完全完治気』を使って下さい。その状態ならすぐに治せます。』
言ってくれるな。
消耗が激っ!いてぇ。
肋骨が何本か逝った。てか、骨折とかこの人生で初だ。身に纏っていた気鎧を貫通してダメージが入りやがった。
何もかもが初めてのできごとに、少し意識が飛びかけた。
「ぐっ。『完全完治気』・・。」
ふぅい〜。
まだ痺れはするが、戦いに支障をきたさずには済みそうだ。
「ほう。あの攻撃から立ち上がるか。
本当に人か?少年よ。」
失礼な。人間やらせてもらってますよ。
というか、この世界の人々の方が人間なのか?
『それに関しては、マスターはこの世界基準で人間以下かと進言致します。』
毒説明ご苦労様です。
そこまで言われると返って清々しい気分です。
「ハハハ。悟るな悟るな。」
誰が特級呪術師だ。
こっちから仕掛ける!
浸透頸が1発でも入れば、イケる!
摺り足で上手く高速でスライドし、滑るように相手の懐には入った。
しかし、ドラゴニフが俺の掌底を避けた。
「なっ!マジかよ。」
「マジだよ。少年。
スカーレットから伝言が今し方届いてね。
少年の攻撃は非常に危険だとな。
1発でも当たれば致命傷になると。」
マジですか〜。
相手さん以心伝心してたわ。
ツラ。
ドラゴニフは外した俺の手を掴んで、引き寄せて殴ろうとした。
まぁ、外れても俺にはこの技があるけどな。
『花頸』をまず使い、掴まれた手の位置を半回転させ入れ変える。
掴む力が強いため、内功を練りに練った、『花頸』によるコントロールを使い、手のひらの方向を上に転換させた。
ここからが真骨頂だ。
柔術は掴まれた瞬間が最大の攻撃ポイントだ。
掴みに行くよりは、掴まれた方が技をかけやすい。
引き寄せられた所でこちら側に肘を曲げるように引き返す。
手のひらを上にしたのは、引く際の力を強めるためだ。
肘が逆だと曲がらず、腕を引くことができない。
当然、ドラゴニフはパンチに力を入れているため、急に逆側の手が引き寄せられた事に驚くが遅い。
パンチを顔を逸らして紙一重で避け、内から軸足をかけて、バランスを前から崩した。
引き寄せた手を離した。
そして、空ぶった拳の手首を握り関節を捻りそのまま下に倒した。
『小手返し』をお見舞いしてやった。
「なっに!」
痛みは無いわな。そんだけ硬ければ。
しかし、関節は誰でも存在する部位だ。
当然極められれば動けない。だが、関節部の痛みはしっかりとあるがな。
「くぅぅぅ!う、動けん!なんだ!その技!」
「まだ、終わってないよ。」
掴んだ手首ごと背中に押し付け。
その上に別の手を添え・・『単把』!
心意六合拳の崩拳の技である。
両手で相手に衝撃を与える技だが、これに浸透頸をミックスした。
そのため、内部に当たるダメージは尋常じゃない。
「グッハァァァァァァ!」
うおっ!やり過ぎた!
手首ごといったからか、肩が外れてら。
それに内臓えのダメージも凄い上に、地面まで響いたせいか、なんか凹んでるし。
そして大量の血を吐いている。
なんかカオスです。すいません。
死んで無いよね?
『・・・・・。』
少し離れて様子を見ると・・・・。
ピクってなった。動いてるヨシヨシ。
「がぁ。ぐっ・・。なぜ止めを刺さない!」
「うん。嫌だからだ。」
しかし後に、この世界で初めての大きな決断へと発展してしまう事になった。




