第65話 叛逆騎士・龍人王VSキャスト with女の戦い
モードレッドの手に聖剣が現れた。
赤い闇のような、禍々しいオーラが出ている。
あれ本当に聖剣なの?
なんか、魔剣臭が凄いのですが。
『はい。聖剣です。
前にも語りましたが、聖剣はその人の能力や特徴のようなものです。』
何をどうしたら、あんなにグレる訳よ。
『あれは恐らく、『フラガラッハ』です。』
なんてもんを神様は渡してんだよ!
『フラガラッハ』の伝説は解答者、復讐者、報復者って意味がつくほど、凶悪な武器だ。
しかも、回復しないって言うオマケ付き。
『そこは大丈夫じゃないですか。
制約もなしに、そこまでの威力を行使できないかと。
しかし、仮にその程度であれば、マスターなら半年ほどかければ治せますから。』
何で半年間は痛い思いせにゃあかんの?
「さて、準備が整いました。
こちらから行かせてもらいますよ。」
まずは、騎士を対応っ!
早いな!思いの外な。
『フラガラッハ』を装備した途端にスピードや精度が格段に上がっている。
『守空圏』を行使し、カウンターチャンスを見るが、そうなると横から龍人王が来る。
たが、待っても仕方ないので。
斬り込んだところを軽いバックステップで避け、一歩前にストレートリード!っと避けられた!
!来る。防御体制!
「次はこっちだぞ!少年よ!」
龍の息吹が放たれたが、『守空圏』の発動を間に合わせ、対応した。
園内の息吹に対しては気鎧の硬質化で対応してと。
次は息吹内から突っ込んで来る、敵さんの対処だな。
「そこだ!」
いやどこら辺だよ。
パンチをそのままクロスガードした。
受け止めた所で、お手を拝借し、一気にこっちに相手を引っ張る。
そして、重心を崩して、このまま背負い投げじゃー!
「どっせーーいと!」
「うぉぉぉ!」
身体の着地寸前でドラゴニフの身体が半回転し、片手で受け止め、腕一本で支えている。
「脳筋かよ。」
「お褒めの言葉として受け取ってこう。」
横から『フラガラッハ』が来るか!
すぐさま手を話し、バックステップからの距離を取ろうとしたが、モードレッド卿が間合いに詰めよってきた。
「逃がしませんよ。」
こっちの硬質化も舐めんなや。
聖剣と張り合ってやんよ。
「ハァァァァァァ!」
「オリャリャリャリャ!」
聖剣連続斬りを気の拳で振るい対処している。
当たったらやば谷園なので。
とにかく集中したいが、すぐ近くのドラゴニフが体制を立て直し、こちらに向かってきた。
「2対1を望んだんだ。悪くは思うなよ。」
「思わんよ。」
モードレッド卿とドラゴニフの2人の攻撃を、今度は凌ぐ羽目になった。
『割と冷静に対応されてますね。
まだまだ、進化した気の力はこんなものではありませんからね。』
分かってる!
とはいえ、油断できない攻撃ばかりしてくるよ本当に!
2人の攻撃の雨を上手く捌き、カウンターの隙を探しているが、なかなか隙を作らせないように立ち回られている。
ジリ貧だな。
なら、下に波を!『沈墜勁』っ!
下に発勁を流す技である。
本来は下に叩きつける攻撃で用いるが、2人の動きを発勁にて下がらせ、反応を鈍らせることで隙を作る囮技として発動した。
「何!この威力は!」
「くっ!」
当然、一瞬だけかもしれんが隙を見つけだぞ。
2人の間にすぐさま入り、合気道の『四方投げ』をした。
相手のバランスを崩し、持ち上げる投げだ。
これにより、2人は再び分断された。
受け身が取れたのは肉弾戦慣れしている、ドラゴニフのみで、モードレッドは慣れない投げ技のせいで、上手く受け身が取れず、地面に激突してしまった。
「ぐはっ!」
「っと!危ねぇ」
だから隙は逃さないって言ったろうに。
『龍人はマスターの声が聞こえてしまうので、こちらから聞こえないように指輪の魔力を上手く使いました。
消費が激しいので、龍人の方を早めに倒されるようお願い致します。』
了解。もとよりそのつもりだ。
相手は外皮が硬いからな。内部破壊による攻撃で仕留める。
スカーレットで大体、弱点が分かったからな。
それに、龍脈の力が使えんのだ。
だから、とっととケリをつけないと、他の奴らが心配だ。
女の戦い
「へぇ〜。あの坊やかなりの強さね。」
「魔女・・・。」
「聞いた事があります。
異端の申し子と言われている方々が、世界に何人かはいる事を。」
「あまりその《《魔女》》は聞きたくないわ。」
目の前のグレースから殺気が漏れた。
マイ・メイ・マナミは構えた。
3人でも戦えるのが、やっとの相手のため、油断は一切許されない状況だった。
「殺す前にそうね。
私たちのような不合理な存在は他属性によるけど、何人かいるわ。
神に愛されない子たちね。そもそも、この世界の神なんて碌な奴はいない。
この話はズレるからいいわ。
私たちは存在自体を、この世界に否定されながらも、必死に隣り合わせで生きてきたの。」
「存在・・・。」
メイが反応した。
「そう。あなたたちも似たような事があったのね。
けどね、こっちはそんな生半可なものじゃないわよ。
捕まれば意味もなく拷問を受け、最後まで苦しみを受けさせられた上で殺される。
私たちは存在したくて、した訳ではないし、なりたくてなった訳でもないのにね。
お嬢さんたちの想像の斜め上には行くわよ。」
「だから、世界を滅ぼすってこと?」
マイが問いかけた。
「そんな大それた事は考えてないわ。
ただ、黙ってやられるつもりは無いって事なの。
私ぐらいじゃない?表舞台でこうやって人々を殺し尽くすのって。
楽しくも何ともない。
けど、やらなくてはやられる。
どうしょうもない。」
「んな!話し合いすれば・・・。」
マナミの肩をマイが掴み、その先を言わせないようにさせた。
「そのセリフは言っても無駄。
既に世界が狂ってるのに、一個人でどうとか無理なの。
せめては、自分が気が済むように、色々と試行錯誤するしかない。
それか、自殺するしかないの。」
「本当あなたたち姉妹はよく知ってるのね。
正確には《《知ってはいる程度》》ね。」
マイもメイも過去に蔑まれ、家族に迫害される過去があった。
この異世界では真逆の対応に心地良さもあったが、それでも、この感情やわだかまりを消す事はできない。
目の前のグレースは消せないどころか、今でも世界から迫害されているのだ。
皆が皆、自分たちのような『奇跡』にありつける訳がない。
「けど、あの坊やは不思議ね。
この組織の奴らは自分の事ばっかの奴だから、私を見向きもしなかったけど。
彼は私を見ても驚かないどころか、口説くって。
フフ。人生で初めてのできごとで、狼狽えてしまったわ。」
ただのアホだと言いたいが、彼は何となく独特な雰囲気を放っていた。
元々、魔力・スキル無しと、ある意味この世界に嫌われている異端児だ。
それでも、この世界で必死に生き抜き、今も目の前で何かのために戦い、常に仲間たちと共に笑い、楽しく生きている。
「そこは同意。」
メイがそう言った。
あまりにも珍しく、滅多に驚かない、マイが驚きの表情をしていた。
横からマナミが。
「妹さんの気持ちはアタシには分かるぜ。あの人は本当に掴みどころがないというか、自由に走り回ってる子供というか。
よく分からない。
けど、誰よりも立派な人であり、仲間のために自身が最前線に出る凄い人だよ。」
「じゃあ。あなた方をとっとと始末して、彼とお話しするとしようかしら。」
「「「!!!」」」
本格的な魔力の流れをキャッチした。
今まで静か過ぎる魔力が急に膨れ上がるのを感じ取った。
「おい。姉の方。
これ私たちでもキツくないか!?」
「奇遇ね。あなたの言う通りに魔女という存在は魔力でできた存在と言われている。
正しく、エレメントとの融合者よ。
魔力の底どころか、まだまだ膨れ上がるこの力は噂ではなかったってこと。」
「ん。彼女は中でも手配者リスト上位。
闇のエレメントを司る、暗闇の魔女。」
「よく知ってるのね。そんなに有名なのかしら。
よく出会う、活きのいい男性や女の子たちに比べたら、やっぱり有名なのかしら。」
魔力によって部屋全体が包まれた感じがした。
「なっ!これじゃ城全域が攻撃の対象じゃあねえか!」
「そうね。不味いは。
お姫様たちも危ないわね。
メイ!なんとかできそう?」
「む。ダメ。向こうのほうが強い。
自分たちの身の回りが限界。」
「じゃあ、殲滅するから頑張って生き残って下さいな。醜き勇者様方。」
笑いながら、魔法が発動された。
闇の槍が数万から数億が彼女たちの周りに現れた。
「無理!無理!守れない!」
「あー死ぬかもね。これ。」
「何呑気なこと言ってんだ!
本当にやばいぞ。聖剣を解放するぞ!」
「バカね。それしても無理って言ってんの。」
「諦めないで下さい!」
後ろから激励の言葉が現れた。
3人が振り向くと、スィーナ姫がそこにはいた。
「私もここで戦います!
私がいれば少なからず、殺しはできないはずです!」
「それだと姫様が囮みたいに!」
「分かってるのね。自分の立場と成すべき事を。」
マイが悟るように、スィーナに語っていた。
「はい!予知はできませんが。
今この状況は私の無力が招いてしまった事なのは分かっております。
ですので、自分の命も張れないで、ノコノコと後ろで待ってるなんてできません!」
「うーん。確かに。
攻撃を一気に掃射できないわね。困ったわ。
あの脳筋龍さん。こっち来ないかしら。」
そう言いながらも、数十本が彼女の足らへんを目掛けて発射していた。
「これぐらいなら!守れるな!」
聖剣『スルト』を展開し、炎の壁を構築した。
聖剣による魔法構築のため、硬さは十分だった。
「マナミさん!ありがとうございます。」
「まだ礼は早いぜ。
たかが数億のうちの数十本だ。
少しずつ掃射して、魔力切れを狙ってるかもしれない。」
マイとメイをチラ見すると、2人にも槍が降っており、死にはしないが、こちらに加勢は難しそうであった。
「ちっ!結局、分断されたのか。
しかも遊んでやがる。
姫様をこの場から逃さないようにコントロールしてやがる。」
「そうね。
あの2人が来るまで遊んでちょうだい。」
グレースの言葉から、最悪な消耗戦が始まろうとしていた。




