第37話 お家騒動 4 姉弟の対決
「ふは〜。助かった。
あのままだと、《《切り札》》を使っていたところだった。
アルケミーにリタ、ありがとう。」
「そんなお礼よりも実験で作ったポーションどう?何か副反応は?何か苦しいとかないの!?」
ちょっお前!俺を実験台に使うなや!
それに、なんでぶっつけ本番なんだよ!
「アルちゃん!ダメでしょっ!
そんなことしたら、メッよ。」
お前はお母さんか。お姉さんですらないわ。
「知らないけど特に異常は無いみたいだよ。
凄いねこのポーション。」
アルケミーが黒い顔をした。
「チッ。副作用は無しですか。
そうですね。私特製なので、効果的面間違えなしですからね。」
「ねぇ。なんで舌打ちしたの?」
「よくもまぁ、こんなところでコントやってられますね。」
リタさんやい。オラが悪いの?おかしない?
「痛いよ。痛いよ。キャストーー!!」
フ◯ーザ様かよ。
「まぁ、回復したんでね。やりますかな。」
「え!そそそ、それは行けませんよ。
また危険な目にあったら。」
「そうだね。リタの心配は最もだ。
それに皆んなからもらった武具をまだ付けてないからさ。なおのこと戻って来くちゃ。
折角、リタが過去を振り切って聖剣作ってくれたんだ。使える姿を見せたいし。
それに、アルケミーがいるから大丈夫でしょ。」
「そこに関しては同意するわ。
けど、あなたがあそこバーサーカーに向かうのはオススメしない。」
バーサーカーって。いやそうだけどね。
「姉なんだよ。義理でも家族なんだ。
こういうところでお互いの思いの丈をぶつけないとね。」
「そう。なら止めないわ。」
「アルちゃん!
でも、ご家族と話ができるのは賛成です。私はできなかったので・・。
だからご主人様!いってらっしゃい!」
あら、リタお姉さんに見えた。
なんだ、お姉さんじゃん。ありがとう。
「いってきます。
シェリオにはこのまま、センキの援護に回ってもらうか。
リタ、アルケミーもセンキの援護によろしく。俺とシアは大丈夫だからさ。」
「「かしこまりました。」」
んじゃ、一丁やりますかな。
「お待たせしたな。」
「いい仲間を作ったのね。羨ましい限りだわ。」
冷静になってるよ。情緒不安定かよ。
「そりゃどうも。そちらさんもいい家族だも思うよ。たまに息苦しいがね。」
「そうね。けど、皆んなどこかで本音は隠してるわよ。
あなたはそれに気づいてはいたはず。
だから、自分の今後を考えて動いていたはずよ。」
ご明察通り。無駄に前世分の年齢と人生を積み重ねてはおりやせんよ。
貴族社会なんて、俺のような一般ピーポーからしたら息苦しさ満点よ。しかも、無能力ときたらね。
「だからこそ、俺たちはぶつかる必要があるな。何か言いたそうだしな。」
「勿論。剣だけで語るつもりはないわよ!」
二刀流の剣が振り下ろされた。
当然それを真正面から防ぐ。
「剣だけで語るつもりないなら振り下ろすなや!」
「いいわね。そっちの話し方の方がやっぱり好きよ。」
そりゃどうもだわ。お互い再び距離感を取った。
あいつはまだ、奥の手を隠してるはずだ。
それを女神のやつからスキルを授かっているからだ。
こ、コイツ。本当に遠慮なく斬りかかってきやがる!というか、目が血走ってますがな!
「そら!そら!そらー!!」
姉さんの攻撃は気の察知能力で見えるが、見えるから全ての攻撃を躱せるかというと。
無理だ。
身体がついてこないからだ。
そのため、ガードディフェンスを中心に攻撃をやり過ごすしかできない。
「どうしたの?
マーシャの時のように躱さないの!?」
「チッ!」
この小さい身体で動くのは難しい。
何度も言ってるが、スキルと魔力がない恵まれない状況に、子供という成長途中の身体だ。
無理して動かそうものなら、身体がブッ壊れる。
「オラッ!」
なんとか、連撃最中に隙間を見つけ、右ストレートのカウンターをブチかましたが。
姉さんに簡単に避けられた。
「随分と単調な攻撃ね。
そして、あまり自分から攻撃を仕掛けてこないあたりから、攻撃系の技のコントロールが行き届いていない?
もしくは、攻撃自体のバリエーションが少ないとかかな?」
何で狂気的な攻撃してるのに、こんなにも勘がいいというか、観察力があるというか、やってる事とのギャップの差が激し過ぎるだろ。
バーサーカーで冷静とか、どこの戦闘民族だよ。
「むっ。失礼な何かが感じ取れたんだけど。」
「ソンナコトナイデスヨ。」
「?なぜカタコト?」
アーシャ義母上の血か?
いや、アレはもうサ◯ヤ人だから違うか。
父上か?でも、打ち込み方が優しいほうな気がする。
噂では姉さんは実子ではないという話を聞いた事があるぞ。
アーシャ義母上は、その事を聞かれては不味い事らしいがね。
「次行くよ!」
「お好きにして下さいよ。
こっちは構える事しかできないからね。」
再びガードの構えをして、迎え撃つ体制を整えた。
「うーーん。向かってこないということは、やはりカウンター狙いか。
なら。恨まないでね。」
「!!姉さん!まさか!」
やべーー!
コイツ・・魔法を使う気だ。しかも遠距離攻撃だ。
俺も気弾や気砲は撃てるが、何発も撃てるほど、コントロールが上達した訳ではない。
完全な不利戦だ。
近づくか?でも、近接戦は向こうの得意戦だし、わざわざ土俵に乗る必要は無い。
しかし、遠距離対策が限られているのも否めない。
「風よ舞い上がれ!『ウィンドスピン』」
その掛け声と共に竜巻が4本できていた。
魔力量もしっかりあるのね。
その上にこのスキル効果はチートですよ。
竜巻が素早く俺の方に向かってきた。
これは普通の人なら全身複雑骨折とかするだろうよい。
竜巻の回避方法は、逆回転させるのが理想だが、気の能力にそんな技ありません。
なので、お空に逃げます。
「よっと!」
「なっ!!」
竜巻が届かない範囲まで浮いた。
この技は気の消耗が『完全完治気』並にゴリゴリに減っていく。
「凄いわね。一流の魔法士や魔力持ちでもそこまでは、なかなかできないものよ。」
「素直な褒め言葉は受け取っておこうか。」
ここからどうするかだな。
姉さんが魔法を上にぶっ放しても避けれる自信がある。
空を飛ぶ機能はめちゃくちゃほしくて、修練に修練を重ねたからな。
この努力の結晶は誰にも壊させはしない。
なんでそれよりも攻撃のバリエーションや攻撃力上げないんだってか?だって、空飛びたかったもん。
攻撃なんて後でも身につけられるもん。
結果として、攻撃のバリエーションが少なくて困っていますがね。
「空中から攻撃されたら、たまったんじゃないけどね。
どうやら、本当に攻撃の手数が少ないらしいわね。」
「無い訳では無いが、そうだね。
まぁでも、これでお互い勝負はつかないかな?」
「そんなことはないよ。だって超位魔法使うから。」
「あーはいはい。知ってた。言ってみたかっただけです。
決して、行けるかなとか微塵も思ってません。」
「誰に話してるの?」
いかん。思った事が口に出ていた。
ついついポロッと出てた。現実って辛いわね。ウウッ。
「魔装『ヴェント・デーモン』」
唱えた直後、姉さんの身体に緑黒いオーラが纏わりついた。なんか嫌な予感がする。
「圧風殺!」
空中にいた俺の身体が急に締め付けられた。
「グォ!」
これは不味いな!数秒でミンチとまではいかないようにしてくれてるが、やばい!
気鎧全開!そして!
すぐさま下に離脱して距離を離す。
「ふぅ。」
間に合ったが、大きく距離が開いたのと、締め付けられた分、内臓にダメージが入り、口から血が出てきた。
ホンマに圧殺されかけたわ。
「さてと、!!」
大量の無数のカマイタチと風の圧縮弾が一斉に俺に目掛けて飛んで来た。
「な、なーーー!!」
つい叫んでしまったが、切り替えして防御と回避に専念した。
オラオラオラデンプシロール!
言いたいだけだった。
しかし、いつまでも降り注ぐ攻撃の嵐。
まさに風の魔神をイメージするかのような、吹き荒れる攻撃の数だ。
「ぐ!」
全部の攻撃の軌道を知っていても、最低限の防御以外取れない。
おまけに、ダメージ量も蓄積されている。
『完全完治気』を使いながら一部回復させながら戦っているが、それも気量が続く限りの話だ。
まさか!気づいたか。
気のことは知らないだろうが、この力には限度がある事を。
遠距離攻撃を大量に受けながら考えることではないが。
「遠距離攻撃は私は好きじゃないの。
自分で先陣を切れないし、剣聖のスキルを活かせないから。
けどね。戦い方は全てが一つではないの。
貴方に対してはこれが有効と判断したの。
だから、ごめんね。キャスト。」
何言ってるか距離と攻撃の嵐で聞こえないが、何か呟いているのは口元を見てわかった。
《《切り札》》を一瞬だけ解放するか。
これ使うと、負担がエグみざわ。
くだらない事が言えるから余裕か。
「『気活極』」
全身から気量をもれなく解放した。
うちに潜め、鍛え上げた内功と外側で鍛え上げた外攻のエネルギーを倍々にしていく。
元々、気の量は一般人よりは多く貯蔵していた。前世の分と考えていいだろう。
その気を全てが全てを上手く使えなかったのが今までの俺なのよ。
そして、成長を経てその力を遂に解放したが、まだ子供の身体で扱えるレベルではない。
しかし、少しの間なら使える。
その分負担度合いは今までの、比にはならないくらいの身体的ダメージを追うが。
「発勁!」
魔法という概念そのものを、拳の頸の衝撃という力技で破壊する。
魔法は通常は躱すか防御するか、相性の悪い同士で相殺するかの基本どれかだ。
ただ、気功というこの世界にはない概念を持った攻撃だ。
魔力エネルギーを俺の強力な生命エネルギーで破壊するくらいわけない。
速攻でケリをつける!!迷わずに突っ込む!
「はぁーー!どっせーーい!」
変な掛け声と共に前に進んだ。
アリシア
何度目の打ち合いだろか。
早く主様の元へと行かねばならぬのに。
この男の底力はなんだ?我々のような英雄の素質がある訳ではない。
それに、実力差は分かっていてなお、こちらに向かってくる決死の思い。
流石は主様の義父上ですね。だか、妙だ。
さっきから殺すつもりは無いが、それでもかなり強めに攻撃を放っているが、何かの因果か全てが避けられ、いなされている。
「ハァア!」
ガキーン!と轟音と共にハルバートと刀の刃同士が重なった。
「なるほど。力や経験は馬鹿にできませんね。鋭い殺気。
お見事です。義父上。」
「だ、誰が!義父上だ!
俺の息子はお前になんぞやらんぞ!」
「(何の会話してるのこれ)」
リタは心の内でそう思っていた。
「だが、いい剣筋だ。
俺は何回その刀に斬られていたのだろうな。」
「やはりですか。手応えを感じさせない感覚がありましたが、スキルですね。」
「ご明察通りだ。英雄殿よ。
『フレイムエンチャント』」
っ!炎の武器付与魔法か。
第5魔法位だが、使い手とスキル相性次第では大きな力となる。
「『オーラル・エンチャント』」
同じく、光魔法のエンチャントを刀に宿す。
多少は炎の威力を弱められる。
「光魔法か。聖王国の上位人と同じ魔法か。」
「あまりその言われようは好きではありません。」
改めて、向かい合った私は刀を構えた。
すると、さっきから感じていた、主様の姉君の魔力が一気に消失した。
そして、声がした。
「うぉぉぉぉーー!エイ◯リアーーーン!!」
よくわからない一言と、倒れている姉君の前で、喜んでいる愛しき主様だった。




