表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気ままに気のままに〜無力な俺を苦労が襲ってくる〜  作者: ennger
第3章 ギルド(会社)を作る苦労人
33/267

第33話 エンバイス家の訪問(武力) 脳筋を添えて

 勇者共が去っていた後、ギルドにて今後の方針を話していた。


「なんとか撃退したが、まとめてかかってこられたり、他の奴らとの共闘なんてしようもんならやられる所だったぞ。」


「確かに。主様の言う通りですね。

 私がお守りするとしても、複数だと分が悪いかと。」


「アリシアの戦闘を遠目で見ていたが、あれなら行けそうだが?」


 エラルドの疑問は最もだ。


「いえ。1人とかならですが、他の勇者の力と存在を知らないのは愚か、他戦力の把握もできない状況での戦いは不利どころではありません。」


「そりゃそうだわな。情報ありきの戦闘の方が強いわな。対策レベルが違う。」


 だが、次に来るのは恐らく我が家だろうな。


「とにかく、すぐに他の奴らに連絡を取りましょう。」


「そうだな。シェリオ、ブラス、アインで頼もうか。ちょうど情報も更新しつつで。

 教育のミア、ナタリア・ロキは伝わるが、討伐組がどこまで遠征しているかだな。」


 ハイネほど魔力があれば呼び出したりできるんだろうが・・仕方ないか。


「若よ。なるべく家から出ない方が良さそうだな。」


「エラルドの言う通りだぜ。親父はてっぺんで座って待っててくれ。」


「うむうむ。総大将は動かぬものですからな、それにその方が守りやすいですぞ。」


「ブラスさんの言う通りです!

 お父様はどしっと構えて下さい!」


 何と。

 自分より年下の子たちに諭されるとは。

 何でしょう、この余計なことをしないでくれ感は。


「キャスト様を本陣に添え、我々で敵を迎え撃ちましょう。

 後方の陣頭にてこの私、シェリオが指揮を執ります。


 先陣はクラウディアとエラルドよろしくしたい。

 遊撃と斥候をブラスとアインに頼む。

 後方支援で私とリタとアルケミーで行います。」


「とりあえずはって感じだな。」


「続きの指示ですが、最後の砦としてアリシアとセンキにキャスト様を死守してもらいます。いいですか?」


「承った。」


「承知した。」


 俺のお守りいるか?まぁ、いざとなればな。

 さてと、来るのを待つか。

 あーいや、来たわ。早い。

 しかも1人馬鹿みたいにやる気出してやがる。


「お客様がおいでなすったぞ。」


「そのようですね。」


 シアと俺は気の力を習得しているから、ある程度の距離感で気づく。


「なるほどな。若たちの言う通りだ。

 私の気配センサーにも引っかかっている。」


「私とアインは斥候を務めて参ります。」


「し、失礼します!」


 ブラスとアインが一瞬でドロンと消えた。


 カッコいい。


「各々配置につきなさい。人数が制限されています。

 時間との戦いにもなります。急いでください!」


「じゃあ、若よ行ってくる。」


「キャスト様。行って参ります。」


「ディアもエラルドも無事に帰ってきてくれよ。」


「承知。」


「かしこまりました。」


 そう言って、2人は外へと向かって行った。


 俺にできることか・・・。



 門にて


「たのもーーう!なんてな!」


「はぁ〜。遊んでないで、ちゃんと訪問してください。団長。」


「マーシャの言う通りですよ。

 あの英雄アリシアがいるとなれば、そう簡単にはいきませんよ。」


「そうだったわね。クロークは昔にいっぱい食わされていたのね。」


 マーシャにからかわれるクロークは顔を赤らめていた。

 後ろから続々と隊長格、ドルガルとアーシャがやってきた。


「そこにいるのか我が息子キャストよ。

 私が理解しなかったばかりに。

 やはり、会うべきではないのか。」


 そこにいた男はかつて『怪物』として戦場に名を馳せていた。

 しかし、今は息子を喪失したショックと生きていたが会うべきかで迷っている。

 ただ1人のお父さんだった。


「お前様よ。そんな調子ではいざ会った際に笑われるぞ。」


「笑ってくれるならそれでいいよ。けどな。」


 ここまで来てこの調子だった。

 いつもは豪胆さと元気が表に出ている1人の領主だった。


「ドルガル様。大丈夫ですよ。

 きっと会えます。我々が道を切り拓きましょうぞ。」


 そう言ったのは、豪炎の騎士団4番隊隊長 魔道士 ウィザードのラキスタ・ウォーカーである。


「ウォーカー殿の言う通りです。

 私もメイリーン様が心配ですので。」


「まぁ、理由は人それぞれだわな。

 んで、ドルガルよぉ。俺はちとアリシア嬢ちゃんに借りがあるんだわ。

 現れたら、そん時は俺が相手するがいいかい?」


 狂気な笑みで聞いてきたが。


「いや。いいよ。好きにしたら。

 ワシ息子に嫌われてたからさぁ。」


 テンションがただ下がりのドルガルだった。


「こやつはもう。まぁいい。

 私が旦那を連れて行く。セイラン。お前は騎士たち共に先陣を切りに行け。」


「かしこまりました。母上。」


 そう返事したのは16歳になり、色々と成長した白髪ポニーテールのセイランだった。

 スタイルも母親に似て胸もしっかり成長している。


「(どうして?キャスト。)」


 セイランはただその疑問が頭にあった。


 はじめは生きていたことに歓喜していたが、アリシアや他の仲間たちができ、ギルドを結成し王国に在中していたことを聞いた。


 彼女の中では自分に対する不安と嫌われてたのではという感情が溢れ出してきていた。

 その肩をぽんっと置き。

 マーシャが語りかけた。


「落ち着いて下さい。セイラン様。

 そのような強張った顔では、キャスト様が再び逃げてしまいますよ。」


「あ・・。ふぅ。ありがとうマーシャ。」


「いえ。とんでもございません。」


 マーシャは一礼した。


「じゃあ行こうかね〜。戦いの場へ。」


「団長。最初は話し合いです。」


「分かってるよ!

 そうケチケチするなよ。ラキスタくんよ〜。」


「気が乗らないな。」


 クロークはそのやり取りから、ため息が出ていた。


「お、早速きたか。」


「お初にお目にかかります。若の親族の方々と騎士団御一行様よ。

 本日は何ゆえこのようなところにご訪問を?」


「おいおい前置きはいいからよ。とっ・・!」


「邪魔だ脳筋。」


 アーシャがリックスの尻を蹴り上げてその場を退かした。


「あ、アーシャ!

 蹴りを入れるなら始めから言ってくれ!」


 痛そうな素振りをするが、彼の頑丈さからノーダメージだった。


「フッ。痛くはないだろうが。

 鋼のスキルを宿しお前にはな。」


 なんだこの茶番はと思うエラルドと、どうでもよさそうなディアだった。


「単刀直入言うとしようか。

 私たちの息子を取り返しにきた。素直に渡してくれると助かるが。そうだな。

 そこの旦那はこれまでにないほど、凹んでいる。私もキャストに何もしてやれなかった。


 だから、今度こそは向き合いたい。

 それは私たち家族の総意である。」


 エラルドは思った。

 初めからこう言う感じで話てしまえばいいのにと。

 断るのが前提で、この戦力を組んでいるのがアーシャを見て気づいた。


 余計なことを言いそうになるクラウディアの首根っこを掴み止めながら。


「答えは分かっているのだろう?

 私たちの若は返す訳にはいかない。

 我々は種族は違えど、家族であり、同志であり、同じ志の元、集まった仲間だ。

 それらを束ねるのが若こと、キャストだ。」


「なるほどな。」


 アーシャはじっとこちらを見つめて笑った。

 その笑いは優しい微笑みではなく。獰猛な獲物を見た時の笑い方だ。


「なら、手加減はせんぞ。トカゲ風情よ。」


 チッ!正体を知ってこの態度は相当強いな。

 形態を変えるか?ダメだ。デカすぎる。

 ハンデ戦は・・・若の得意分野だな。見習うとするかたまにはな。


「来るぞ!クラ・・!」


 すると、クラウディアとリックスは剣を既に交わしていた。


「おいおい!お嬢ちゃんが相手かい?

 英雄殿が良かったんだがね。」


「アリシア様でなくて悪かったな。だが、貴様程度は私で十分だ!」


 キンッ!とリックスを跳ね飛ばした。


「かぁーー!。やるねぇ。燃えてきたぜ。」


 リックスが魔剣の大剣を前に構えた。


「行くぜ。『バーサク』!でな!」


「いいだろう。我が剣は魔剣や聖剣ではないが、折れぬことがない名剣だ!参る!」


 こうして2人の戦闘が始まった。


「クソが!お前本当に人間か!?」


「何を言ってる。人間だとも。

 そして、か弱い女の子だ。」


 アーシャは魔力を使い身体向上と風神の神風圧の権能を使いながら戦っていた。


「(なんだこいつ!龍である俺の力がびくともしないぞ!それどころか押し返される。)」


「次々行くぞ!」


 アーシャは遠距離攻撃と近距離攻撃を屈指しながら、エラルドを劣勢へと追い込んでいた。


 若!すまん。2人が限界だ!


 他のメンバーを続々と中へと侵入を許してしまった。



 一方キャストサイド


「あらま。やっぱか。」


 ブラスの報告を聞いてからはラキスタの登場以外は問題なかった。


「アーシャ義母上とリックスゴリラが残ったか。まぁ、いいんでねか。」


「主人様。本当に大丈夫なんでしょうか?」


 ブラスの不安もわかるぞ。

 エラルドはともかく、多分ディアは負担の大きい敵だ。じゃなくて負担の大きい筋肉だ。


「エラルドの相手も強いけど時間稼ぎができればいいし、エラルドも分かってるはずだ。

 ただ、アーシャ義母上はなかなかの脳筋司令官だからな。」


「と言いますと?」


「簡単だ。正面突破できる精鋭を集めたってことだな。

 他も来るかな。この調子なら。」


 頭も回るからな脳筋義母上は。

 色々と添えないと気が済まないらしいな。


「打てる手は時間稼ぎと各個撃破かな。

 向こうは各個撃破と捕獲の優先かな。」


 さてと、後方支援組はいいが。うちの中軸あれなんだよね。

 実は役割の際に名前を前に出していなかったが、あまりにも邪道だったので。


 そう。そいつは・・


 ビル広間にて


「ここはなんと綺麗な室内だ。」


 あまりの綺麗さと立派さに、感動のセリフがぽろっと出たクロークだった。


「何を感想を言っている。次に行くぞっ!!」


 そこには頑丈そうな鎧を着て青色の尻尾を生やした子供がいた。


「やいやい!俺は親父の懐刀のエインだ!

 ここから先は通さないぜ!この命に代えてもだ!」


 獣人の子供だと!?

 キャスト様はそこまで外道にと思ったマーシャだ。


「おいおい。キャストと同じくらいの子供ではないか、危ないからそんなことはやめなさい。」


 優しい父親モードのドルガルになってしまった。


「別に無理矢理とかじゃない!

 俺がシェリオに志願した!」


 シェリオとは?


 ラキスタは頭の中で思い出していた。


 ああ、あいつか。砂国の義賊と言われた男か。


「こ、こら。そんなこと言わないで、こちらにきなさい。」


「うるせージジイ!見知らぬ男について行くなって、姉ちゃんと親父が言ってたんだ!」


「なっ!ジジイに見知らぬ男!ぐはっ。」


 なぜかドルガルが血を吐いていた。


「この人は・・。さっきから親父とは誰のことだ?」


「そりゃ。もちろん俺たちの大将のキャスト様だ!」


 一同は静まり返ってしまった。


 キャストはふと思った。

 なんだろうこの背筋が凍るやな感じは。

 どこかで勘違いと面倒臭いことが一気にきそうな感じが。


 再び門付近へ。


「グハッ!」


 ズザザァーと地面を倒れ滑るように中庭に入ってきたのはクラウディアだった。

 身体は擦り傷や打撲が目立っている。


「だから言ったろ。役不足だってな。

 ただ、俺も傷つくとは思わなかったぜ。」


 リックスの頬に擦り傷がついている。

 鋼のか肌に傷をつけれるのは相当の実力者である。


「これでも今まで傷つかない騎士だったのになぁ。ちょっと落ち込むわ。」


 落ち込む素振りも見せないリックス。

 クラウディアは睨み返しながら、立ち上がり剣を構えた。


「お嬢ちゃんは礼装とかは使えないな。

 剣技や能力の高さは凄いな。けど、それだけだな。後は胸がデカいな。」


「セクハラですか?斬り殺しますね。」


 相手に殺気を放つが、涼しげにリックスは話続けていた。


「いいか。俺も使えない。礼装とかはな。

 ただ、この大剣と腕一本とこの鋼のか身体で幾千もの戦いを生き抜いてきたわけよ。

 そりゃ、礼装相手にも戦ったし、化け物にも立ち向かったてことよ。」


「だからなんですか?」


「こう言っちゃあなんだがね。

 あんた誰かの2番目とかお似合いとか言われたことなかったか?」


 リックスの言葉がクラウディアの心の底に深く突き刺さった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ