第29話 新拠点お披露目 成長しないネーミングセンス
ここは『画竜点睛』みたいな四文字熟語で攻めるか。
意味は合わないだろうが、ほら、なんかイントネーション的にカッコ良くない?
なんか独眼竜的なね?え。ダメ?
「変なのを考えているな。」
「不敬なことを言わないでいただきたい。エラルド殿。」
シェリオさん。バカ真面目に庇われると、遠回しにdisられているのと変わらないので。
「分かった。分かったよ。真面目に考えるよ。」
うむ。ホーム、アットホーム、◯ンゴレファミリー、んー何がいいかな。
「うーん。やっぱ『ファミリア』シンプルにどうよ?」
「珍しく悪くないな。」
「素晴らしいお名前かと。」
俺としては釈然としないが、もっとこう、『伝説の集い』、『キャバリエ』、なんとかの盟約とか、何とか同盟みたいな感じがいいな。
『鉄◯団』みたいな、何々団ってのもありだな。カタカナのチーム名とかもええやん。
『悠久のセメタリー』みたいな?
意味知ってんのかってか。知らん。
なんかカッコいいからそれにしたい。
「おーーい。余計なことは考えるなよ。
何考えてるかの詳しいことは知らないが、下らないことを考えるなよ。」
「なぜ見破った。」
クソっ!まぁいいやつ(名前)だったよ
「それでは『ファミリア』にしましょう。
ちなみにどういう意味なんでしょうか?」
「ああ。家族ってこと。どこかの言語の。」
イタリア語とスペイン語でそう言うってのは言わない方がいい。
「早速申請して参ります。一度、失礼致します。」
一礼と共に組合へと向かうシェリオさん。
「若よ。そろそろ本拠地へ移動しようか。」
「?本拠地って。ああなるほど。
他のみんなが見かけることが無いと思ったら、そう言うことね。」
「先に移動して、荷物や受付等の準備に取り掛かってもらっている。
詳しいギルドの内容は向こうで埋め合わせるとしようか。」
宿の引き払いを俺とエラルドで行った。
少し前から思ったが、この人というかこの龍はなぜここまで、常識的でかつ良識なんだろうか。
ギルドまで向かい、改めて建物を見た。
大きいな。門もしっかりしてるし、周りの柵みたいな侵入防止用かな?それもある。
やけに広い庭は訓練のためだろうな。
真ん中に噴水はセンスあるな。
その奥の金の像は壊してやりたい。
そこにはキャストの巨大な金の像があった。
「あれ。小っ恥ずかしいんだけども。
取り壊してほしい。」
「若よ。私にそれができると思うか?
最近仲間が増えたせいか、狂信者の支配率が高まっているからな。」
なにそれ。支配率ってスポーツかよ。
他になんの派閥があるのそれ?
ちなみに俺は紳士諸君のデカ胸党の党首である。現在人員1名。
ネーミングセンスが無い?うっせ。
「もういいや。行こうか。」
中庭を後にして、小さい小屋を見た。
「あれはリタ専用の工房だ。
彼女には我々の装備品や鑑定、付与といった様々な仕事をこなしてもらってる。
1人しか人員がいないからな。無茶はさせずに、仲間を募っていく方針だ。」
ブラックダメ!絶対!休憩は必ず取ること!2時間おきにね。お昼は絶対に12時ぐらいには食事を摂ること!
そして、帰りは夕方退社!うちはこれでいく。残業させません!
「お、エラルドどうしたのー?」
リタが小屋から出てきた。
何やら小さいハンマーを片手に持ってる。顔、身体、綺麗なツインテールに黒い炭跡みたいのが着いている。
「って!ご主人様!もう!来るなら言ってよ!エラルド!」
「ほう。それはすまんな。名前も決まったしキリがよかったからな。」
「はぁ〜。ご主人様。よろしければ工房見て行きますか?
何も面白くはないと・・思いますけど。」
「是非見たいな。オラワクワクすっぞ!」
「??(分からないけど)どうぞ!是非、ご覧になって下さいくだい。」
「お邪魔しまーす。」
入ったらすごかった。
刀鍛冶士とかをドキュメンタリードラマや京都とかで見たことあったが、本当にそれに近いイメージだ。
扱ってるものはほぼ全ての道具や装備だ。
リタってこんなに器用に弄れるのか。
すげぇ。専用武器とか作ってもらえたら激アツや!
「今ちょうどご依頼があったので、その制作をしていました。」
「依頼とは?」
「各商会から、料理用の器具を各500ずつとガルベリア商会から装備品と魔道具作製を依頼されてます。」
えと。聞くにハード過ぎませんそれ?
処理能力が追いつかなく無いか?
「リタは技術者としては1人しかいないが、魔道ゴーレムをいくつか呼び寄せ、生産性を上げている。」
「魔法は便利ですね。」
俺は遠い目をしながら答えた。
「そ、その!お姉さんはご主人様がとても凄いお方で、聡明な方です。
これは変わることはありません!
だから、これからも私を使い続けて下さい!」
「あ、あの、うん。ありがとう。
こちらもよろしくね。ただ、無茶はしないで。」
フォローされましたが、魔法とスキルがない事実は変わらないので痛いです。
しかし、そこまで言ってくれるのはありがたい。
「では、次に行くとしましょうかな。」
「はい!お気をつけて下さい!
作製が終わりましたら隣のギルド支部に向かいます!」
手を振って出て行った。
工房を後にしたエラルドと俺は次にメインの建物に入ることに。
横長い5階建てのビル内に入ると受付がある。
受付口からナタリアが顔を出した。
「あら。こんにちは。ご主人様。」
「こんにちは。ナタリア。」
「今日の受付はお前なのか。」
「そうよ。何やかんや足を運んでくださる方々がいるからね。退屈はしないわ。」
いつのまに仕事受けてたの。
彼ら、彼女らは元々この地で有名な冒険者になってるからか。
「仕事はどんなのを受け付けてるの?」
「まずは討伐系。
これは冒険者組合から受けることもあれば、冒険者組合に受けにいくこともあります。
そして、貴族や商人のような方々からも報酬内容次第では承ります。」
無難に最初はそれだな。
「次に生産系です。
これはこの建物内のアルケミーと隣の工房のリタの仕事です。」
「それも妥当だな。」
無茶してなければいいがね。
アルケミーは趣味なので心配しません。なんか最新薬の実験台にされそう。
「次に教育派遣と護衛派遣任務です。
ここから、少し分かりやすく噛み砕いて説明をします。
グラディエ、ハイネ、エイン、ヘルガーが討伐系です。
アリシアとクラウディア、センキは護衛系任務です。時に討伐系に赴きますが。
ミレルミアと私ナタリア、ロキリアは教育派遣です。こちらも時に討伐系になります。」
「そして、情報部門担当がブラスとアインに私ナタリアが兼任します。」
「交渉・財産管理・商業担当がシェリオとエラルドで、アルケミーが兼任します。」
「最後にご主人様はギルドマスターとして、我々の上に君臨していただきます。」
「うん?」
あれ?お仕事は?
「気にするな。若も討伐やら商業やらの経験もできる。安心して我々のプランを待っていてくれ。」
それまでプー太郎ですかね。
隠れてクエストやるしか無いわ。
小遣いもない。銅貨数枚しかない。
「さて、先に進もうか。」
「いってらっしゃいませ。」
こうして2人で中を歩いた。
なんか凄いな。綺麗な内装にシャンデリアやお洒落な、うん?えーと。
いつもなら変な絵画って言うつもりが。
なんか見たことあるよこの人。
あーあーなるほどね。これ俺かー。こんなに立派になってもう。ってバカ!
こんな両サイドある階段の中央にあったら誰でも見るやん。恥ずかしいわ。
これ?お前がやらせたの的な。誰が好き好んで自分の大きな絵画とか貼るんだよ!
「これが気になるのか?そうだな。
これは王国でも有名な絵画師が手がけてくれた。最高の仕上がりになっている。」
なんで無駄にそこにこだわったの?
めちゃ高そうやで。ここに気合い入れてどすんのよ。
もういいわ。2階を見るか。
部門ごとに違う部屋がいくつもある。
相談所的な感じか。受付に用件を言って、適切な部屋へと案内される仕組みやな。
みんな仕事してるね。カッコいいな。
俺も書類作業をシュバババっと終わらせてみたいな!
3階は部屋か?あーなるほどね。
個人部屋があるのね。
寮みたいに突っ込まれたり、一緒の部屋って訳ではないのね。
俺の部屋はあるかな?
「ん?若の部屋はここじゃないぞ。」
普通なら落ち込むが、その言い方だと含みがあるから逆に怪しむ。
「まぁ、誰が誰の部屋か教えてくれる?」
「うむ。手前はハイネだな。部屋に入れるがどうする?」
「女性の部屋には入らない方がいいのが普通の敷きたりだが、何か嫌な予感がするので風紀の一環として入ろうか。」
「そこは私も思った。入るのは躊躇われたが、若がいれば言い訳が立つ。」
おい。人を犠牲にしようとするな。
部屋に入ると、もの凄い普通だった。
ただ、なんかの魔法石?見たいのが転がってる。1つ2つでは無く、千単位である。
「何これ?」
「ああそれは魔導石だな。しかもかなり純質の高いやつだ。
これ一つで金貨数百枚はいくぞ。」
ナニコレ珍◯景。
「魔導石は魔力代わり、魔道具の充電装置、攻撃魔法に転換、魔力補給ができる優れものだ。」
「なるほど。てことは魔力ない俺でもいけるのか。すげぇ。」
てことは生活魔法や魔道具とかもこれで動くってことか。電池みたいなもんだな。
「ん?これは。」
なんか純度めちゃくちゃ高い指輪が机にあった。
素人目でもわかる。あれはかなり凄い魔道具だ。
「やめておこう。詮索は身を滅ぼすな。」
「その通りだ。次に行こうか。」
「隣はナタリアか。」
かなり普通だった。隠された何かはなかった。
綺麗に掃除が行き届いている。武器の手入れもしっかりとしてる。
「次は誰かな。」
なんか楽しくなってきたわ。
「次はそうだな。アインの部屋か。」
開けると、想像とは異なっていた。
「んーとね。これ部屋?」
「部屋ではないか?わからんぞ。」
凄い魔道具の筋トレマシーンがある。
そして、バストアップアイテムが多数転がってる。
「よし。なにも見てないイイね?」
「わかったぞ。次に行こうか。」
次は・・・。うん。リタやアルケミーは施設が部屋とセットだからね。
「では行こうか。次はクラウディアからだ。」
「嫌すぎる。」
開けると、おや?割と普通だぞ。
自身の装備品や戦利品を綺麗に置いてある。
ん?絶対これ自分専用装備ではない気がする。
立派な籠手が二つある。
一つは光の色に、もう一つは闇の色をしている。
「若よ。これお前じゃないか。」
「?」
後ろを振り向くと、洗面所の近くに小さな俺の銅像がある。何か奉られている。
早く捨てなさい。
「次に言った方が良さそうだな。」
気まづそうに次に行こうとした。
けど、行きたくない。
「ヘルガーかよ。」
ため息全開。
あの時の夜以降意識する女性になった人だ。
「あ、開けたくねえ。こいつを開けたら俺は俺は。」
「バカなことやってないで入るぞ。」
扉をガチャリと開けてしまった。
案の定、凄いことになってる。
装備やら必要なものはあるが、巨大な俺銅像が中央にある。
窓枠や壁には俺の絵がぎっしり。
一種のホラーです。
ムンクの叫びポーズってこうやるのね。
「お、こ、きょえええ!」
「正直にバカだろ。」
ここにも何かある?
銅像の前に捧げ物のような物がみえる。
あれは指輪かな?
「次行こう。怖くなってきたぞ私は。センキの部屋に行くぞ。」
開けるとこれまた普通だった。
装備品が珍しくない。
ただ、木の実を生やしている植木鉢がいくつかある。何かは知らんが。
「少し落ち着いたな。次に行くか?」
「女子の部屋で落ち着くってなかなかだけどね。」
俺は興奮してますよ。
「隣のロキリアだな。」
もう見なくて良くね?はっきりとわかるよ。これ以上はSAN値下がるよ。
「エラルド、もうイイんだ。これ以上はダメだ。
なぜなら、女子の部屋を覗いてはダメなんだ。
彼女たちはそれを部屋で体現しているんだ。」
「若よ・・。引き際だな。」
見誤ったら死んでいる。
流石の古龍のエラルドさんでも危険を察知するレベルだ。
「もう上の階に行こう。」
「そうだな。」
こうして3階を後にした。
ついでだが、男部屋もあるよ。
後空き部屋が多いのはなぜか。
4階はアルケミーの施設と在庫置きかな。
後は財務専用室がある。なんかの教室や作成会議室かな。重要施設ってことかな。
アルケミーの施設は色々と凄い実験跡だった。
「あ、ご主人様じゃないですか。
これよかったら飲みますか?最新薬です。
もしかしたら魔力高まりますよー。」
「いや結構。」
だってなんかゲル状だもの。
なんか動き出しそう。うぇー。
「アルケミー。あまり若をからかうなよ。
鬼に睨まれるぞ。」
「おっと、それは1番怖い。というかやだ。」
何してんのアイツら本当に。
「邪魔したな。失礼するよ。」
「ほいほーい。」
次は最後の5階だ。いよいよだな。
上に上がると階段前に一つの扉がある。
?他ないの?右や左を見ても何もない。
なんか怖いゴーレム像はいるんだけど。
「ここが若の部屋兼ギルド長室だ。」
開けると、光が刺さり目が痛い。
奥の方がガラス張りなんですが。そのガラス近くに執務用の椅子と机がある。
近くには秘書官専用椅子と机がある。
「他にもソファーや本や資料などを置いていたぞ。冷蔵の魔道具もある。ここで飲み物なり保管してある。
毎日、護衛兼秘書がつくことになる。
そのためようの場所もあるぞ。」
情報量エグいよ。
ほかにも遊技場みたいのもある。軽いキッチンもあるし、お茶出しとか茶菓子用かな。部屋が何部屋かあるし。
どれが俺の部屋だよ。
「お、若。そこの窓ガラスから順に、温泉と洗面所、トイレを完備している。
次が、若専用の訓練室兼武器庫がある。
その隣は寝室だ。防音もバッチリだぞ。」
何を何がバッチリなの?
訓練室は助かるな。
これからここで全てが始まる!
2度目の人生なのかは知らないが、ようやくスタートラインだ。
俺は守るよ。強くなって、結果を残す。




