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気ままに気のままに〜無力な俺を苦労が襲ってくる〜  作者: ennger
第15章 帝国と4種族

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第237話 全力RUN AWAY

「早くしろ!」


「急げ急げ!」


 鬼、オーガ、オークたちは急いで逃げる支度をしている。


 あれからの説得は簡単だ。

 今の現状、置き去りにされたらまずい如何にヤバいかを説明すればいい。


 オマケに軍の規模、実力者が何人かいるのはクーリアが目視で見ているから分かる。

 目が良過ぎ。


『マ◯イ族みたいですね。』


 それ俺のセリフね。


「キャスト。蹴散らさなくていいの?」


「いや、いいよ。

 向こうもゆったりコースで来てるし。」


「下手に刺激すると余計に早くなると?

 ならいっその事、皆殺しにした方が早いぞ?」


 何だろう・・・シアたちとは別の意味で頭が痛い。


「あのね。国規模で戦うとなると犠牲者がとんでもない事になる。

 それに向こうが一体どんな戦力を持っている?とか切り札は?とか。」


「うーーむ。確かに我ら以外では犠牲も出るか・・・・難しい。

 なら、我らだけでも」


「未知数さは新たな犠牲を生むだけだ。

 俺もクーリアたちの領地へ入った時、正にそんな感じだった。」


「でも」


「でももクソもない。ただ単に俺の実力がたまたま上回っただけ。

 他の人は?今までの儀式の生き残りは?

 そう考えれば言うまでもないだろう?」


 何だか納得のいかないクーリアさんだ。


「・・・キャストがそう言うならそう従おう。

 ただし、今日の夜は覚悟しておくように。」


 邪悪な笑みが俺を覗いてくる。


『生命力を吸われ尽くすのでは?』


 間違いない。新手の虐めだな。






「キャストさん!皆の準備が整いました!」


「うっし!移動すっぞ!」


 すると、空中から巨大な大波が空を覆う。


「チッ!来やがった!」


「任せろ。」


 クーリアは波へ向かって宙を舞う。


「クーリア!」


『大丈夫かと。』


「面倒だ。」


 クーリアは波に手をつけた瞬間、全てを凍らせる。


「わお。ファンタスティックベイベー。」


『何アホな事言ってんですか。』


 俺はすぐさま思考を切り返し、周りを見渡す。

 腰を抜かす者、立ち尽くす者とさまざまな鬼たちがいた。


「了解・・・・・おーーーい!逃げろーー!」


 俺の怒声と共にハッと気付いた鬼たちは一目散に逃げ出す。

 イケメン鬼さんがこちらへ向かってくる。


「キャストさん!貴方方は!?」


「俺らは気にすんな。

 援軍も呼んだ(クーリア姉さんが)。」


「解りました!ご武運を。」


 イケメン鬼は頭が良い。


 自分たちの部族を守る思考へチェンジした。

 ここに止まるより、仲間のために動く方が最善と捉えたのだ。


「そう思うと良い仲間ができたな。」


「配下だと思う。」


 クーリアは平然とした顔付きで戻ってきた。


「配下って・・・・・いいや。

 お客さん来たんじゃね?」


「ああ、知ってる。弱過ぎて無視している。」


 余裕か。


 凍った波はピキピキとヒビ割れ、粉々に砕け散る。

 綺麗な粉状の粒が風に揺られ舞っていく。


「ヒューー!強いね。」


 でた。アセイ?だったか。


「折角一番乗りして鬼娘をゲットするチャンスがあったのに・・・・はあ。

 まあ、お前でいいや。俺の・・・・お前?」


 俺に気付いたか。


「よお。お互い学校サボって何やってんだ?」


「ゴミが。そいつも?・・・・・チッ。」


 さっきから魅了を使っているが、クーリアのツマラなさそうな表情から効かない事が解ったのだろう。


「イライラするぜ。お前やっぱここで死ね。」


「・・・・・殺す。」


 クーリアさんがキルキルモードに。


「やめとけ。お前さんが手を出せば汚れる。

 俺がやんよ。」


 クーリアの肩を掴み止める。


「キャスト!!?ダメだ!王が!」


「馬鹿野郎!王であろうと何だろうと託された約束があんだ。

 男の約束を邪魔する女は野暮だぜ。」


 何か熱苦しいセリフになってしまった。


「約束・・・・・なら約束だ。

 私を愛していると言ってくれ。」


 急ですね。


「え、えーと、あ、愛してます・・・・」


 何で静まるの!?小っ恥ずかしい!


『まあ、それを見越してでしょうね。』


 は?え?何何?


「解った。愛していると誓った。

 なら、私はキャストの妻として夫の戦いを見守ろう。」


 また部族間でのアレか?アレなの?


『アレです。』


 何だろう。

 この手のひらで転がされている気分は。

 僕の女たちは頭が良過ぎて困る。


『マスターがバカ過ぎかと。』


 もう最近受け入れつつある。


「へえ?無能が?ゴミが?ハッ。

 粋がるなよ!!」


 いきなり剣を抜刀し、急接近してくる。


 俺は迫り来る剣撃を視線ではなく、感覚で追う。

 少し前の『気来視』より正確に視える。


 感覚より先、そのビジョンが視える。


 剣が振り下ろされる前に俺は当たらない位置へと横にスライドした。


「なっ!?」


 急な移動に対応できず、アセイはそのまま剣を振り下ろし、地面へ剣が突き刺さる。


「は!?は!?」


 自身の最高速度で放ったのだろう。

 しかし、スキルを超える《《何かに》》驚きが前面に出る。


「んじゃ、カイの一発な?」


『ティーソークトロン』というムエタイの肘打ちをおもっきり顔面へと叩き込んだ。


 以前より速度、威力は向上した。

 普段より更に「気」も強くなっている。


 そんな真の覚醒を遂げた一撃を避ける術もなく、アセイはそのまま顔面で受け止めてしまう。


「ブッ!!!べらぁ!!」


 そのまま森奥深くを突き抜け、飛ばした。


「たーまやー!」


『見えなくなりましたね。』


 やり過ぎたか?まあ、死なないでしょう。

 特に『気』のスペシャル技を使った訳ではないし。


『それにしても、常時纏っている気力が格段に上がっておりますね。』


 そう言われると確かに。身体も締まっている。

 この「気」ならあの技ができる。


「それよりも行こうか。」


「そうだな。」


 ちなみにクーリアさんは全く驚きません。

 何故なら彼女にはハエが止まるように視えていたそうです。


 もうイヤになりそう。







「よっと!よっこらせい!」


「元気になった?」


「そうだな!何か力が漲る!」


 俺とクーリアは鬼たちが逃げた跡を木々を避け、追いかける。


「疲れにくいし、身体能力も向上している。」


「当たり前だ。狂地へ至ったのだ。」


 狂地が何なのかは知らないが、凄い事なんだろう。


『・・・・・・・』


 うん?


『いえ、何も。』


 メビウスが珍しくダンマリだ。


「王よ!ご無事で!」


 アミリアンが俺らを待ってくれていた。


「アミリアン。他は?」


「はっ!既に移動を開始し、来た鬼たちもナスティラを使い運ばせております。」


 ナスティラさんは魔導師だ。

 人の何百人何千人と運べるし、テレポートさせられる。

 しかし、聖王国を知らないため直接向かえない。


「ナスティラさんが運んだなら時間の問題か。」


「はい。ただその間、攻撃はナスティラには厳しいかと。

 そこで、ミカエラ、ラーシャで空中の護衛を。

 地をラルミー、ザクセリア、フリールアで。」


「残りは鳥と蛇の護衛か。」


「はい。先に進んでいた分、あまり重要視しなくてよいかと。」


 その通りだな。

 この配慮は正直な所ありがたい。


 残すは我々3人って事か。

 向こうが追いつく可能性を少しでも削らないと。


『普通なら無理難題ですが、今のマスターとクーリア様、アミリアン様であれば可能かと。』


 強さの比率的には?


『1対4対5です。』


 ・・・・・・・ちなみに1は?


『聞きたいですか?』


 俺は空を見上げる。


 アレ?空ってこんなに揺れていたっけ?


 人知れず涙が流れる。

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