第142話 氷河期 初体験よ
ならばこちらは。
「波動砲じゃあ!!」
片手に集約したエネルギー砲を放った。
「何それ!!何かでるの!?」
初驚きの学園長だ。
ここまで、ビーム攻撃をしていなかったからでもある。
バリスタを貫いて、そのまま学園長へ。
「『フローズン・ハイシールド』」
綺麗な氷模様のシールドが出てきた。
そして、波動砲を受け止め切った。
「やりますね。」
「結構強気になったわね。
けどその力をまだ、十分に発揮できていないようね。」
「ご明察通り。この出力が限界だ。
これ以上は成長し切っていない身体にダメージを与えてしまうからな。」
「弱点を喋っても良いの?」
「どうせバレる。」
学園長は戦闘経験豊富の読心の持ち主だ。
『隠すのは不可能ですね。
良い判断かと思います。』
「そう。じゃあ、これで決めようかしら。
本当はやるつもりもなかったけど。」
何を?
「『召喚:聖杖 氷神彫像杖』発動。」
神々しい氷の杖が降臨した。
「先にごめんなさい。」
杖を発動したんだろう。
理解した時には遅かった。
俺は全身凍っていたから。
カチカチな初体験です。
リリーア視点
「はぁ。この力は強力過ぎね。
魔力もゴッソリと持って行かれたわ。」
発動した聖杖をすぐに消した。
「この威力は避けられないようね。
・・・いいえ、違うわね。
避けるための力が足りないのね。
彼自身がまだ未熟って事ね。」
自分でも解っていたなら、彼はもっと強くなる。
しかし、リリーア自身が1番に疑問を感じたのは、どうして聖剣の力を使わなかったのかだ。
使い方は幾らでもあった。
「もしかして・・・・使い方を知らない?」
基本的に聖剣や魔剣は召喚式であるため、使い方等は本人の頭に入ってくる。
しかし、キャストの場合は魔道具による機動のため、頭に使い方が一切流れてこなかった。
「もし、この仮説がそうなら彼は特殊よ。
勇者であるような、違うような存在。
なのに、宿った聖剣は四代聖剣の1つ 『知を統べる剣 夢幻のメビウス』なのね。」
何もかもが特殊過ぎた。
見えないあのピーキーな力も剣から?
でも明らかに、自分で行使していた。
なら、その力は何処から手に入れたの?
「疑問が尽きない限りね。
・・・・私はようやく出会えたのかな。」
リリーアは凍っているキャストを見つめていた。
5組の戦闘
「うぅげぇぇぇぇ!!」
「ちょっ!カイ!しっかりしなさい!」
「フィアっちの言う通り!」
「前衛なら!俺と一緒に粘れや!」
「無理無理無理無理!根性とかじゃっぐべ!」
カイはライガーたちと共に、前線で先生2人を相手に立ち回っていた。
そんな中で、カイがドラクル先生にボコされていた。
「カイくん。なかなかな腕前ですね。」
「カイ!」
ニーフィアの賢者専用のスペル魔法が炸裂した。
「はぁ!大地よ!」
ドラクルの下から大きなガイアの木が生えた。
「凄い!これは!?」
「やるわね。あなた。
手を抜いていたのはどうしてかしら?」
マクリルに言われて、ギクッとしたニーフィアだ。
「これは下手に攻撃をすると、全ての攻撃を高速で魔法解析して反射しますね。」
「何それ!すっご!フィアっち!」
「凄いぜ!嬢ちゃん!」
ライガーとイザヨイは褒めまくっていた。
「す、すまねえ。ニーフィア・・・。」
「いいの!気にしないで!」
しかし、マクリルの動きが唐突に止まった。
「ん?ああ。終わりか。」
「了解しました。
皆さん!戦闘終了です。お疲れ様でした。
皆さんは先に着替えて、教室に戻っていて下さい。」
キャストと学園長の戦いが終了したため、終わった。
「なんだ?ってキャストは!?」
「って何だこの壁?」
「そ、そうね。
これ・・・魔力が宿ってる・・・。」
ニーフィアの恐ろしい発言に、クラスの一同が度肝を抜かれていた。
「キャスっち大丈夫かな・・・。」
キャスト視点
ぐぬぬぬぬぬ。
ボロボロに負けた。
チクショウ。
『気天極』が本調子では無いにせよだ。
負けた。また負けた。
ギベル、ドラゴニフ、サメ少年はまだいけた。
けど、今回の格上相手は圧倒的に負けた。
目を覚ましたくない。
でも、逃げる気はサラサラ無い。
再び、視界に光が差し込んだ。
「・・・・・。」
何だろうか。何か温かい。
「・・・・・・。」
胸元ら辺に視線を下ろすと、裸で温めてくれている学園長がいた。
え、えーと・・・いやーーん。
「そんな棒読みは初よ。」
「狼狽えてはいます。
それにここは何処ですか?」
「ここは学園長室の隣の部屋にある、仮眠室よ。」
仮眠室って、社畜かよ。
「何でワシとあなたは裸なん?」
つい癖のある話し方に。
「こうした方が体温を維持できるとかなんとか。」
「実際に効力は無いですよ。それ。」
「うーむ。そうなのか・・・。」
ただ学園長の胸元の感触は最高だ。
「下心が元気じゃの。」
「身体も心も正直なので。」
「心が正直とは分からないが・・・。」
何故か2人とも動かずに、ジッとしている。
「どうかしましたか?」
「いやの、何か仕掛けてくるかなって。」
「??話が見えん。」
「見えないって。
こうして誘っているの?分からないの?」
俺を氷漬けにしておいて、そのセリフを吐くの?
俺の聖剣もガチガチに凍らせて、機能不全にさせられそうだ。
「なっ。失礼な奴ね。そんな事はしないわ。」
「でもね、最強さんだよ?
それに、まだ身体が動かんし俺。」
「そうなの?それは申し訳ないわね。」
すると、今度は顔を近づけてきた。
「では、こちらから仕掛けてみようかしら。」
何でや!
今度は、扉が粉砕された。
「旦那様!!って何さらしてんだっ!テメェわ!」
どこぞのヤクザみたいなセリフなんだけど!
ヘルガーが仮眠室に突撃してきた。
殺意全開で。
「はぁ〜。部屋を壊さなくても良かったでしょうが。」
「うるさい。そこを退け。
旦那様。申し訳ありません。
講習のせいで遅れてしまいました。
今、そこから解放して見せます!」
ヘルガーはヤル気全開で、バルディッシュを構えているが、学園長のやる気は無い。
「ヘルガー。武器を下ろして。」
「!!だ、旦那様!どうして!?」
「話せば長くなるけど、そうだね。
俺の話を聞いてくれるかな?」
ヘルガーはすぐに武器を背中に仕舞い、こちらに近づいて正座した。
切り返し早!
「じゃあ、まずは教室にできごとから・・。」
ヘルガーに全部ぶち撒けた。
隠す必要性も無かったから。
「なるほど。経緯は分かりました。
ですが、解せない事があります。
そこの泥棒猫が、もとい、年増ババアが何故旦那様を狙ったのかです。」
言い過ぎだろ!
ダークエルフは長寿だ。
だから、年が多少あっても美しさは損なわれない。
それに、褐色美人は正義だ。
あれ?ヘルガーも正義だ。
「めちゃくちゃ言うじゃない。
アンタも年言ってるでしょうに。
人間種だから短命だし、すぐに肌質も落ちるくせに。」
アンタも大概言い過ぎだけどな。
「ほう。貴様・・・聖女だな?
しかも、氷の精霊を自在に操ったとなると。
精霊王の資質もあるな?」
!!
俺の中に衝撃が走った。
ヘルガーの説明した内容と俺の実体験から気づいた。
確か、聖杖を召喚していた。聖剣ではなく。
この世界は聖女が存在する事は知ってはいたが、勇者の誕生国縛りは関係ないのか?
それに、精霊王かよ。
俺の周りは、つくづく化け物じみていて怖いねぇ〜〜。




