~第七十二話~ベゼルバード王国~ウルフデビル討伐~
とりあえず……魔法の実験もしたし、俺達は、依頼「ウルフデビル」の討伐をする為、移動する事にした。
ベゼルバード王国を出て、数時間後、地面が湿っている、沼地に辿り着いた。
「コウさん、ここが沼地みたいですね」
「そうみたいだな……二人とも、大丈夫か? 歩きにくいよな? ここ」
「ええ……歩いていると、地面に足を取られて、進みにくいわね」
「あ、私は大丈夫です、このブーツ、結構万能なんですよ、沈む事はほとんど無いですよ」
「そうなのか?」
「はい」
そう言われて、クリスの足元を見てみると、確かに沼地だと言うのに、沈んではいなかった。
結構便利そうなブーツだな? それ……
そんな事を思いながら、依頼の「ウルフデビル」の捜索をする事にした。
改めて思うんだが……見た感じ、生物の痕跡が全く感じられなかった。
と言うか、足跡が全く無いので、本当にこの付近にいるのか?って疑問に思うんだが……
まあ、情報によると、この沼地に出没するらしいので、探して見るとするか……と思う事にして、捜索を続行、数十分後、獣型の生物を発見した。
見た目的に言うと、カイザーウルフに羽が生えていて、かなりカッコよく見える。
あれが、依頼の「ウルフデビル」だと思うので、俺は二人に
「あれが、依頼のウルフデビルだと思うんだが……二人は、どう思う?」
「コウの言うとおり、あれがウルフデビルだと思うわよ、それにしても……何か強そうに見えるわね」
「わ、私は戦闘には、参加しませんよ? 魔術が使えませんから」
「あ、そう、じゃあ……俺とリムが攻撃するから、クリスは荷物運びな」
「わ、解りましたよぅ~」
そう決めて、俺は様子を伺っているウルフデビルに、指先を向けて、術を発動する。
「デス・トラップ」
俺の術の効果が発動、ウルフデビルが数秒間だけ、動かなくなったので、俺はリムに
「リム、術を頼む」
「了解、じゃあ……まずは、この術をやってみるわ! ファイヤー・ボール!」
リムの火系の術が発動、フレイ・バーストよりかは、小さい火の玉が出現して、ウルフデビルに命中、少し焦がしただけで、ダメージを与えたようには見えなかった。
十秒たったので、ウルフデビルが動き出したので、俺は余裕を持って
「デス・トラップ」
そう言って、二回目のデス・トラップを発動、再び動けなくしたウルフデビルに、俺は対象物をウルフデビルにして、効果を毒にして、こう言う。
「デットリー・レイ!」
そう言うと、ウルフデビルの色合いが変化して、苦しみだした。
それを見たからか、リムが
「うわぁ……本当に鬼畜よね……コウの術」
「と言うか……コウさん一人で、倒せるんじゃないですか?」
「あ、そうよね……コウ、一人で倒せるんじゃない? 私の術、必要ないわよね?」
「そうか? まあ……そうかもな」
俺はそう言って、自分の装備している武器、光夢でウルフデビルを切り裂く。
呆気無く倒す事が出来て、地面に一枚の羽が落ちていた。
「クリス、これが依頼品、バードデビルだと思うぞ、クリスが持っていてくれ」
「あ、解りました」
そう言って、クリスが依頼品のバードデビルを持つ事になった。
「コウさん、依頼って、これで完了ですか?」
「いや、バードデビルは、二枚で完了だからな? あと一枚だな」
「じゃあ、もう一体、ウルフデビルを探す必要があるわね」
「ああ、そう言う事になるな、近くにいるといいんだけどな?」
「探し回って、見つからなかったら、ベゼルバード王国に戻るんですよね? 私……夜までには、戻りたいですよ?」
「そうだな……とりあえず、もう一体を探す事にするぞ、暗くなって来たら、打ち切って、ベゼルバード王国に戻る事にするぞ」
「了解」
「解りました」
そう決めて、俺達は、もう一体のウルフデビルを探す事にした。
二体目のウルフデビルは、一体目を見つけてから、一時間後に発見した。
ウルフデビルは、俺達に牙を向けて、襲い掛かって来たので、俺は飛び込んで来る、ウルフデビルに、術を発動する。
「デス・トラップ」
そう言った瞬間、飛んでいたウルフデビルが、地面に激突、ブルブルと震えていた。
「さ、リム、今のうちだ、術を頼む」
「なんか……凄い卑怯な事をしている気になるけど、まあ怪我する事は無いし、これでいいわよね、じゃあ、行くわよ、フレイ・バースト!」
リムの火系の術が発動、俺の術で動かなくなっているウルフデビルにあっさりと命中し、火達磨になりながら、一撃で倒す事が出来たみたく、あっさりと消滅、地面にさっきと同じ羽が、落ちていた。
「クリス、二枚目のバードデビルだ」
「解りました、回収しますね」
そう言って、クリスがバードデビルを回収して、これで依頼「ウルフデビル討伐」は、完了した。
「回収終わりました~」
「よし、これで依頼は完了だ、じゃあ、ベゼルバード王国に戻るか」
「ええ……けど、コウ? 道解るの? 沼地に入ってから、結構歩いたし、どっちの方角にベゼルバード王国があるのか、解らないわよ?」
そう言われると、沼地に入ってから、かなり歩き回ったので、どっちの方角にべゼルバード王国があるのか、全く解らない状態になっていた。
「あ……確かにそうかもな……ちなみに、クリス」
「はい?」
「お前は、どっちにべゼルバード王国があるのか、解るのか?」
「はい、解りますよ? 私に任せて下さいよ、前にも言いましたけど、私、行こうと決めたら、その場所に辿り着く事が、かなり多いんですよ?」
「そうなのか……じゃあ、クリスに任せるぞ」
「はいはーい、じゃあコウさん、リムさん、私について来て下さい」
そう自信満々に言うので、クリスに従う事にした。
数時間後
「どうです? 着きましたよ」
クリスに案内されて、迷う事無く、無事にベゼルバード王国に辿り着いていた。
「クリスちゃん、凄いのね」
「いえいえ、さ、コウさん、このバードデビルを冒険者ギルドで換金するんですよね?」
「ああ」
「で……私も頑張ったんだし、依頼料頂けませんか?」
「……そうだな、じゃあ冒険者ギルドに向かうぞ」
「はい!」
「えらく嬉しそうだな、おい……」
まあ、実際にクリスが役に立ったので、クリスにも依頼料を与える事にするか……と思いながら、冒険者ギルドに向かっていると、知っている人物を発見、俺はクリスに
「クリス」
「はい?」
「お前の術を治してくれる者を見つけたぞ」
「ほ、ほんとですか? ど、何所ですか?」
「冒険者ギルドの方角に向かったみたいだし、冒険者ギルドで会えるかもな?」
「そうですか、じゃあ、早く行きましょう!」
「ああ」
そう言いながら、国の中を歩き、冒険者ギルドに辿り着く。
中に入ると、知っている二人を発見したので、声をかける事にした。
「お久しぶりだな、二人とも」
俺がそう言うと
「久しぶりだな、コウ……それに、リム」
「お久しぶりです、コウさん、リムさん」
冒険者ギルドにいたのは、前に別れた二人、レインとユーリの姿が、そこにいたのであった。




