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Become Monster Online~ゲームで強くなるために異世界で進化素材を集めることにした~  作者: 亜掛千夜
第三章

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第九六話 久しぶりの零世界

 三町『シェルシィ』に着くと目当ての人物がいないか確かめるが、まだ来ていないのでしばしポータル付近のベンチに座って待つ。

 少しの間そうしていると、ポテポテと可愛らしい足を動かしこちらに近寄ってくるプレイヤーの姿が視界に入る。



「ごめーん、まった~?」

「いや、待ってないよ。ランラン」



 やって来たのは紫色の魔法少女服を着た、二足歩行パンダ──ランラン。毒を専門に扱う錬金術師だ。

 彼女の工房自体は課金拠点だが、ビアバレルのように入り口をBMOのマップ内に設置していて、依頼したいプレイヤーはそこを訪ねに行く。

 だが基本一見(いちげん)さんお断り状態──というより、そもそも店として運営する気もないので場所は公開しておらず、知る人ぞ知る隠れた名店状態になっていた。

 今回ブラットは本人との友誼を結べたことで、直接その場所へ連れて行ってもらえることになったのだ。


 無事に落ち合えたところで、軽く話しながら彼女の店の入り口のある方へ向かいだした。



「ランランの方も、まだファフニール関連の情報はなしかぁ」

「うん。毒竜王っていうくらいだから、ぜひ会ってみたいんだけどね~。そっちも情報掴んだら、教えてね」

「もちろん、二人で解放したイベントだしな」



 どんどん裏路地の人気のない方向へと進んでいき、しまいにはマンホールの蓋を開けて地下へと潜っていき、話題も直近のイベントの話へと移りはじめる。



「へぇ~、イベントの最後の場所で【ピュアブロッサム】の苗木が手に入ったんだ。いいねぇ~」

「ランランも【命脈の雫】が、やっぱ欲しいのか?」

「もちろん、毒にだって活用できるしね。けど本命は【絶脈の雫】なんだけど」



 グネグネと迷路のような地下道を行き、ブラットは必死でその道のりを暗記していく。

 録画や地図の作製はランランからダメだと言われているので、そうするしかないのだ。

 しかしブラットは脳内マッピングも長年のゲーム経験で鍛えらえているので、なんとか話しながらでもできていた。



「【絶脈の雫】……? 知らないアイテムだ」

「だろうね~。まだ錬金や薬師界隈でもあんま出回ってない情報だし。

 【ピュアブロッサム】の傷んだ花弁だけを集めて【命脈の雫】と同じ方法で抽出しようとすると、極極稀に手にはいる……かも?って言われてるアイテムだよ」

「かも? 情報が合ってるかどうかもわかってないってことか?」

「手に入れられる機会が少なすぎて、その入手方法が正しいのかどうかさえもまだ不明なのよ。

 毒づくりにもめちゃくちゃ有用らしいから、私もずっと探してるんだよねぇ。

 そうだ。もし何かの拍子にブラットが手に入れた【ピュアブロッサム】から、【絶脈の雫】が手に入ったら私に譲ってくんない? ちゃんと色を付けるからさぁ~」

「別にいいよ。オレが使うよりランランが使ったほうがいいだろうし」

「ほんと~! ありがとー! なら今回の依頼もがんばっちゃうよ」

「それはこっちもありがたいな」



 けっきょくランランの工房への入り口は、地下道の非常にわかりづらい影になった場所に、むき出しで直置きされていた。

 紹介がなければここを見つけること自体、難しいだろう。



「そんじゃ、はいって~」

「おじゃましまーす」



 ランランに連れられるまま入り口を通っていくと、様々な薬草の香りが混ざり合った非常に独特な臭いのする場所に出た。

 いかにもマッドサイエンティストといった様相の工房で、薬品ケースを椅子に向かい合って座り合う。



「それで今回、依頼したいってことでいいの?」

「ああ、そうだ。どうしても確実に倒したいモンスターがいるんだ」

「ほうほう。詳しく聞こうじゃないの」



 確実に倒したいモンスターというのは、もちろん昨日勝手に名前を付けた『ナイトメア』のこと。

 本来アンデッドはほぼ全ての状態異常に耐性を持ち、毒物も効果を成さないというのがBMOにおいては一般的な考え方となっている。

 けれどBMOにはアンデッド専用の毒というのも存在する。ブラットは神聖属性のアイテム以外に、毒も用いて徹底的に相手の弱体化を狙うつもりなのだ。今のブラットに卑怯という文字はない。


 治樹こと『はるるん』から聞いた話や零世界から持ってきた絵姿を交えて、ナイトメアの情報をランランと共有していく。



「なるほどね~。そいつを倒せばブラットは、また一段進化できると。そのためにも私の毒が欲しいと」

「うん、その通り。お願いできないか」

「いいよ~、面白そうだし。だってBMOのマップじゃまだ目撃されてない、今のとこ零世界サーバーとかいうとこだけのオリジナルモンスターなんでしょ?

 サンプルとしても興味深いし、後で使用したレポート出してくれるんなら特急料金込みで格安で請け負うよ」

「マジで!? 出す出す。どんな効果が出たか確認すればいいんだな?」

「そうそう。できるだけ詳細な情報が欲しいかな」



 はるるんが似ていると言っていた二種類のモンスターに対しての毒は既に作れているので、一発本番で『ナイトメア』という個体に確実に効果を発揮する毒が作れる可能性は高いが、一〇〇パーセントでもない。

 なのでランランは三種類もの『対ナイトメア毒』を、作成してくれると約束してくれた。


 彼女の実力なら三つあれば確実に一つは効果が出るだろうし、なんなら三つとも効果がある可能性も高いのでブラットとしても異論はない。

 だいたいの完成予定日も聞き、ランランへの用事は無事に済ませることができた。



「にしても……今はなんだかカッコイイ格好してるね……」

「なんでちょっと残念そうなんだよ」

「いや……可愛いショタっ子の体操服姿。本人はちょっと恥ずかしがってるとこもポイント高かったのになぁ~って」

「なんのポイントだよっ!?」



 今のブラットは、まだサクラが作ってくれた衣装を着ている。

 だがそれも今日でまたお終い。体操服マントから、さらにグレードアップしたコスチュームを身にまとうことが確定していた。

 またあの、たまに残念な子を見るような他プレイヤーの視線を受けることになるのかと、少しだけブラットは憂鬱に思えた。




 ランランに毒製作の依頼をしたブラットは、また課金拠点に戻って零世界へ持っていく物の順番を決めていく。



「ナイトメアが攻めてくる前に、あっちに必要なものを全部運び終わっている必要があるからね。

 最悪なくてもいいものは後回しにしないと」



 ナイトメアはブラットたちの動きによって、シカのモンスターの勢力に喧嘩を売ってしまった。

 そのことで戦力を減らし、しばらく足止めを食らうことになるのだが、まだそのことを知らないブラットはどれだけ奴らが攻めて来るまでに準備を進められるかが心配でならなかった。

 だからこそイベント期間中は無駄に時間を進めないよう、いっさい零世界へは行かなかったのだから。



「けど間に合わなかったときのことも考えておいたほうがいいか……。となると──」



 ナイトメアの攻略法は既に大枠は固まっているが、向こうで準備しなければならないこともある。

 それら様々な状況を加味しながら、ブラットは思考をフル回転させて一回目の準備のためのアイテムを選んでいった。


 アイテム選びが終わったブラットは、いよいよ零世界への扉へと向かう。

 その格好は体操服、【ソウルマント】という名の気持ち悪いマント、【猫首領の海賊帽】、【猫首領の眼帯】、右腕にはボロボロの包帯にしか見えない【オシリスの包帯】を巻き付け、他にもイベントで手に入れた胸当てに腕輪と──もはやなんのこっちゃ状態だ。


 周りもイベント中に着ていた格好いい衣装から一転、さらに派手になった体操服姿に「なぜまたその恰好!?」とばかりに唖然とした表情で見つめてくるが、ブラットは鋼の心で無視して突き進む。



(うぅ……あれだけたくさんアイテムが手に入ったのに、なんでまともな衣装は入ってないんだ! 運営のばかやろー!)



 内心、無視はできていなかったようだが……。


 羞恥心を我慢しながら零世界に繋がる扉にたどり着き、久しぶりにブラットは異世界へと舞い戻った。

 目を開けると零世界での簡素な自室が視界に飛び込んでくる。

 実際にこちらの時間からすれば寝て起きた分しか時間は過ぎていないのだが、色葉としての魂は久しぶりだと感じた。



「まずは着替えよう」



 こちらに持ってきたアイテムを床にばらまきながら、今着用している零世界で手に入れた服を脱ぎ、持って帰ってきた性能の高い衣装に着替えていく。

 【毒蜥蜴王鱗の胸当て】を付け、【月光銀の腕輪】を右腕に嵌め、【毒蜥蜴王の首飾り+1】を首にかける。

 これでこちらで身に着けていた、ブラットの装備品が戻った状態だ。


 散らかしたアイテムたちは、空の状態で持ってきた【エービトンのトランクケース】にしまっていく。



「やっぱり手持ちスロット以外で、手軽にアイテムを収納できるのは便利だな。

 なんならあと何個か欲しいくらいだ。また次のイベントとかで似たようなのが手に入らないかな」



 エービトンのバッグの頑丈さは、BMOお墨付き。

 大事な物入れとして今回持ち込んだ必須アイテムをいくつか収め終わると、ベッドの下には入らないので部屋の片隅に置いておく。



「あとはこれを置いて、こう。これでいいかな?」



 続いて持ってきたアイテムの中で、あえて出したままにしていたティッシュ箱程度の大きさをした箱の上に、小さな傘が付いたような魔道具──【自動蓄魔箱】を邪魔にならないところに置いて起動させる。

 すると傘が開き、箱のほうに『蓄魔率0%』と表示された。


 これは自動で世界に満たされているエネルギーから、魔力を生成し溜めておける箱。

 今後も使えるだろうとイベントポイントで交換しておいた魔道具だ。

 今回ナイトメア戦で使う予定のアイテムの中には、事前に魔力を溜めておかなければならない物もあるので、今のうちに魔力をこれに貯えさせ、必要なアイテムに充填しようと持ってきた。



「ナイトメア戦が終わっても、これをこっちの魔道具の燃料代わりに使えそうだったし一石二鳥だ」



 さて次はどうしようかというところで、ドアの向う側に誰かの気配を感じた。



「誰だ?」

「──っ!? 私です戦士様、ガンツ様たちが下でお待ちのようですよ」

「わかった。ありがとう、おじいさん」



 それは管理人のおじいさん。ドアをノックしようとした瞬間に声をかけられ、驚いていた。

 そのことに心の中で詫びを入れつつ、何だろうと下で待っているというガンツたちの元へと向かうべく、窓から飛び下りるように自室から出て行った。


 向こうもそうしてくるだろうと、ブラットの部屋の下辺りでたむろしていたので、直ぐに合流することができた。



「何か用か? ガンツ。敵でも来そうなのか?」

「いや、そうじゃねーよ。俺とワーリー、デン、そんでブラットの配給権を貰いに行くんだよ」

「ああ、そうだった。そんなのあったっけ」

「おいおい、昨日の今日だぞ? しっかりしてくれよ」

「ごめんごめん」



 偵察任務をこなした報酬の配給券。この世界で生きている人類にとっては、衣食を揃えるために重要な意味を持つ物。

 そんな物を忘れるなんてと豹人のガンツだけでなく、ただ付いてきただけの象人のボンドやマッチョな純人トッドも呆れ顔だ。



(そんなこと言っても、精神的には結構前の事なんだから仕方ないじゃん)



 と心の声を漏らすわけにもいかず、ブラットは素直に謝りながらごまかし、ガンツたちと共に配給券を貰いに向かった。



「おいおい、マジかよ! くぅ~~今ほど自分のデカイ図体を憎いと思ったことはねぇぜ!!」

「私もこれほどの物を見てしまうとね……。ここに付いてきたことを後悔したくなってきたよ」



 偵察任務から外されていたボンドとトッドは、悔しそうにブラットたちが持つ大量の配給券を見つめてきた。

 食料品の白はもちろん、生活雑貨やポーションなんかの黒、武器防具衣類の青と普段から多めに貰えるものはより多く、それらよりも少なめな嗜好品の緑さえも沢山だ。

 彼らにとっては国の重要人物の証ともいえる、魔道具と交換ができる黄色も数枚入っていた。

 だがやはりというかボンドが一番羨ましがっていたのは、生殖許可権……つまり『赤』の子作り券なわけなのだが……。


 ガンツやエルフのワーリーは、これでしばらく何にも困らないとホクホク顔。いつも無表情な小人のデンでさえ口角が少し上がっていた。



(期間限定イベントをこなしたおかげで、BMOで物資を集めるのも楽になったとはいっても、いざとなればこっちで物が手に入るのはやっぱいいね)



 将来的には国から追放されるであろうモドキや劣等種の仲間候補の幼児を、進化するまでブラット個人で養わなければならない可能性もあるので、ここで大量に保有しておくのはありだろう。


 その後、配給所をガンツ隊全員で回って必要な物は交換しつつ、その日は解散となった。

 まだモンスターたち側の勢力は慌ただしく、人間に構っている暇がないからか、襲撃もなかったからだ。



「よいしょっと」



 再び自室に戻ってきたブラットは、交換してきた物をアイテムスロットから取り出し並べていく。

 前は交換できなかった肌触りのいい綺麗なシーツをマットレスの上に敷き、ブラットの体を覆えるブランケットも乗せておく。

 今あるただの棚も、もっと大きく機能性のある引き出しや扉もついている物に交換し、ベッドに座ったときちょうどいい高さになる、こじんまりとした机も設置した。

 出したままだった【エービトンのトランクケース】も、棚の下に収納できるようになった。



「うん。だいぶ良い生活になってきたかも」



 魔道具はできれば電子レンジチックなものを交換してみたかったが、偵察任務分の黄券を合わせても無理だったので諦めた。

 夕ご飯を適当に済ませてから体を拭いて身ぎれいにした後は、ベッドの上に座り今後の予定をあれこれと立てていく。


 まだやらなくてはいけないことが、いくつか残っている。その一つを済ませるために眠らず静かに待っていると、今日もいつものように待ち人が入ってきた。



「いらっしゃい、アデル」

「あら待っていてくれたのかしら? お邪魔するわ、ブラット」



 その人物はアデル。この零世界において現最強の人類だ。

 ブラットはお茶と摘まめるものを用意して、今日交換したばかりの机に置いてアデルに出していく。



「ありがとう。日増しに快適になっていってるわね、ここは」

「偵察任務のおかげで配給券が稼げたからね。座って、アデル」

「ええ、そうさせてもらうわ」



 ベッドに座るブラットに密着するほど近くに、当然のように座ってお茶に手を伸ばすアデル。



「実は今日は、アデルに渡したい物があったんだ」

「あらプレゼント? なにかしら」



 綺麗な口元をほころばせ、優雅にブラットと視線を合わせてくる。

 その吸い込まれそうな瞳にも、ブラットは平然と抗い棚の下にしまっていた【エービトンのトランクケース】から、中央に五センチほどの深紅の宝玉が嵌まった、コウモリをあしらったネックレスを取り出し彼女に渡す。



「これは? なんだか持っていると体が熱くなってくる気がするわ」

「【紅血珠のペンダント】っていうアイテムで、血液に関する魔法を使うとき威力や消費魔力を抑えてくれるものなんだ。

 アデルの種族はたぶん吸血エルフだろ? それがあれば役に立つと思ったんだけど違ったかな?」



 吸血エルフとは、吸血鬼のエルフ版とでも言えばいいか。

 こちらは吸血鬼よりも物理的な攻撃や防御は少し下がるが、その代わり魔法的な能力が跳ね上がっている。

 従ってなお高めな攻撃や防御もあるので、ある程度前衛で戦うことも可能。

 吸血によるバフや回復など吸血鬼にもある能力に加え、血液を操る魔法なども自在に使える、BMOにおいては前衛もできる高火力魔法アタッカーとして活躍しているプレイヤーが多い種族だ。


 さらにモドキ種という種族から進化できた恩恵か、アデルは日光によるデバフはなく、神聖属性の攻撃によるダメージも他の種と変わらないという特性を潜在的に有していた。

 デメリットが有ることと引き換えに強くなっているような種族から、デメリットを取り除いた反則的な存在と言えよう。


 ちなみに【紅血珠のペンダント】も、イベントポイントから交換したアイテムである。



「それは……ええ、そうよ。私は確かに吸血エルフだけど、どこでこんな──……って考えるまでもないわね」

「そう、神の恵み箱からだ。たぶんアデルに渡してくれって神さまが入れてくれたんだよ、きっと。

 オレじゃあ使い道のないアイテムだしね」

「そう。そういうことならありがたく、人類のために活用させてもらうわ」



 他にも持ってくるものがたくさんある中で、なぜアデルにお土産を持ってきたのか。

 それはアデルを強くすることで、もし準備が終わる前にナイトメアが攻めてきても、その力で猶予を稼いでもらう余裕もできるのではと考えたからだ。



「着けてもらえる?」

「もちろん」



 ネックレスをアデルから一度返してもらい、留め具を外す。

 後ろを向かず正面に向き合ったまま、ウェーブのかかった金の長い後ろ髪をたくし上げる彼女に、抱き着くような姿勢で腕を回していく。

 もう覚えてしまったアデルの甘い香りが鼻孔をくすぐる中、ブラットは首の後ろで留め具を止めて元の体勢に戻ろうとした。

 けれどギュッとアデルに優しく抱きしめられて、それはできなくなった。



「ふふっ、捕まえた」

「後ろを向かない時点で、やると思ったよ」

「なんだ。あんまり驚かないのね。男の人は不意なスキンシップに弱いって、カルラは言っていたのに……残念だわ」

(ごめんね、アデル。私の中身が女だってのはあるんだろうけど、そもそもその手は葵がよくやるんだよ……)



 不意どころか既に自分の世界の親友に、これまで何度もされてきた悪戯だ。ああ来るなと既にわかっていたのだから、今更ドキドキしようもない。

 けれどやはり人肌の温もりというものは心地いいもので、ブラットはそのまま抵抗せずにアデルとくっついたまま抱きしめあう。


 そうしているとアデルも満足したのか、ブラットを解放してくれた。

 そしてペンダントを一度手に取り眺めてから、背筋をピンと伸ばしてブラットを真っすぐ見つめて小首を傾げた。



「どう? 似合っているかしら?」

「うん、似合ってる。綺麗だよ、アデル」

「──っ!? も、もう、口がうまいんだから。

 ありがとう、ブラット。大切にするわ」



 そう言って少しだけ恥ずかしそうに笑う彼女の表情に、ブラットは戦力の強化など関係なく、彼女に贈り物をしてよかったと心から思った。

レビューをいただきました! ありがとうござます!! とても励みになりました!

次は火曜更新です!

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