第七五話 ロロネーの手記
戦闘の余韻に浸ることも、宝箱を開けることもできずに、ブラットたちは海に流されていこうとする無数のシップコアを海面から拾い上げていくという作業に追われた。
必死に集めたかいもあって、無事に大量のシップコアを入手できた。
こんもり山積みになって船の甲板に転がっているそれらを、片っ端から三人で自分たちの船のコアに投入していった。
「一個一個そんなに凄い量が入っていたわけじゃないが、これだけでもかなり資材が潤ったな」
「中には当たりって言いたくなるくらい、大量の資材が入ったのもあったしね。そのおかげかも」
「なんにしても、これで資材集めに追われることもしばらくなさそうだねぇ。
ちな、あれって全部プレイヤーたちの残骸だったんかな?」
「いや、さすがにそれはないだろう。たぶん演出兼討伐報酬の一環として、運営が用意したものだと思う」
「さすがに、あれだけの数はありえないだろうしね」
「なーるほど」
乱暴に変態ダコに突き刺したせいでヒビが入っていた船楽器も、自分で撃ち出した収束音波砲をゼロ距離発射した衝撃で負傷した船体も、今回得た資材で完全に元通り。
しゃちたんは船楽器が壊れないか心配だったようだが、もうそこ自体が船の一部と化しているので、資材による急速回復の対象内だということは確認済みだったからこその作戦だった。
無事に直ったのを確認し終わった三人は宝箱を開ける──前に、霧がなくなった後もずっといたせいで近くに海賊船が寄ってきているのを発見した。
「もう少し待ってくれてもいいものを……。もう面倒だし、逃げよう」
「もう、なんなのさー!」
「資材にも余裕ができたし、無理に倒す必要もないからね」
文句を言いながらも、ブラットたちは逃げる選択をした。
宝箱は開けて中身を取り出すまでは消えない仕様だ。安全な島を見つけて、そこで確認すればいい。
とはいえ気になって仕方がない三人は終始ソワソワしながら、倒せそうな海賊船も無視してポータルのある島を発見し、ようやく安全な場所に船を停めることができた。
「よし、今度こそ安心して開けられるな」
「しゃちたんなんて、運転中もずっとソワソワしてたしね」
「なんだよー。二人だって似たようなもんだったでしょーが」
「「ばれたか」」
そんなやりとりしている時間も惜しいと急いで操舵室から降りてきた三人は、それぞれの宝箱の前に立って蓋に手をかけた。
「「「せーの!」」」
三人一緒に仲良く開いて、その中身を物色していく。
中には大量の換金アイテムや素材、イベントのポイントやRPのオーブ、装備品やアイテムの類がぎっしりと詰まっていた。
「【ブルーブラッド】が入ってたのは、個人的にも嬉しいかな。
うちのクランの生産職の子たちが、いっつもないない言ってたから喜ばれそう」
「確か生産アイテムの効果を高める効果があるんだっけか」
「そうそう。ブラットとしゃちたんも、今後アイテムの生産依頼するときとかにそれを出すと喜ばれるよ。
だから売り払わずに取っておいた方がいいかもね」
「そうなんだ! 普通に売ろうとしてたよ、ラッキー」
素材系の中ではブラットたちにとっては、一番の当たりともいえるのがこの薬瓶に入った青い液体──【ブルーブラッド】だろう。これは一人五個ずつ入っていた。
(私的にはこっちの方が嬉しかったけどね)
今回の宝箱の中には、ブラットが欲していた経験値ポーションがそれぞれの箱に一つずつ入っていた。
それを交渉して適正価格でHIMAとしゃちたんから買い取れたので、零世界での必須アイテムともいえる経験値ポーションが三つも手に入ったのだ。
(どっかで手に入れられたらとは思ってたけど、これは幸先いいね)
また『Ash red』としてためになりそうなアイテムとしては、アクションが追加できる【アディショナルディスク】が一人一つずつ。
HIMAの宝箱に入っていた二つ目の【ディテールド・アナライザー】と、しゃちたんの宝箱に入っていた二つ目の【リミナル・ウェッジ】。
さらに船にのみ設置可能な、【魔力充填式銃塔】なんていう兵器まで三つ手に入った。
【ディテールド・アナライザー】は単純に数が増えただけだが、【リミナル・ウェッジ】に関してはパーティで一つしか使えない仕様になっていた。
けれど無用な長物かと言われるとそうでもなく、元の【リミナル・ウェッジ】に吸収させることで楔の数を一つ増やせるようになる。
ブラットたちはすぐに吸収させて、残り紫一本だけだった楔に白の楔が追加された。
「これで一本、余計に他の場所に挿しておけるな」
【アディショナルディスク】の内容は、悪影響を及ぼすようなものが絶対にないとも言い切れないので、【ディテールド・アナライザー】を使って事前に確認しておく。
「オレの【アディショナルディスク】は『ターン』か。その場で回転できるんだってさ」
「私のは『スモーク』だって。煙幕が焚けるみたい」
「私は『ジェット』……ダブりじゃん。これ二つ目を入れたらどうなるのかな?」
「そもそも二つ同じものを追加できるのか?
万一この船が沈んだとき用に残しておくって選択肢もあるが」
「そこはまあ、しゃちたんが引き当てたんだし、本人に決めてもらおうよ。
それで、しゃちたんはどうしたい?」
「うーーーーーん…………、よし! 追加できるなら追加しちゃおう! 万が一にでもこの船は沈ませないからね!」
この船が沈むのは自分たちのイベントが終わるのと同義だという心意気でいくためにも、ブラットたちはこの船に全てを注いでいくことを決め全てのディスクをシップコアへインストールしていく。
《アクション『ターン』が追加されました。
アクション『スモーク』が追加されました
アクション『ダブルジェット』が追加されました》
「「「ダブルジェット?」」」
ちょっとよくわからないとマニュアルを開きながら、ひとまず操舵室へと向かってみることに。
ボタンの配列は左側に薄緑色の『ターン』ボタン。右側に『スモーク』の白ボタンが新たに追加。
さらにジェットのボタンは他よりも大きくなった上で、円を縦半分に分割した半円の赤ボタンが二つになっていた。
「マニュアルを見た感じだと半円の右側が今までのジェットで、左側が新しく追加したジェットみたいだな」
「同時に使うことでジェット二つ分の加速力、一つずつ使えば連続でジェットができるって感じかな」
強化レベルは共有ではないので、ターンやスモークも含めてブラットたちは〝5〟まで万能資材の効果であげておいた。
これでこの船は〝5〟まで強化されたジェットを、二つも積んでいる状態になる。
「これで二倍の加速ができるようになったんだ。
でも二倍となると甲板に誰か立ってるときに使ったら、海に吹き飛ばされそうじゃん」
「逆を言えば敵が乗り込んできたときに使えば、敵だけ落とせそうだよな」
「その使い方は良さそうかも。私たちはどこかに掴まればいいわけだしね」
他にもジャンプ中に使えば空中移動で二倍の距離まで進めたり──など、いろいろと可能性がありそうなアクション強化となっていた。
また『ターン』は〝5〟まで強化したことで回転速度が上がり、ボタンを押しながらアクセルの踏み加減、つまり半踏みで半回転──真後ろにすぐ振り向けるようになった。
これまではどうしても反転するにはUターンする必要があったのだが、これからはその必要もない。
『スモーク』は船を煙で包み込むというアクションだが、〝5〟まで強化したことで煙の量と展開速度が上がった。
これにより即座に煙を上げて目隠しし、相手の死角に『ターン』で方向を切り替え、ジェットで逃げる。なんていう、強敵相手からとっさに逃げるときに使えそうだ。
「アクションはこれでいいとして、船に設置できる【魔力充填式銃塔】はどこにつける?」
「無難に船の横側とかはどうかな? あとは後ろに一個設置すれば逃げるときに、相手を撃てそうだけど」
「ねー、あのさ。そもそも銃塔ってなに?」
「タレットのことだろ? 設置型の大きな銃? みたいなやつだよ」
説明するより見たほうが速いと、三つの内一つをさっそく船右側の甲板の縁に指定して、アイテム欄から設置する。
すると正面に透明の盾が張られ、砲身の先の方だけがそこから出ているといった大型の銃器が固定された。
「おー、なんか厳ついねぇ。かっちょいーかも。撃ってみていい?」
「威力も確かめたいし、ちょっと試し撃ちに行ってみるか」
「どれくらい魔力がいるかも気になるしね」
他のプレイヤーも周囲にいる中で撃つのはよくないと、少しだけ島から離れた場所に行きMPを注ぎ込んでいく。
MPの補給は一人である必要はなく、三人のMPが混ざっても問題はない。
充填率を最大までもっていくのに、ブラット三人分のMPが必要になった。
「よし、ちょうど的がきた。しゃちたん、撃ってみていいぞ」
「わーい」
やって来たのはブラットたちでも狩れる魔法使いの骸骨──ワイトを船長に据えた、スケルトン海賊団。イベントマップでも最下位層の海賊だ。
HIMAが船を運転して近寄っていき、しゃちたんは銃塔のトリガーを触手で握りながら照準を合わせていく。
「えい!」
「ナイスショット。このくらいの距離なら偏差も気にしないで良さそうだな」
手前にいたスケルトンの頭が砕け散る。雑魚クラスなら一撃で倒せる威力はあるようだ。
他にも射手を交代したり距離を離したりいろいろと実験をしていき、スケルトン海賊団の他にもちょっかいを出して実戦で使えるか試していった。
結果から言って威力は並み。充填率最大で連続百発。
〝6〟以上の強度と同等レベルの船には、ほぼダメージを与えられない。それ以下なら、これだけで沈めることは可能といったところ。
ただしブラットたちがギリギリ相手にできる程度のモンスター相手には、そこそこのダメージソースにはなるので、船に残った人員が遠距離から味方のサポートを──なんてことは充分できそうだ。
設置場所は操舵室の天井に一つ。船の甲板中央の左右に一つずつに決まったが、正直MPの消費量を考えても、そこまで頼れるようなものではなく、あくまで補助程度の役割として考えておくほうが無難だとブラットたちは判断する。
再び島に戻って、アイテムの確認に戻っていく。
「あと変わり種と言えば【合成加工たこ焼き機】が人数分か。
これはネタっぽいけど、イベントが終わった後でも使えそうだし普通に嬉しいな」
「アイテムスロットやカバンに余裕があれば、入れておいてもいいかもしれないね」
「私たこ焼き好きだし、これけっこう嬉しいかもしんない」
【合成加工たこ焼き機】はフードプロセッサーが装着された、タコ焼き器といった見た目のアイテム。
これはモンスターの肉や米や小麦、野菜など、食材になりそうなものをフードプロセッサーのような部分に投入することで、それらの食材をたこ焼きの材料風に加工して、たこ焼きを自動で作ってくれる。
さらにそのたこ焼きには少量ながらHPの回復効果までついていた。
零世界での食糧事情がまだ整っていないブラットからすれば、かなり当たりの部類だろう。
しゃちたんもたこ焼きは好きなようで、嬉しそうにしていた。
HIMAは普段もっといい料理を携帯しているので、そこまでではないようだ。
「残りで珍しそうなのは二つを除いて、オレたちの装備系のアイテムだな」
ブラットの宝箱に入っていた有用そうな装備品は、【八爪手車】【幻影蛸ピアス】【タコンタクト】。
【八爪手車】は【魔刃】系のスキルに連動した魔道具武器で、見た目はタコのシルエットが中央に描かれたヨーヨー。
そのヨーヨーに【魔刃】を使えば、八本のタコ足のような刃がにゅるっと出てきて、【魔刃回転】を使うことで高速回転を維持できる。回転の方向も【魔刃回転】の要領で、自分の意思で決められるので手元に戻すのも容易。
近~中距離間でグルグル振り回せる、魔刃手裏剣といった感じだろうか。
ちなみに普通のヨーヨーとして遊ぶこともできる。
【幻影蛸ピアス】は、タコのシルエットの黒い片耳ピアス。
MPを消費してこのアイテムを使用することで、自身の幻影を作り出すことができる。
その幻影は脆く少し攻撃されただけで壊れるが、破壊されると煙幕となって相手の視界を阻害する。
しかもその煙にはモンスターの誘因効果があるので、たいていのモンスターは煙が消えるまでそこに引き付けられてしまう。
【タコンタクト】。一見なんの変哲もないコンタクトレンズ。
名前だけのネタ装備のようだが、このレンズを付けた状態でMPを消費し相手の目を見つめると、対象に盲目効果を付与できる。
格上相手には効果時間減少。その戦闘中に同じ相手には二度通じない。なんていう縛りもあるが、視覚に頼った戦い方をする相手にはかなり刺さりそうな装備だった。
さらに閃光筒のような一瞬の強い光に耐性ができ、その瞬間だけサングラスのようにレンズが黒く染まる。
ちなみに効果発動中は、瞳孔の部分がタコのシルエットになる。
「イベント特有って感じのが手に入ったし、私はけっこう満足な中身だったかな」
HIMAが手に入れた装備品は、フォークにタコ足が絡まったような見た目の槍──【蛸幻霧槍】。
これは霧を発生させて、周囲に簡単な幻を見せる特殊スキルを持っている。
またタコ足の腕輪といった見た目の【蛸幻霧の腕輪】。
これも槍と同じ能力を持っていて、二つ同時に使うことで双方の能力を増大させ範囲を拡大することができる。
そして三つめはタコ足の指輪といった見た目の【タコアシリング】。
これは巨大なタコ足を一本、指輪から召喚して数秒間だけ使役できる。攻撃能力はそれほどでもないが、防御性能はかなり高い。
壁に使うのが一般的な使い方だろう。
「私は使いこなすのが難しそうだけど、面白いのが手に入ったよ!」
しゃちたんが手に入れたのは【スライムタコアシ】。
タコの彫像といった見た目のアイテムで、これは装備品というより食べることで消費し永続効果を得るアイテム。
食べて吸収すれば、使用できるスライムの触手が八本まで増える。
ある程度自動化は可能だが簡単な動きしかできない。プレイヤーの技量次第では細かい動作も可能だが難易度は高い。
タコの吸盤の置物といった見た目の【スライム吸盤】。これも消費型の永続効果アイテム。
体のどこにでも一つ、スタミナ消費なしで吸着できる吸盤を作り出せる。
そして三つ目、ソフトボールほどの大きさのタコのクチバシのような見た目の【スライムクチバシ】。
装備することで触手一本だけだが、その先に鋭いクチバシを出現させスライムでも噛みつけるようになる。
捕食回復のスキルも付与されるので、相手をそれでついばむことで回復も可能。
「やっぱり、あの変態ダコは倒しておいて正解だったな。
資材も資金もアイテムもポイントも、想像以上に手に入った」
「うん、それにこの【幻想蛸の呼び笛】も、やばいのに絡まれたら足止めくらいはしてくれそうだしね」
「あの変態ダコ、かなり頑丈だったしねぇ」
【幻想蛸の呼び笛】は【猫海賊の呼び笛】と似たようなもので、変態ダコ討伐の装備を身に着けることで一定時間召喚して使役することができる。
それが三つも手に入ったのは、いざというときの保険として心強い。
「そんでもって、最後の一個なんだが…………【ロロネーの手記】か」
「ドレークでもない人のだし、最初は誰?って感じだったけど、読んでみたら結構重要アイテムだったよね」
「そうそう! まさかリーサル海賊団の首領が、元人間だったなんて驚きだよね」
変態ダコの討伐報酬として、ブラットの宝箱の中に入っていた【ロロネーの手記】。
この内容を簡単に言ってしまえば、『ロロネー』という名前の人物が海の王の怒りに触れて、強大なモンスターの海賊団の長にさせられてしまうというものだった。
ロロネーは幼少期に海のモンスターに家族を全員殺され、強すぎる復讐心を抱く。
復讐の心を煮えたぎらせながら自身を鍛えあげ、彼はやがて人間界では最強クラスの力を有するようになった。
それからは、ただただモンスターたちを虐殺する毎日。
その強さは掛け値なしに本物で、大概のモンスターは手も足も出ず殲滅された。
だが不幸なことに殺したモンスターの中に、まだ幼い海の王の眷属が一体いた。
他のモンスターがどうなろうと知ったことではないが、海の王にとって我が子にも近い眷属を殺されれば黙ってはいられない。
海の王の逆鱗に触れたロロネーは、自分が一番嫌っていたモンスターに変えられてしまう。
しかも首領の印を心臓に埋め込まれ、彼は大嫌いなモンスターたちの長──リーサル海賊団の首領となって、とある鍵の守護者に無理やり据えられてしまった。
けれど彼は驚異的な精神力で、すぐには心までモンスターにはならなかった。
心までモンスターになる前に彼は、リーサル海賊団を倒しに来る英雄たちの助けになればと手記を用意し、海賊団を弱体化させるための仕掛けをいくつか施し、竜王が守らせようとしている物がある宝物庫の鍵を唯一の友に託した。
彼は特別なモンスターであり、竜王の呪いともいえる力で消滅しても何度でも蘇る。
しかし竜王は解放するための手段も温情としてか、用意してくれていた。
その方法とは、リーサル海賊団が守りし鍵を手に入れた人間が、ロロネーと正々堂々戦って打ち倒し、首領の印を破壊するというもの。
その可能性を少しでも上げるために、自分に辿り着くまでの道を緩やかにしようと考えたからこその行動だった。
手記は最後のページに近づくにつれてだんだんと人間性を失った文字になり、読み取りが困難になっていく。
しかし最後のページに大きく書かれた文字だけは、ちゃんと読める程度になっていた。
「『どうか哀れな俺を解放してほしい』──か」
「それは……ちょっと私達には無理な相談じゃない?」
「リーサル海賊団の中級クラスでも勝てないのに、最強の海賊団の首領と真正面から正々堂々戦って勝つとか無理があるよね」
「収束波動砲をぶっ放して倒すだけでいいなら、オレたちにもチャンスはあったんだろうけどな……。早く強くなりたい」
鍵を取るだけなら手段はあるかもしれないが、HIMAが言うようにリーサル海賊団の首領と戦って勝てると思えるほど、ブラットは楽観的な思考は持っていない。
だからこそ、このイベントの中でもかなり大きな報酬が約束されていそうなロロネー解放のイベントに関わるつもりはなかった。
だが心の中で悔しいと思う気持ちは、ずっとグルグル燻っていた。
(今回は諦めよう。でも絶対、いつか同じようなイベントがあったときはクリアできるくらい強くなってやるんだ)
グッとこぶしを握り締め、何度目かの決意を固める。
表面上は平静を装っているが、HIMAだけはその想いに気づきブラットをそっと見守った。
「けどそれは無理だとしても、本拠点のアジトに近づくための有用な情報はたくさんあったし、そっちを全力でやれば鍵くらいは取って来れそうじゃない?」
「……だな。オレたちはオレたちのできる範囲で、このイベントをやっていこう!」
しゃちたん前向きな言葉に、ブラットはすぐに思考を切り替えた。
この切り替えの早さも、モドキ種で進化をするために必要なことなのかもしれない。
「エルドラードに行くだけなら、倒す必要はなさそうだしね。
ってことで私たちはまずリーサル海賊団より前に、ルサルカのほうを何とかしないとね」
HIMAも元気になったブラットを嬉しそうに見つめながら、リーサル海賊団の話は一旦ここで締めくくった。
次は土曜日更新です!




