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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第一章 迷宮転生の章

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19/204

19.新たな仲間

あらすじ


探索に向かうブラックラットをスキルの特訓をしながら待つという日常が続く。

そんなある日、男はダンジョンへ近づく者を発見する。

子供のような背丈のそれは、酷く弱っているようだった。

男はスキルで子供に語り掛け、生きたいという意志を確認し、その子供を助けることにした。

次の日、目を覚ました子供をダンジョンの中へ引き入れてステータスを確認すると、

それは子供ではなく、なんと男の知識にもある有名な魔物、ゴブリンだった。

 逃げてきたゴブリンは、もう村に戻る気はないそうだ。

 逃げている途中にも多くの仲間が殺されており、今頃はもう村の跡地も蹂躙されている。だから帰っても危険なだけ。

 どこにも行く当ての無いゴブリンは、この洞窟へ住まわせてほしいと言ってきた。

 ブラックラットに相談してみるが、問題は無さそうだという。ダンジョンマップでのゴブリンの色は黄色。つまりは今のところ中立。それならまあ、大丈夫かな、と。

 私はこのゴブリンが洞窟に住まうことを許可した。

 不安はまだあるけれど、このゴブリンが持つ森についての知識は重要だ。それは、ゴブリンの持つスキルにも言えることだ。『森歩き』なるスキルや、『採取』というスキル。これがあれば、もしかしたらビルタの実のようなDPに変換できるようなアイテムを、よりたくさん手に入れることが出来るようになるかもしれない。

 するとゴブリンから、おかしなことを言われた。

 私に自分の名をつけてほしいというのだ。どういうことなのかと聞くと、強い力を持つ者に名前を付けてもらうと、その者の力が増すのだという。さらに強い繋がりが出来ることで、様々な副次効果もあるのだとか。まあその辺りは又聞きの話でゴブリンも深くは知らないのか、情報も曖昧だったが。

 上位の存在に名付けられる名前とは一生のものであり、それゆえに魔物の間では親であろうともおいそれと、子に名を付けたりはしないのだという。

 そんな一生を左右するような大事なことを、会ったばかりの私に任せていいのだろうか。繋がりというのも、きっと私の眷属たちとの絆と同じものだろう。

 これは……要約すると、配下に加えてほしいということなのだろうか?

 ゴブリンから来るイメージを解読していると、そのように感じる。

 提案に関しては興味深いものなのだが……そもそも私は強いのだろうか?

 ダンジョンという種族? 全体で見れば、きっと弱いと思う。他のダンジョンを知らないので、確信をもっては言えないけれど。なにせ一部屋、一魔物しかいないGランクダンジョンなのだ。強いなどとは到底言えない。

 ただ、魔物から見れば強い存在なのかもしれない。私という存在は、ダンジョンそのもの。つまり小さいとはいえ、この土地そのものが私なのだ。

 前生の感覚から言うと、地主? いやもっと上で、土地神などか?

 神と呼べるほどの全能感は無いが、ダンジョンに付随した機能を考えると、強ち間違いでもないのかもしれない。だとすれば、強い力を持つ者だと思うのも致し方ないことか。

 本人はこの場を動くことはおろか、外界に干渉することすら殆ど出来ないというのに。


 どうしようか。このゴブリンにはもはや行く当ても無いし、そもそもゴブリンから言ってきた事である。

 まあ深く考える程のことでもないか。

 私はゴブリンを配下に加えることにした。

 となると早速名前を付けることになるのだが、しかしその前にやることがある。名前を付けるというのなら、先につけなければならない相手がいるのだ。


 ――ブラックラット、お前に名前を与えよう


 私の手足となって、色々と助けてくれたブラックラット。

 そのブラックラットの為に、ずっと考えていた名だ。


 ――お前の名は黒牙だ


 黒き体を闇に潜み、鋭い牙の一撃で敵を仕留める。呼び名はコクガ。

 ブラックラットより感じる私がカッコいいと思うイメージから考えた名前だ。イメージから連想しやすいものにしたほうが、名前を忘れにくいというちょっと情けない理由もあるのは内緒にしておこう。昔から他者の名前を覚えるのは苦手なのだ。

 私がブラックラットに名を告げると、ブラックラットとの絆がより強まるのを感じた。


 名前:黒牙

 種族:ブラックラット ランク:E

 年齢:1

 カルマ:±0

 LV:5/25

 スキル:『夜目LV5』『隠伏LV5』『気配察知LV5』『不意打ちLV1』

 称号:【――――の眷属】


 ブラックラットのステータスを確認すると、名前に黒牙という名が追加されていた。

 ステータスの変化はそれだけだが、ゴブリンの言った通りブラックラット、いや黒牙から感じる気配や魔力が一回り強力になった気がする。うん、きっと強くなっている。感覚的なところは、正直よっぽどの変化が無い限り何となくの領域を出ないのだ。

 まあいいさ。これでやることはやった。

 次はゴブリンだ。こちらはそれほど迷う気も無い。今のところ特に思い入れはないし、あちらから言われた以上、どんな名前でも文句は無いだろう。


 ――では、ゴブリンの名前はゴブ太で


 ゴブリンの感性どころか、この世界での世間一般的な感性すら不明である。ならばまあ、私がどんな名前をつけようとも変わらないだろう。

 私がゴブ太の名前を伝えると、ゴブ太との間に新たな絆が結ばれる感覚がした。



 名前:ゴブ太

 種族:ゴブリン ランク:F

 年齢:5

 カルマ:+2

 LV:2/15

 スキル:『繁殖LV1』『夜目LV2』『解体LV1』『森歩きLV2』『採取LV2』『鈍器術LV1』『気配察知LV1』

 称号:【生残者】【――――の配下】



 早速、ゴブ太のステータスを開いてみる。

【――――の配下】の称号は分かる。黒牙とは少し違うが、召喚したかしてないかの違いだろう。【生残者】はいつからあったのだろう。最初に見た時は無かったはずだが。

 名前からして惨劇から逃げ延びたことに由来する称号だと思う。

 スキルに関しては使っている内に何となくわかるのだが、称号に関してはよく分からない物が多い。果たして称号には何かしらの意味があるのだろうか。それとも、称号はただの称号でしかないのか。

 詳しい説明とか欲しい所なのだが、今のところダンジョンの機能にも、スキルにもそれを説明してくれそうな系統のものは見当たらない。これからもちょくちょく検証を繰り返していく他無いのだろう。

 ああ、そうだ。ゴブ太に聞いてみるのはどうだろうか。黒牙はあまり知らないようだったが、ゴブ太はゴブリンの集落で育ったようだし、色々と知ってる可能性がある。

 現に又聞きとは言え名前を付けるということの意味を教えてくれた。


 ――ゴブ太。早速だが、称号というものを知っているか?


 返ってきた答えは、知っているというもの。

 ふむふむ。称号とはその者の行動や思想、起こった事柄に対して世界から与えられるもので、称号の種類に応じて様々な効果がある、というような感じのイメージを伝えてきた。

 ゴブ太から送られて来るイメージは黒牙のものよりも少しばかり分かりやすい。絆の強さで言えば黒牙の方が強いのだが、これは多分ゴブ太の精神構造が種族的に私に近いのだろう。

 それにしても、世界からとな? ガイア理論とかそういう感じの意味合いだろうか。それとも、この世界の神のこと? はたまた、この世界に付随するシステム的なものだろうか。

 その辺、ゴブ太のイメージからでは要領を得ない。恐らくゴブ太も知らないのだろう。


 ――では次に、この森のことについて知っていることを教えてくれ


 ふむふむ。ダンジョンの周りに広がる森はかなり広大なもののようだ。少なくともゴブ太は、今まで森の外というものに出たことは無いらしい。

 ゴブ太が住んでいた村の者の中には幾匹か森の外を見たものもいたそうだが、基本的に森の外に行って生きて帰ってきたものは少ないとのこと。森の外はかなり危険な場所らしい。

 森の中には様々な魔物が住んでおり、それぞれに縄張りを持っている。ゴブ太たちゴブリンも村の周辺を縄張りとしていたらしい。ちなみにゴブ太たちの村を襲ったのは他の集落のゴブリンたちだったそうだ。同じ種族でも争い合ったりしてるのか。

 他にもフォレストウルフやオーク、アルラウネやオーガなど、聞いたことのあるような魔物の名前が出てきた。ゴブ太たちにとってはかなり強力な魔物たちらしく、ゴブ太は出会ったら即逃げていたんだとか。恐怖のイメージと共に伝えてきた。よほど怖い目にあったのだろう。ゴブ太の魔力にまで微かな恐怖を感じた。

 話を聞いている内に、気になることが思い浮かんだ。では、この辺り一帯はどういう魔物の領域なのだろうか。

 ゴブ太に自己紹介をする時、私はついここの主なんて言葉を使ってしまったが、ダンジョン内はともかく、ダンジョンの周囲の森は私とは無関係である。ならばダンジョン周辺の森には、別の主がいたのではないか。だがこの辺りで魔物と出会ったのは、ゴブ太が初めてなのだ。

 では、ここは? ここの主はどうなっている?

 それがこの辺りに魔物が近づかない理由に繋がっているのではないか?


 ――ゴブ太、この辺りの森を縄張りにしている魔物を知っているか?


 しかしゴブ太はその問いに、分からないと応えたうえで、貴方が主なのでは? と、逆に問いかけてきた。その問いかけは、伺うような疑問形。どうやらゴブ太にもはっきりと分かってはいないようだ。

 そう言えば、ゴブ太には私の事をここの主と伝えていたな。

 まあ一応このダンジョン内に限れば、その通りと言えばその通りなのだが、周辺に関しては違うと言えるし、そもそも私にはその魔物たちの縄張りがどうやって識別されているのかもよく分かってはいない。


 ――魔物たちの縄張りとは、どのようにして確認するものなのだ?


 私がゴブ太に再度問いかけると、ゴブ太は散々迷ってからやや自信なさげに、周囲に漂う力、と答えた。どうもそれは魔物の本能的な部分の話のようで、はっきりと形にして答えるのは難しいようだ。

 ただなんとなく、言わんとしていることは分かる気がする。恐らくだが、魔物たちは周囲に漂う魔力の残滓からその地を支配する一番強い存在を縄張りの主としているのではないか。

 ということは、この辺りで一番強い魔力を放っているのが、私ということだろうか?


 ただ、その辺りをゴブ太に確認してみると、どうやらそういう訳でも無いらしい。

 確かにこの辺りには恐ろしい力が存在し、それ故に魔物たちは本能的にこの地へ近づくのを忌避しているようだが、その力の源は調べてみると私自身という訳ではないようだ。

 私からも不思議な力は放たれているようだが、それはこの地を支配している者の力とは性質が違っていた。正確に言えば、主らしき魔力は私の存在するダンジョンの土地そのものに染みついているようだ。言うなればそれは、魔力の残滓といったもの。つまりその力の主は、もう既にこの場所にはいないようなのだ。


 それにしても残滓だけでも魔物たちをそれほど恐れさせる存在。一体どんな存在がここにいたというのだろうか。

 ゴブ太に聞いてみても、分からないという答えが返ってくる。そもそも、この辺りにこんな土地が存在するということ自体をゴブ太は知らなかったらしい。

 それは魔力の残滓云々以前の話であり、数年前まではこの辺りにこんな地形の場所は存在しなかったという。森の中だからこそ間違って覚えているのではとも考えたが、そんな森の中を歩きなれたゴブ太の言葉だ。勘違いという訳では無いだろう。

 もしやそれは神が言っていた封印の影響だろうか。封印はダンジョンだけではなく、その周辺の森にまで及んでいたということか。


 しかし、そんな恐ろしい場所にゴブ太は自らの足でやってきたということになる。そこのところはどうなのか。もしかしたらこれからも、そんな魔物は出てくるのではないか?

 ゴブ太に尋ねてみると、ゴブ太自身もその辺りの記憶は曖昧なようだ。ただその時のゴブ太は大怪我による意識の混濁と村を滅ぼされた絶望で、辺りの事はあまり意識出来ずにただ逃げ続け歩き続けてきたので、そのせいでここまで来れたのかもしれない。

 つまりゴブ太のように特殊な状況下に置かれでもしない限りは、ここに他の魔物が近づいてくることは当分無いと考えてよいだろう。

 ただあくまでもそれは魔力の残滓が未だ存在しているからであり、その力が薄れていけばいずれは魔物がここにやってくることも考えられる。その時の為に、十分準備はしておくべきだろう。

 さて、一応の安全も確認出来たことだし、この話はこれまでとして別の話に移ろう。


 引き続きゴブ太に周辺にある森の話を聞いていると、どうやら森の中は様々な森の恵みに溢れているらしい。集落でのゴブ太は主に森の中での採取を仕事にしていたそうで、『森歩き』や『採取』のスキルはその時に覚えたスキルなのだという。

 ならばこれからは黒牙にはダンジョンにいてもらい、代わりにゴブ太にダンジョン周辺の見回りとビルタの実の回収へ向かって貰うことにしようか。その最中に何か採取できるものがあれば、それも採取して貰うということで。


 早速ゴブ太に周囲を探索してきてもらうよう伝えると、任せてとでもいうような自信に満ちた意思が伝わってきて、ゴブ太はダンジョンから出掛けて行く。

 それから暫くしてゴブ太が帰ってくると、ゴブ太は幾つかの品を私に差し出してきた。

『魔力感知』で品物を確認すると、それらの品物はビルタの実のように消えて、代わりに私へDPが流れ込んできた。

 私は早速、宝図鑑を開いてみる。


 いやし草

 リコラの花

 放心茸

 ビルタの葉


 おお、四つも増えている。ちなみに増えたDPは7DP。一つ1DPにプラスして、ビルタの実も今日の分の三つを採取してきたようだ。

 ちなみに魔力から感じた印象としては、草っぽいものからはビルタの実のような生命力を、花っぽいのからは清浄の力を、キノコっぽいのからは危険そうな力を、葉っぱっぽいものからは毒々しい力をそれぞれ感じた。

 何となくの印象なので効果と重なっているかは分からない。採取してきた本人に聞いてみるか。


 ――ゴブ太、これらにはどんな効果があるんだ?


 するとゴブ太は集落で、これらの品をどのように使っていたか教えてくれた。

 ふむふむ。いやし草、ビルタの実、リコラの花は薬の材料に、放心茸、ビルタの葉は加工して狩りの時に使う毒として使っていたらしい。ちなみに加工せずに使う場合、いやし草は傷を回復させ、リコラの花は体調を整え、放心茸は食べると気絶してしまい、ビルタの葉は少し舐めるだけでも倒れてしまう危険な毒なのだとか。


 ――これらを沢山採取してくることは出来るか?


 私がそう尋ねると、ゴブ太からは微妙な否定が返ってきた。出来ないことは無いけれど、あまりやりたくはない。もしくは、お勧めはしないといった所だろうか。

 どうやら森での採取には独自のルールがあるらしい。

 同じ場所で採取しすぎると、森の恵みの生育に影響が出たり、生えてこなくなってしまったりする。だから採取は適正な量に抑えなければならない。それが森の恵みの恩恵を受ける採取者の義務であり、誇りなのだ。ということらしい。

 それを聞いて私は、山菜やキノコの採取などもそんな話があったなとどこかで聞いた話を思い出した。それがルールだというのなら守るべきだろう。

 私はゴブ太に採取人としての矜持に反しない範囲で採取してくるように改めて頼んだ。



 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『読心』のレベルが3から4へ上がりました〉

 〈スキルの習熟度が一定値に達しました。スキル『伝心』のレベルが3から4へ上がりました〉


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