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27:激流に身を任せ同化する

本日二話同時投稿です。こちらは一話目になります。

 

 日時は3日目 06:25。

 

 集落を出発して十分ほど経過したところで、周囲に何もいないことを確認し、マップウィンドウを展開した。

 

 マップを見ると、順調に西へ向いて進んでいたので、ほっと一安心だ。小まめに確認していないといつの間にか北や南へ向かっていることもあるし、小まめな確認は大事だ。

 

 西への道は、以前川へ行ったときにマップに記録されていたので、今はそのルートをなぞって行動していた。

 

 周りには枯れた木々が生え並んでいる。ミリアムやリコ達と一緒に歩いた道だが、一人だと薄気味悪さを感じてしまうな……。

 

 鳥の鳴き声も、虫の鳴き声も、風の音も、何も聞こえない。

 

 マップウィンドウを閉じ、装備しているウッドスピアと、差し入れで貰った串焼肉を握りしめ、足早に鉄鉱山へと向かった。

 

 …………。

 

 ……。

 

 更に十五分ほど歩いたところで、以前来た川へと出た。

 

 辺りを見渡し、以前作った簡易迎撃拠点を発見した。グレイヴウルフと死闘を繰り広げ、モーファーの解体場所になった場所だ。

 

 グレイヴウルフ。大型の狼のようなモンスターで、とてつもない迫力で迫ってきたモンスターだった。あのときはウッドスパイクの罠にかけて、かかっていたところをウッドスピアで攻撃して倒せたが、なかなか精神的に辛かった思い出だ。

 

 もしまた遭遇したら、同じように撃破できるように、ツールベルトにはクラフトしておいたウッドスパイクをセットしてある。

 

 しかし次は簡易迎撃拠点が無いので、ルートを限定して戦うことはできないが、それでも俺にはゲームで培った秘策があるのだ。不安な面もあるが、モンスター対策は考えている。そのために木枠ブロックもツールベルトにセットしてある。

 

 さて……川を渡りたいが橋は見当たらない。ブロックを設置して橋を作ることもできるが……。


 反対岸まで十メートルくらいありそうに見える。正確な距離は分からないが、この広さなら十分使えるだろう。

 

 ということでここでクラフトアイテムの出番だ。クラフトウィンドウを開き、検索ウィンドウに触れ『イカダ』と発声した。

 

 するとクラフト一覧に、木のイカダと木イカダ(帆あり)が表示され、木のイカダを選択した。帆ありのほうは素材が足りないので作ることができない。

 

 木のイカダをクフラトするには木材が百個必要になるが、昨日集中して資材集めをしたので、木材のストックは大量にある。その数五千個以上だ。暫くは集める必要がなさそうに思えるが、迎撃拠点を用意するとなると一瞬で消える量なので、まだまだ安心はできない。

 

 クラフトが完了するまで五分かかるので、それまで近くにある丸石を叩いて鉄鉱石を集めていこう。

 

 さっき見渡したときに見つけた丸石へ近寄り、さっそく石斧で叩きはじめた。

 

 カン、カン、カン、カン、カン――と小気味よく丸石を叩き、順調に石と鉄鉱石を入手していく。

 

 やはり川辺での作業は捗るな。どうしてだろう? 水のせせらぎには心を落ち着かせる作用でもあるのだろうか。そんなことを考えながら、俺は丸石を叩き続けた。

 

 丸石を二個破壊したところでクラフトウィンドウを開き、木のイカダが完成しているのを確認した。石と鉄鉱石は、石が八百個以上増えて千二百五十個、鉄鉱石は三十六個増えて六十三個に増えていた。

 

 クラフトした木のイカダをツールベルトへセットし、さっそく川岸に設置してみた。なかなかの大きさで、幅三メートル、長さ四メートルもある。

 

 ゲームのイカダには舵があり、キャラクターがイカダに乗って、舵を操作して移動することができる。そしてこのイカダにも舵があるので、ゲーム同様に動かせるだろう。

 

 ゲームでは前後左右自由に動かすことができ、流れの無い場所でも動かすことが可能だった。動き方にはクセがあり、大きく曲がろうとするとドリフトのような動き方をしてしまうので、操作には若干の慣れが必要だが、ゲームで培った俺には造作もないことだ。

 

 そしてこのイカダ、なんと言っても凄いのが、動力無しで進むことができるのだ。更にイカダの上には重量を無視してブロックや家具を置くこともできるので、拠点として使う人もいたりするほどだ。極め付けは、決して転覆することがないということだ。

 

 さっそくイカダに乗り、舵を取ってみた。ここまでの経験で、恐らく操作は意識で操作するのだと考え、前に進むことを意識した。


 するとイカダは俺の意思に従うように前に進み始めた。少し陸地に上がっていても進むことができるので、多少乗り上げても自分で水辺まで戻す必要がないので助かる。

 

 そしてじわりじわりと前に進み、イカダ全体が川へ出ることができた。


 川の流れに乗ったので、あとは激流に身を任せ同化するだけだ。……激流というほどでもないが。

 

 流れはやや早く感じるが穏やかで、イカダのスピードもそれほど出ていないように見える。風がダイレクトにあたるが、この程度の速度なら心地よいくらいだ。


 川沿いに進めば鉄鉱山へ着くみたいだし、これなら楽に移動できそうが、念のため不測の事態に備えて、いつでも止められるように川岸寄りで移動していく。

 

 それから少し進んだところで後ろで何か音がした。何かと思い振り返ると――

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