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20:温泉設営

 本日2話投稿です。こちらは2話目です。

 

 木造拠点付近の枯草の掃除が終わった。まだ離れたところに散見するが、今はこれくらいでいいだろう。

 

 クラフトウィンドウを開きどれくらい草が集まったか確認する。

 

 インベントリには74個の草がストックされていた。これだけあれば草の服一式をクラフトするには十分な数だろう。

 

 温泉ユニットのほうもクラフトも完了していたので、これでやっと温泉が用意できる。


 温泉ユニットの見た目は、灰色の四角いブロックで、お湯の出る場所に直径五十センチほどの穴が空いている。そこに手を入れたらどうなるか気になるが、多分手を入れることはできないだろう。

 

 そしてまず浴槽を用意するために木枠ブロックを百個ほどクラフトを開始した。その間に温泉を設置する場所を考えよう。

 

 離れた場所に設置するか、家の中に設置するか……。

 

 離れた場所に設置すれば臭いも軽減できるし、露天風呂としてもいいかもしれない。だが離れていると移動が面倒なので、湯冷めしてしまうかもしれないな。

 

 家の中は……カビが生える可能性があるかもしれないな。ゲームではカビるシステムはなかったが、流石にこの世界ではカビが生える可能性がありそうだ。それに家の中というか、部屋の中に風呂を作るのはな……。

 

 とりあえず木造拠点の横に隣接させて設置しよう。家を増設するような感じで作っていけば良い感じになりそうだ。

 

 そうこう考えている内に木枠ブロックのクラフトが終わり、さっそく設置を開始する。

 

 とりあえず木造拠点右側、集落とは反対側のほうに木枠ブロックを設置していく。

 

 木枠ブロック、温泉ユニットともに大きさは一メートルの立方体なので、中央に温泉ユニットを設置して、それに隣接する形で木枠ブロックを置くとそれだけで縦横三メートルの広さの温泉ができあがる。

 

 温泉ユニット自体は周囲一マス……つまり縦横三メートル分のお湯しか出ないので、それ以上のお湯を出したい場合は更に温泉ユニットを設置する必要がある。

 

 お湯のかさは高さ一メートルなみなみに溜まるので、座席部分などを用意しないと溺れてしまうかもしれないな。

 

 ゲームではこれで無限水源が入手できるのでは? と思って試したことがあったが、残念ながら温泉ユニットで湧いたお湯を汲み上げることはできなかった。

 

 しかしこの現実なら……? 仮に俺がシステムに阻まれたとしても、現地人なら汲み上げられるのではないだろうか。

 

 とは言っても流石に誰かが入った風呂の水を飲んだりするのは気が引ける。

 

 だからもう一個用意してもいいのだが、井戸をクラフトすることもできるので、もう一個温泉ユニットをクラフトする必要はない。

 

 よし。木枠ブロックの設置が完了した。

 

 浴槽の床になる木枠ブロックを縦横五マスの二十四個を設置。中心部分には温泉ユニットを設置するために空間を空けてある。


 そして湯船を作るために浴槽の壁として木枠ブロックが高さ一マスずつ設置してあり、これで中には縦横三マスの九マス分、高さ一マスのお湯を満たせる空間ができた。


 あとは空けてある浴槽の中央部分に温泉ユニットを設置して……これで温泉の完成だ!

 

 長かった……と一息つきたいところだが、まだ見晴らしが良すぎる状態になっているので、壁や天井など用意したいし、まだ中に座席部分も設置できていない。

 

 クラフトウィンドウを開き、建材のタブを選択してハーフブロックを八個クラフトする。

 

 ハーフブロックは木枠ブロックと同じ幅一メートルだが、高さは五十センチほどなので、これで丁度いいかもしれない。


 クラフトしている間に設置した木枠ブロックを石斧で強化していき、全て木造ブロックに強化した。これでお湯を貯めることができるようになったはずだ。

 

 そしてクラフトの終わったハーフブロックを、温泉ユニットを囲むように設置していく。

 

 あとは浴槽に上がるために木造拠点の玄関と同じ方角に足場を用意だ。高さ二メートルなので、足場が無いと入ることすらできないのは欠陥過ぎるな……。

 

 木造拠点の玄関と同じ方角の西側に木枠ブロックを高さニマス分、横五マス分を追加で設置した。

 

 そしてそれに繋げるように、段差になっている階段ブロックをクラフトして二マス目に設置し、その下に木枠ブロックを設置、更に木枠ブロックに隣接させて一段目と二段目の階段がスムーズになるように設置した。これで浴槽への出入りが楽にできるようになった。

 

「ソウセイ、何してるにゃ?」


 浴槽の確認をしていると後ろから声が聞こえた。振り返るとリコとミリアム、それに先ほど洗濯物を干す手伝いをしていた子供達もいた。

 

 男が三人、女がリコを含めて二人。子供達はみんな汚れきった茶色いボロボロの衣類を身にまとっているが、体は綺麗になっているように見える。川で水浴びをしていたのだろうか。

 

 コットンを見つけられれば布の生産ができるので、衣類もクラフトすることができるのだが……サイズとか合うのだろうか?

 

「お風呂を作っています」


「おふろ?」


「こっちへついてきてください」


 リコが首を傾げて難しそうな顔をしている。風呂という概念自体が存在していないのだろうか?

 

 階段を上がり、俺に続いてミリアムとリコ、子供達が上がってきた。

 

「この装置でお湯を出して、体を洗ってから湯船に浸かるんです」


 浴槽に降りて温泉ユニットの説明をする。

 

「そっちに降りても大丈夫なのか?」 

 

「ええ足場に気を付けてくださいね」


「ああ」


「分かったにゃ」


 ミリアムとリコが先に降り、子供達を下から抱きかかえて降ろしていった。

 

 土足で浴槽に入るのもどうかと思ったが、ゲームではお湯が汚れるシステムが存在しないので、恐らくお湯が汚れることはない。

 

 が、例えば現実で土を山盛お湯の中に入れたらどうなるのか気になるが、あまり試したくはないな……。その辺りも要チェックだ。

 

「なにこれー」


「なんだろう……」


 子供達がやってきて興味津々に浴槽の中を見渡している。


「なるほど、浴場施設か」


「よくじょうしせつ?」


 ミリアムが合点がいったように答えた。リコは知らないようだがミリアムが知っていたということは、風呂自体の存在はあるようだ。

 

「そうですね。リコさんにも分かりやすく説明すると、水浴びができる場所で、その水が暖かいお湯に変わったものだと思ってもらえれば大丈夫です」


「暖かいお湯で体を綺麗にできるにゃ!?」


 リコの目がきらきらしている。

 

「ええ。できる、はずです」


 まだ試していないので分からないが、できるはずだ。

 

「うーん、まだ壁とか色々用意したかったですが、もうお湯出しちゃいましょうか」


「この、石の装置から出るのか?」


 ミリアムが怪訝そうな顔で温泉ユニットの穴を覗いている。


「そうですね、ではお湯を出すので一度みんな上にあがってください」


 ミリアム達が上にあがったのを確認してから温泉ユニットを注視した。すると『お湯を出す』『お湯を出さない』の選択肢ウインドウが現れ、俺は『お湯を出す』に触れた。

 

 触れると選択肢ウィンドウは消え、温泉ユニットがお湯が沸き始めた。

 

「おぉ、なんか出てるにゃ!」


「水が出てるー!」


「違うよ、お湯だよ!」 


 子供達が湧き出るお湯にテンションも湧きあがっていた。

 

 俺も急いで上にあがり、お湯が貯まるのを待つ。

 

 順調にお湯が沸き出てあっという間に浴槽を満たし、満たされたお湯の熱気にあてられた。

 

 外を見てもお湯は漏れていない。

 

 よし、温泉の完成だ――


 と思ったが、問題に気がついた。体を洗う場所はどこだ……? それに石鹸も無い。


 まだまだ問題は山積みだな。

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