最終話
本日4話目
「ハンナ!」
「お嬢様!」
二人で手を取って、さめざめと涙を流そうとしたところで、セバスとメアリーの声が聞こえた。
「アルバート様ですよ」
「そうです、アルバート様と責任を取って結婚するんです」
は?
はいーーーー?
今何と?
「リーリア様、まさか夜を共にしたアルバート様を、アルバート様が不名誉な噂を立てられると分かっていて責任を取らないということはありませんよね?」
セバスの言葉に、脳みそが回らない。
「そうですよ、お嬢様。昔から、きちんとした人間ならば、責任を取って結婚をすると決まっています」
た、確かに、なんか恋愛小説とかでそういうのあった。
でも、それって、男性が女性に対して責任をとる。結婚しようとかいうやつじゃなかったかしら?
あら?
男性だろうが女性だろうが、上の立場にあるものは下の立場にある者への責任は取るべきってことかしら?
「だ、だけど、でも……アルバートの悪評は防げても、でも、アルバートが嫌じゃないかしら?私、30歳なのよ?アルバートはまだまだ未来のある18歳。……迷惑よね、嫌よね。あ、でも、貴族は愛人を持つのも良しとされてるし、結婚は形ばかりでアルバートには若くてかわいい愛人を持ってもらえばいいのよね?アルバートと愛人の子を孫だと思ってかわいがることにするわ。うん、養子に向かえるのはその子でいいわよね?あら?まぁ?なら、何も問題はない……のかしら?」
ハンナが私の顔を見た。
「リーリア様はそれでよろしいのですか?」
「え?」
「夫となる者が、愛人を囲っても平気なんですか?」
ハンナの言葉に、寝ているアルバートの顔を見る。
アルバートが若くてかわいい子と……。
……。ズキンと胸の奥が痛む。
お父様は亡くなったお母様一筋で、後妻を迎えようとしなかった。愛人も作りはしなかった。
一途に一人を愛するお父様が私は大好きで誇りだった。
でも……。
「12歳も上の私が……妻として愛情を向けてほしいだなんて……」
言えるわけない。
願ってはいけないことだ。
「おや、たかが12歳差ではありませんか」
セバスが笑う。
たかが?
「そうですねぇ。先代公爵様、リーリア様のお父様とお母様は14歳差でしたね」
はい?
あれ?
「先代公爵様が20歳の時、34歳だったリーリア様のお母様に一目ぼれをして周囲の反対を押し切って結婚したんでしたねぇ……」
え?
うそ、そうなの?知らないよ?そういえば、お母様は幼い時に亡くなっていて、年齢とかそういうの全然聞いたことも無かったけれど……。
「リーリア様を産んだのは35歳の時でしたから、リーリア様はまだ30歳とお若いですから、2人3人とお子様も期待できるでしょう」
セバスとメアリーが二人で盛り上がっている。
「え?あの、私が、アルバートと結婚?」
ハンナが私の顔を見た。
「リーリア様、それしかないようですから、仕方がありませんっ」
ハンナが鼻からふんっと息を吹き出す。
「こうしちゃいられません。早く足を直さなければ!リーリア様の結婚式の準備を整えるのは私の仕事です!誰にも譲りませんっ!」
え?
あの、その?
まって、まって。
「アルバートの気持ちもあるし、あの、だって……え?」
おしまい
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
思い付きコメディですが、
アルバートどうなった?等感想お待ちしております。
広告欄の下にある☆☆☆☆☆で評価していただけると嬉しいです。
どうにもタイトル詐欺っぽくはあるなと思っていますが、初めからコメディだと宣言しているから大丈夫ですよね?
ジュクジョスキーのアルバートのその後の浮かれっぷりを想像して楽しんでいただけるとうれしゅうございます。
あ、そうそう、先代公爵様の若かりし頃よりお仕えしていた皆様プロデュースのリーリア様結婚大作戦……もちろんハンナに情報伝えてないのはミスではありませんよ?
それでは、最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました!




