えええ?
「アルバート、えっと……」
ど、どうしよう。
受け入れるって何?
アルバートはとっくに私の心に入り込んでる。
それを伝える?いや、まって、そうじゃない。アルバートの目には、今私ではない別の理想的な誰かの姿が浮かんでいるに違いない。
つまり、酔っぱらっている。
メモとろんとしてるし、いつもと様子も全然違う。
自分でもお酒は強くないって言ってたし、これ、もうすぐ、寝る!
いきなりコテンと寝てしまうやつだ。お父様を見ていたから分かる。
ソファで寝てしまうよりもベッドで寝た方がいいに決まっている。
今なら自力で移動してもらえそう。うん。よし。
「アルバート、ベッドへ行きましょう」
私ってばナイスタイミングで声をかけれたわ!
ふふっふーん。
「可愛い人……本当にいいのかい?」
か、かわいい?
どきりとして、頭を小さくふる。
アルバートが一体誰のことを想像しているのか分からない。もしかして好みを聞いたけれど、実際にはもうすでに好きな人がいたりするのかもしれない。
その子に、アルバートは、こうして愛をささやくの?
なんだか色々と複雑な気持ちになりながら……立ち上がったアルバートの背中に手を添えるようにして隣を歩く。
お酒を飲んで足元がおぼつかないアルバートが転ぶといけないので、手を添えてるんだけれど……。
アルバートは何を思ったのか、私を抱き上げ、お姫様抱っこをして歩き出した。
「だ、だめよ、アルバート……」
転んだら危ないわ!
どどど、どうしよう。ふらついてない?
怖くて思い切りアルバートに手を回してしがみつく。
「降ろして、アルバート」
ドサッ。
降ろされた。うん、そのままベッドまで歩いて行ったアルバートが私をベットへとおろした。
よかった。ふらついて倒れなくて。
と、思ったら、アルバートが倒れてきた。私の上に。
うひー、衝撃を覚悟して身構えると、全然衝撃はなく、アルバートが私を馬乗りで見下ろすような格好になっている。
「アルバート?」
「キス、していい?」
キス?
キスって、お父様にしていたような、頬にチュって言うあれ?
もう寝るからお休みのキスをしたいってこと?
今まで全然アルバートはそんなこと言わなかったのに、もしかしてお酒が入ったから、甘えてくれてるの?
それとも、何かやっぱち私じゃない別の物を見ている?実家のお母さんとか……。
「ふふ、大丈夫、突っ走たたりしないよ、大切にするから」
突っ走ったりしない?
ああ、そうだ。そう、セバスにまだ親子みたいなことをどんどんしたら引かれるからと私はくぎを刺されていたっけ。
さぁ、ごいっしょに、「いいぞー、もっとやれー」
……ま、無理だけどね。
なろうの規約があるからね。
ささ、ラストスパートですよぉぉぉ。けへへ。




