まぼろしー
ここなら、もし万が一眠ってしまっても、十分寝られる広さのあるソファだから大丈夫……よね?それかねかけるタイミングでベッドに誘導した方がいいかしらね。上手くタイミングを見計らって誘導できるといいなぁ。
「あの、リーリア様は?お酒はお強いんですか?」
ぎくっ。
ここは、嘘も方便よね。
「私も似たようなものよ、2~3くらいで……」
杯じゃなくて本だけどさ。
アルバートがホッとした顔を見せる。
さぁ、私より先に眠るがいい!
グラス2杯飲んだところでアルバートの目がとろりとしてきた。
並んでソファに座って飲んでいるんだけれど、さっきから時々アルバートの体がふらりと揺れて私の体に当たったりしている。
ぐふ。いい感じですよ。
「ねぇ、アルバート、ちょっと聞きたいんですけど」
「なんでしょう、マイスイート天使」
んん?
リーリア様から、呼び方がちょっぴりおかしなことになっている。半分なんか夢でも見てるのかな?
ちょうどいい。今ならもしかして記憶に残らないかもしれない。
まぁ、残ったとしても別にいいよね。これくらいなら本心が聞けそう。
「アルバートはどんな女性が好みなの?」
嫁探しの参考にさせてもらう。……できるだけアルバートの好みにそって、私とうまくやれそうな子を探さないと。
そうよ。嫁がいやなんて言ってられないわ。
孫をこの手に抱くことを想像する。
「僕の理想の女神はここに……」
アルバートの手が伸び、私の頬に触れた。
にゃ、にゃ、にゃ、にゃに?
「な、何を言っているのアルバート、えっと」
「ああ、なんて素敵なんだ……」
アルバートが私の頬に手を添えたまま、とろんとした目で私の目を覗き込む。
……よ、酔ってるんだよね、これ……。
酔っぱらったアルバートはいったい何を見ているの?というか、見ているのは私だけれど、何が見えているの?絶対なんか、私じゃないもの見えてるよね?
「貴方を僕のものにしていいですか?」
どきっ。
ちょ、アルバートってば、いくらこう、酒が入って幻か何か見てるにしても、なんて言うこと言うの!
もしかしてけっこう女性には積極的?
いや、だって、セバスの報告では、女性関係も身持ちが固いみたいなこと言ってたのに。
うー、あ、もしかして、普段押さえてるから、お酒が入ると、こう、その分……アルバートも色々、本来なら、な年齢だし?
こ、これは、いち早くフィアンセを見つけてあげないと。婚約者といちゃいちゃしたって誰も咎めやしないんだもの。
って、好みを聞きそびれたわ。
また今度素面の時にでも聞いた方がいいかしら?それともセバスに調査を頼む?
「愛しい人……。僕を受け入れてくれると頷いてください」
アルバートが私の方へと体を寄せる。
と、いうわけで、ひひひ(下種な笑い)さぁ、ご一緒に。
ひひひ




