作戦
「どうかなさったのですか?リーリア様。何か悩みでも?」
アルバートの声にハッとする。
まだ、正式に養子になると決まったわけではないアルバートのしかも、まだ見ぬアルバートのお嫁さんのことを想像してもやもやしていたとは言えない。今から結婚の話なんかされても、きっと、政略結婚のコマにされるのかといい気はしないだろう。
でも、つい。
気になってしまって……。
そんなことを口にするわけにはいかないので、口ごもる。
「えーっと、悩みということではなくて……」
「何か領地に問題でも?……確かに、僕に相談しても何の力にもなれないかもしれないですけれど……」
アルバートがちょっとだけ悲しそうな表情を見せる。
ああ、アルバートは、領地のことを悩んでいると思ったのね?
ううう、違うの。違うのよ。
嫁姑問題について、今から悩んでるとか行ったら、引かれるよね!うぐぐぐ。
「い、いえ、あーの、今日はもっとざっくばらんなお話をしようかと思って。ほ、ほら、私ったらいつも領地の話ばかりで、えーっと、その……」
メアリーに用意してもらったカートから飲み物をテーブルの上に移す。
「ふふ、ほら、用意してもらったのよ」
じゃーんとテーブルの上にグラスを2つ。そしてお皿にチーズと干しフルーツと干し肉。
それから、ワインボトル。
「お酒ですか?」
そうです。ぐふふ。
これが、私のスペシャル作戦。
そう、お酒を飲ませれば、きっと眠くなる。
お父様がそういうタイプだったもの。
グラスに3杯も飲めば目がとろーんとして眠くなるタイプ。私は逆に、ボトル2本までは全然平気なタイプ。
「たまにはいいでしょう?」
アルバートがちょっと困った顔を見せる。
「あら?もしかして、お酒は飲めない?……こんなことも知らないのね……。やっぱり、もう少し色々な話をした方がよさそうね……」
「いえ、あの、飲めます。少し……なら」
アルバートがちょっと悔しそうな顔をする。
そう。いいことを聞きましたわ。少ししか飲めないのね。
「ふふ、少しで構いませんわ。深酒などするつもりもありませんし、それに、お父様もグラス2~3杯しか飲めなかったんですよ?」
よっしゃ!
これで、酔わせて眠気を誘って、私が寝る前に寝てもらう。
今日こそ、私の方が遅くまで起きている!
なんて、完璧で素敵な作戦!
あ、でも寝ちゃったときに、私はベッドまで運んであげられないから……えーっと……。
「アルバート、こちらでゆったりと座って飲みましょう?」
3人掛けの大きなソファにアルバートを誘う。
出た、酒!
アルバートの心情書き散らしたいwww
もうすぐ終わるよ




