心地いい
「ああ、でも、流石におなかがいっぱいになってたくさんは食べられませんわね」
パンに生クリームとイチゴ……。生クリームとイチゴだけならこの倍は食べられそうなんだけれど、パンがあると……。
「ふふ、ですがこれでしたら、ケーキよりも砂糖が少なそうですし、多少はケーキよりも太ることを気にせずに済むかもしれませんね」
メアリーが料理長たちが退室したので、すぐに側に立ち、空になった皿やカップなどを新しい物に取り換えたりと働きだした。
「あ、そうね!そうよね!しかも、これなら、パンですし、お昼ご飯にも食べ……」
メアリーの目がきらっと光った。
うひー、ごめんなさい。
さすがにご飯代わりはダメですよね。うぐぐぐ。ぐぐ。
「こういうのはどうですか?」
アルバートがメアリーにも視線を向けた。
「栄養満点なケールをパン生地に練りこむというのは。それならば食事代わりとして食べても栄養が取れるのでは?」
まぁ!まぁ!
「そうよね!そうよね!栄養も取れて、甘い物も我慢しなくてよくて、最高よっ!しかも、お腹が膨れるおやつにもなる!ちょっと料理長に……って、セバス後でついでに伝えてもらえる?」
すごいわ。
「アルバート、ありがとう。貴方は本当にすごいわね。次から次へとアイデアが湧き出るのね」
「いえ……全然です……」
なんて謙虚なのかしら。
もう、本当、うちの子最高すぎやしない?
自慢するわけでなく、本当に謙虚に褒められたことに戸惑いの顔を見せてるし。この謙虚さが優秀さを産んでいるのかしら?(天の声*いえ違います、熟女への情熱が全てです)
あら?でも……。
こんな立派な息子さんを本当にうちに差し出してうれるなんて、子爵家は大丈夫なのかしら?
お金に困っているということだけれど、アルバートのように賢い子がいれば立て直せないのかしら?
……?
……いえ、むしろ、立て直せるチャンスを私が奪ってしまったの?
それどころか、そうだわ!
ルイードが言っていた。お金のために子供を売り渡したと思われて子爵家はますます周りからの援助も受けにくくなるのでは?
私のわがままのせいで。
でも、でも……。
「アルバート、あなたが来てくれてよかった」
半年後には絶対に正式に養子にしたい。
他の子じゃ嫌だ。
「アルバートでよかった。いいえ、アルバート、あなたがいいの」
ああ、もうずいぶん私はアルバートに魅了されている。
初めは、お父様に似た金色の髪が気に入ったの。
でも、今は、なんだか一緒にいるのが心地いい。




