菓子パン
嘘。
それ本当なの?
チョコレートとパンなら、チョコレートの方がいいに決まってるのに!
パン3つなんて逆に食べきれなくて拷問じゃないの?
ああ、よかった。ハンナに教えてもらってよかった。
男の子って謎ね。
うん、謎よ、謎。
そうか、おやつはチョコレートよりもパン。
あれ?でも、悩むっていうことは、本当は両方食べたいってことよね?
じゃぁ、チョコレートをパンに挟んで……は食べにそうね。溶かして塗る?
チョコレートパン……食べたことがないけれど、いえ、見たことも聞いたこともないけれど、料理長に相談してみようかしら?
チョコもパンも食べられてお得!
これでアルバートもどちらを食べようと悩まずに済むわよね。
ふふふ。
アルバート喜んでくれるといいなぁ。
「ありがとうハンナ!おやつを作ったら、ここにも届けるわね!」
るんるんるーん、らららーん。
足取り軽く屋敷に戻り、調理場に向かう途中にセバスに声をかけられる。。
「リーリア様、ずいぶんご機嫌ですね?」
「ああ、お帰りセバス。そんなに機嫌がよさそう?」
「ええ、ルイード様がいらっしゃった後は、いつもこんな顔をしていらっしゃるのに」
と、セバスが苦虫をかみつぶしたような顔をした。
「……私、いつもそんな顔してます?」
まぁ、ルイードにはいつも嫌な目にあわされてるから……仕方がない。
「今日はルイード様がいらっしゃったというのに、ずいぶんとご機嫌なご様子」
確かに。
塩をまきたいと思っていたあの気持ちはすでにない。
これもそれも……。
「アルバートのおかげね」
子供のために何かしてあげたい、子供の喜ぶ顔を想像すると、こんなに気持ちがウキウキするなんて……!
「そうでしたか。それはそれは」
セバスも嬉しそうな顔をする。
そうよね。主人の私が不愉快な顔見せてたら使用人も迷惑よね。
セバスが笑顔になるのもアルバートのおかげ。
すごいなぁ、うちの子。みんなを笑顔にしちゃうんだもん。
おっと、こうしちゃいられない。パンにチョコ。
料理場に足を運び料理長に相談する。
「パンにチョコをとかしたものをかけるんですか?パンをお菓子のようにすると?」
「そうね、菓子とパンの中間、菓子パンと言ったところかしら?作ってみてもらえないかしら?」
「はぁ、分かりました。やって見ましょう」
料理長が頷いてくれたのを確認して執務室に戻る。
ルイードのせいでずいぶん予定がずれ込んでしまったわ。
仕事をしないと。
せっせと仕事をしていると、おやつの時間にセバスが呼びに来た。
「ああ、その辺に置いておいて、仕事をしながらつまむわ」
と書類から顔を上げずに答える。
菓子パンや総菜パンって、意外にも日本が先駆者らしいですね。
パンとはこういうものだという過去の歴史がないとか主食はご飯でパンはあくまでもおやつみたいな感覚があったからなのか、自由な発想でやりたい放題した結果……。
てなわけで、菓子パンは実はあるようでないんですよね。
リーリア様作り出してしまいました!我が子のために!www




